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【試写レポ】『夏の終わりに願うこと』一般試写会【10_2024】

ごきげんよう。雨宮はなです。

ビターズエンドさんのキャンペーンに当選し、一般試写会で鑑賞させていただきました。
ありがとうございます!

※ネタバレを含みますので、気にされる方は鑑賞されるまで読まないことをおすすめします。


作品について

“誰が”『夏の終わりに願うこと』を観ているのか……。
少女を主人公にしながら多くの視点を持つ、静かで人間らしい作品でした。
明るく愉快な印象に偏ったメキシコの人々のリアリティが描かれているようにも思えます。

映画『夏の終わりに願うこと』公式サイト

問題と哀しみは主人公だけのものではない

本編を鑑賞してとても面白いと思ったのは、7歳の少女:トナを主人公にしておきながら彼女だけの物語ではないことに気づいたからでした。
トナのかなしみや焦りが描かれるのはもちろんですが、時間の経過の中で主軸になる人が変わるのです。
それはトナの伯母であったり、祖父であったり、父であったりします。

主人公はいつだって哀しみや問題を抱えていて作品の中でそれを受け入れたり乗り越えたりするけれど、この作品は「人生において誰もが問題や悲しみを抱えている」ことを思い出させてくれます。
決して主人公だけのものではないと。
では、それを教えてくれたのは誰なのか?
それこそが裏の主人公なのではないか?

私は“家”が裏の主人公なのではないかと考えます。
家が家族を見守っているような、時折、そんな見え方がするのです。

彼らは夏の終わりに何を願ったのか

最後は潔すぎるような、でも、あっけらかんとは違った解放感で終わります。
そこに残ったものからは、登場人物たちが何を願ったのかを読み取ることができません。
ひとりだけ言葉にしてくれますが、それでタイトル回収とは言えない気がするのが今作の面白いところ。

「これは誰の願いなんだろう」
「きっとこの人はこんなことを願っていないな」

そんなことを思いながら、スクリーンをながめていました。

試写会について

充実のトークイベント

政井マヤ さんと門間雄介さんによるトークイベントがあり、興味深い話をきくことができました。
特に、メキシコの死生観や家族に対する捉え方を聞けたのは映画への興味をぐっと濃くしました。
明るく愉快な印象が独り歩きしがちなメキシコ。
彼らと日本人を少し近く感じられたのはこのトークイベントがあったからこそ。

運営における苦情

ひとつだけ気になったのは、上映開始後に扉が開いたこと。
そこまでスクリーンに影響はなかったものの、私は気になってしまい少し気が削がれました。
いただいた案内メールの注意事項欄には「いかなる理由があっても開映後は入場できない」とあります。
今後のどの試写会においても「前は入れてくれた!」などのトラブルを防ぐためにも、そして過去に頑張ったけど間に合わずに入れなかった人たちのためにも、参加者に守らせるだけでなく運営側も守ってほしいと思いました。

さいごに

言葉も文化も違うメキシコの親族たちを眺めているのに、なぜか日本のお盆を感じました。
帰省の予定がない人はスクリーンお盆をしてもいいかもしれません。

死生観あふれる『夏の終わりに願うこと』は8月9日(金)より上映開始!


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