【試写レポ】『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』試写会【26_2023】
ごきげんよう。雨宮はなです。
Twitter公式アカウント様によるキャンペーンに当選し、試写会で鑑賞させていただきました。
ありがとうございます!
作品について
私小説が原作なだけあって、なかなか無い設定ながら、描かれる思考や感情はどこまでも「ある」ものでした!
たとえば、手を出す勇気はないくせに手元に置いておきたがるクズ男への執着。
たとえば、「いい人そう」としか言えない相手との結婚を決めた憧れの親友への勝手ながっかり感と、そんな自分への嫌悪感。
まじめぶきっちょさんには刺さるポイントが多すぎる!
映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』公式サイト
気軽に観に行けるし、シンプルにおもしろい。
だけど、フックがとても多い。
『#つんドル』を楽しむ3つのポイント!
1.リアリティあふれる、キャラクター!
リアリティあふれるというか、もはやご本人なのでは?と思えるようなキャラクターたち。
ササポンのすり足歩きやストレートネックな感じ、アキコ(主人公)の独り言の規模はもちろんですが、私が注目したのはアキコとその親友2人。
この3人が、映画用に美化されてはいるものの、めちゃくちゃ等身大に感じました。
色んな不安は付きまとうし、不満がないわけじゃない。
だけどそれを自分なりに落ち着かせて生きている、現代のアラサー。
みんなで集まって、お酒の力を借りて「幸せになりたぁああああい!」と叫んでみたり、大学生みたいに大声で笑ってみたり。
あんな友達がいてくれるんだからアキコは大丈夫だよ、と思いながら観ていました。
2.衣装や小物の、色使い!
一番わかりやすいのはアキコの衣装です。
前半はブルーが多めですが、ラストにはイエローが持ってこられています。
落ち込んだ気持ちを「ブルー」と表現するように、アキコの衣装と彼女の心理状態はリンクしていました。
ササポンの家にいる間の恰好にも注目です。
部屋着のシーンだけでなく、初めて家を訪れたときや家の中で過ごしているようなシーンでは、ゆったりダボダボした服装に変わります。
やわらかくてあたたかそうな印象のカジュアルなイラストや色合いのもので、クッションやベッドをそのまま身に着けているような印象を受けます。
3.ハッとさせられる、セリフ!
映画を観た後は思わず原作本を買いたくなるようなセリフがたくさんあります!
それは予告編にもあるアキコが毒づくときの独り言だったり、
ササポンからの何気ないひとことだったり、
親友からの忠告だったりします。
何がすごいって、アキコが落ち込んでいる時のセリフが、ただの自己憐憫で終わらないところ。
自分を励ましてくれたり、ストップをかけてくれたり、ありがたさに気づかせてくれるフレーズが続きます。
監督によるトークイベントが!
司会進行の女性と監督、それから飛び入りゲストの女性がいらっしゃいました。
ファン代表ともいえる司会さんとゲストからのボールを監督が丁寧に打ち返してくれるような、満足度の高いトークが展開されました。
とても興味深く、楽しんで聞くことができました。
ありがとうございました。
質問コーナーを設けていただいたので、気になっていた衣装の色遣いについて質問し、ご回答いただいたところやはりそのような狙いがあったとのこと。
他にも2人の方からの質問があったので、簡単にまとめて紹介します。
(メモしたものから思い出して書き起こしてるため、全くそのままの質問・回答ではありません。ご了承ください)
質問1「アキコが身に着けるものは彼女の心情にリンクしていますか?」
YES。
「ブルーな気持ち」というだけでなく、原作に「青い花瓶」とあったので、それを引きずっているときは青系のものを見につけていることが多いです。
過去はピンク系、休養しているようなときはオレンジやグリーンなどの体に優しそうな色を選びました。
質問2「二回目鑑賞のときの注目ポイントは?」
アキコとササポンの距離。
キッチンと座卓の間の棚が境界線のようになっている。
冷蔵庫の扉が開いてなんとなく邪魔しているのも見てみてほしい。
ラストへ向けての解放感を得られると思います。
質問3「ササポンの過去があまり描かれていないのが気になりました」
彼なりの思い/考えがあってのルームシェアなんだろうと思います。
私(監督本人)もルームシェアの経験があるので、「ただいまを言える」「利害関係のない相手」との距離というものやありがたみが、なんとなくわかります。
彼は彼なりに、人と人との関係を構築したいと考えているんだろうと思っています。
※こちらのお話を聞いていて「何でも明かさないことで、赤の他人感が保てているのかも。そのためにわざとふんわりさせているのかも」と思いました。
さいごに
今回ははっきり「誰かと観に行って、そのあとでまた一人で観る」ことをおすすめします!
その後で原作本を読むのもアリ!
最初から一人で行ってももちろん良いのですが、アキコやササポンたちについて感想を言い合う相手がいた方がいいんじゃないかな~と思える作品でした!
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