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【午前十時の映画祭11】映画『真昼の決闘』を観てきた【27分の12】

ごきげんよう。雨宮はなです。
午前十時の映画祭…とうとう、見たこともきいたこともない作品名が続くシーズンに入りました。今まではなんとなく聞いたことがあったり、鑑賞済みだったり、「一度観たいと思ってた」作品だったのですが、とうとうどれにも引っかからない作品が続くシーズンになってしまいました…。

でも、ゲイリー・クーパーとグレース・ケリーを観る良い機会だと自分を奮い立たせ、いざ映画館へ。果たして楽しむことはできるのか?
※ここから先はネタバレを含みますので、ご了承いただける方のみ読み進めてください。

「有名俳優の出演作を鑑賞する」ための作品

残念ながら、私にはヒットしない作品でした。設定、物語、キャラクター、アクション、どれもが価値観と合わず「えぇぇ…」の連続でした。これは時代によるものが大きいと感じます。この映画が出た当時なら、きっとわくわくする設定と物語で、俳優たちにうっとりし、ハラハラしながら決闘シーンを眺めたことでしょう。

ただ、私には「“あの”ゲイリー・クーパーとグレース・ケリーが出演している作品」という情報しか重要ではありませんでした。

私たちは「悪」に慣れすぎた…

最近では悪役もバラエティに富み、理解者や支持者を得る悪役すらいます。また、扱う重火器や爆発物、薬物、コンピューターなど、他者を追い詰めるツールに事欠きません。拷問シーン等も様々に描かれ、私たち観客は多くのツールや方法を知り、その見た目やセリフを聞く機会が増えました。

追い詰め方、殺し方、目的や人柄…様々な適役が描かれるごとに規模は大きくなり、価値観や考えは深くなり、背景は濃くなりました。そうしてどんどん味わい深くなるにつれ、「あいつは誰彼構わず殺すぞ!」「こわい!」はなかなかなことであるものの悪としては“ショボい”位置づけになってしまったのです。

私たちは「演技の上手い美形」に慣れすぎた…

設定上仕方がなかったのかもしれませんが、演技力の要らない演技だなぁという感想でした。確かに、絵になっていますがそれだけ…。ゲイリー・クーパーとグレース・ケリーでは年齢差もありすぎるのでは?時代的に「年齢が少し(といいつつ10歳程度)上の男性と結婚する、若くて美人な女性」というのはやはり憧れだったのでしょうけど、なんにせよ、顔面にポイント降りすぎじゃない?
「何をいうんだ、ゲイリー・クーパーの渋さが」「グレース・ケリーの可憐さがあのキャラを」云々という声も聞こえてきそうですが、それは俳優本人のものであってキャラクターのものではないというのが個人の考えです。”それが活かされて”初めてキャラクターとしての演技だと考えるため、渋さや可憐さだけならキャラクター名は不要なのでは、とさえ思います。

若い妻との平穏な生活をとるか、辞職したけどやりたい決闘をとるかでデモデモダッテする主人公の苦悩が表れているのはセリフにだけ。ゲイリー・クーパーはしかめ面しかしていません。花嫁だって「やだやだ、私と結婚するって言ったじゃない。死んじゃうかもしれないのよ。私を優先して」とキャンキャン吠えるばかりです。それこそ、グレース・ケリーの美貌がなかったら見るに堪えない…。

現代でも「人気俳優」はいますが、当時は「スター」が出演することが最高の宣伝であり、映画の良し悪しを決定する重要な情報だったことを考えると、演技力よりも観客にウケる外見であることが最優先で演技力なんて後回しだったのでしょう。『雨に唄えば』でのキャシーのセリフが思い出されます。

そんな感想を抱くのも、俳優さんたちの演技がどんどん上手になり、「美形かつ演技力のある俳優」さんが主演を務めることが当たり前の作品が多くあることに由来するでしょう。私たちはとても贅沢な時代に映画を鑑賞しているのです。

私たちは「アクション」に慣れすぎた…

バキューン!
ブシャッッ!!
「うぅっ…!(パタリ)」

ドドドドドドドドド
「撃てー!撃てーっっ!!」
ドカンバカン

決闘シーンがあれば、弾数と爆発があれば…そんなアクションシーンでは私たちは到底満足できなくなっています。例えば、ガンアクションはキャラクターに応じた動きが加えられ、ただ引き金を引く&爆発が続くシーンというものではなくなりました。決闘だけでなく戦争シーンなどもよく目にするようになり、重火器がない時代の描写であっても人数の多さや馬を使った演出で迫力ある映像が繰り広げられます。スパイによるナイフと体術だけのアクションだとしても、その動きと構図とカメラワークで人数や重火器とは違った迫力を演出してくれます。

ジャンルさまざまなアクションに目が慣れ、今回のような決闘シーンはなんとなくモタモタした印象を受けてしまいます。

さいごに

モノクロ映画だからこその良さもありますが、設定や物語を楽しめなかった私としてはせめてファッションや風景を楽しみたかったなというのがあります。そうするとモノクロではやはり弱く感じました。グレース・ケリーの来ているドレスのデザインだけでなくカラーまで楽しめたらなと思いました(せっかく結婚式のシーンもあったわけだし)。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

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