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ましろの独白(『リップヴァンウィンクルの花嫁』より)

ごきげんよう。雨宮はなです。
Amazonプライムビデオで観放題期限が来てしまったので、滑り込みで観ました。

監督:岩井俊二
主演:黒木華
『リップヴァンウィンクルの花嫁』

主人公ではなく、「里中真白」というキャラクター…もとい、台詞にものすごく衝撃をうけましたので紹介します。

主人公と二人でお出かけをして、ウェディングドレスを買い、キャッキャ言いながらフォトサービスで写真を撮ったあと、車で帰宅。
家でちょっとしたご馳走とお酒を用意して二人で酔っ払い、ベッドに倒れこんですこしのイチャイチャがあり、真白による独白が始まります。

聞こえたままに表記するので、実際の脚本と異なる部分があると思いますが、そこはご了承ください。

約5分にわたる、ましろの独白

あたしね コンビニとかスーパーで買い物してるときにね
お店の人がさ あたしの買ったものをせっせとさ
袋に入れてくれてるときにさ
あたしなんかのためにさぁ  その手がせっせと動いてくれてんだよ
あたしなんかのためにさぁ!
せっせと お菓子やお惣菜なんかをさぁ 
袋につめてくれてるわけ その手が
それ見てるとさぁ なんか胸がぎゅーってしてねぇ
なんかもう泣きたくなる
あたしにはね 幸せの限界があるの
もうこれ以上無理ーっていう限界
たぶんそこらの誰よりもその限界がくるのが早いの
ありんこより早いんだぁ、それ
その限界がね
だって、さ
この世界はさぁ 本当は幸せだらけなんだよ
みんながよくしてくれるんだぁ
宅配便のおやじはさぁ あたしが「ここ」って言ったとこまで
重たい荷物運んでくれてさ
雨の日に知らない人が傘くれたこともあったよ
でもさ、そんな簡単に幸せが手に入ったら、あたし壊れるから
だから せめてお金払って買うのがラク
お金ってさぁ、たぶんそのためにあるんだよ、きっと
人の真心とかさぁ、やさしさとかがさぁ、
あんまりそんな はっきりくっきり見えちゃったらさ
人は、だってもう、ありがたくてありがたくてさぁ
みんな壊れちゃうよ
だからさぁ それをみんなお金に置き換えてさぁ
そんなの見なかったことにするんだよ
だから、優しいんだよ この世界はさぁ
だからあたしはぁ、お金払って買うんだ
お金払って買うの
だってもう限界なんだもん
だからそんな目で見ないで
あたし、壊れる

ましろの最後のことば

ね、あたしと一緒に死んでって言ったら、死んでくれる?
あたしと一緒に死んでくれる?
ほんとに?
ほんとに?
ばーか
ばーか
ありがとう

「あたし、壊れる」に引き続きある台詞で、「ありがとう」まででワンセットなのですが、
主人公が相槌を打つ回数が多くなったので「独白っぽくなくなったな」と思い、分けました。
この、さいごの「ありがとう」がそれこそ幸せをかみしめているような言い方なんです。
何も知らない(真実を伝えていない)主人公に対する申し訳なさも滲んでいて、なんとも言えない気持ちになります。

幸せは、お金を払って買う

わかっちゃいるけど、「自分は幸せなのだ」と気づいたり意識したり、感謝することって日が経つごとに難しくなります。
どんどん鈍くなるというか、求めるものが多くなったり、要望の天井が高くなったり。
でも、真白ほどはっきりくっきり見えていて、幸せなのだとわかっていてしまうとそれはそれで大変なのかもしれません。

「幸せ」や「お金」に関係することで悩んだ時に、とても頼りになるワンシーンでした。

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