【試写】『白い牛のバラッド』試写会レポ【07_2022】
ごきげんよう。雨宮はなです。
Twitter公式アカウントでの抽選に当選し、参加させていただきました!公式アカウントからのDMってなんだか特に嬉しいものですね、ありがとうございます。
今回は同行者1名OKだったので、お誘いした方とユーロスペースへ乗り込みました。
今回は映画作品、試写会の様子、上映後イベントについてお話します!
※サスペンスではない。※
コピーで「サスペンス」と表記されていますが、個人の考えとしてこの作品はサスペンスではないといえます。これは死刑囚ではなく、遺族を追うことで死刑制度について考えるきっかけを与える社会派ドラマ作品だと思っています。
色々と言及したいことはありますが、主人公の設定を見るとサスペンスにつながりかねないどん詰まり感はあります。なぜなら、”コーランをもとに制定された法のもと、冤罪で死刑になってしまった”というもう取り返しのつかないスタートで作品が始まり、貧困、学校でのトラブル、夫側遺族による嫌がらせ等フルコンボというかフルボッコレベルの生きづらさを設定されているからです。
ただ、個人としては主人公女性の生きづらさは「配偶者を亡くした人間であれば誰もが経験しうるもの」であって、しんどい経験のカタログにしか見えず「だから死刑制度はいけない、なくすべき!」という考えには至らなかったです。というのも、彼女の生きづらさが強調されていて「冤罪を被ったこと」の悔しさや夫を亡くした悲しみというものに触れる時間があまりなかったように感じました。実際、聾唖者の子どもを抱えていては悲しみに浸っている暇はないだろうから、現実味としては満点だと思います。
それよりも「冤罪」と「死刑制度」について考えさせたのは、作品中に出てくる「男」と主人公を一度だけ訪ねてくる「女性」だと思いました。
償う、赦すことの難しさから死刑制度の在り方の難しさを問うているのではないか。
私はそう感じました。
「自国では政府の検閲に通らず、3度しか上映されていない」というものが謳い文句のようになってしまっているものの、それがなぜなのかに繋がっていない気がしました。非常にもったいない。「なぜ」を考えられない教育に晒されている日本らしい自称だなぁとも思いました。
超豪華なアフタートークショー
本編の鑑賞が終了し、超豪華な対談イベントが行われました。坂上 香(ドキュメンタリー映画監督)さんと森 直人(映画評論家)さんによるもので、本作についても関連作品や項目についてももりだくさんな内容を聞かせていただくことができました!
トークの流れも滑らかだったし、質問の内容も面白く、コメントの拾い方や促し方が無理やりでなく非常に聞いていて気持ちよかったです!!ロングライドさん×ユーロスペースは外れがないのかもしれない…と思えてしまうほど。
これは個人の好みの範疇なのかもしれませんが、よくおみかけする司会の方で苦手な方がいまして…。作品もゲストも活かせないようなトークにがっかりすることが多いので、今回は全くそんなことがなく非常に興奮しました。
坂上監督は繰り返し「死刑制度は無くすべき」というスタンスでたくさんのお話をしてくださいました。この作品の監督が「コーランもないのに死刑制度がある日本は本当に不思議な国」と発言していたことも教えていただいて、この国における制度やそれについての自分の考えをみなおす良い切っ掛けだなと感じました。
試写会の様子
作品の内容が内容なだけあってか、そしてユーロスペースの客層だということもあってか、お行儀の悪い方はいなかったように感じました。前の方に座っていたため、後ろの方はどうだったかわからないものの…。鑑賞中にバイブレーションの音が聞こえてくるようなことはありませんでした。
さいごに
個人の考えとして現在は「死刑制度に賛成」です。ただ、反対する人の意見や考えを聞いたり、その状態で新しく考えたりすることは必要だと思うので今回は非常によい機会を得ることができました。インプットとアップデートは大切。
そんな『白い牛のバラッド』は公開3週目に突入!
そろそろ上映枠を絞ってきたり、観にくいお時間が増えてくるので行けるタイミングで観に行きましょう!
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