【試写レポ】『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』試写会【25_2022】
ごきげんよう。雨宮はなです。
先日の試写会で『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』を鑑賞してきました。”『プラダを着た悪魔』の令和版”だの、”『プラダを着た悪魔』のその先”だの言われていますが、どうなのかなーと確かめたい気持ちがありました!
今回は作品についてとイベント、そして試写会についてを語ります。
※今回は公開前ということを踏まえ、ネタバレのないよう頑張って作品について紹介します。
作品について
原題の印象で観るべし
先に言い切ってしまうと、『プラダを着た悪魔』に通ずるところは無いという認識です。おそらく、「厳しい上司と右も左もわからない若者」だったり「主人公がおしゃれ」といった要素からそう感じる人がいるのでしょう。あまり「お仕事ムービー」としても印象強くはないです。
というのも、原題は『My Salinger Year(サリンジャーと過ごした日々)』であって、西海岸から出てきた若者がNYでキラキラする物語ではないのです。ただ、サリンジャーが日本人にはピンとこない、『ライ麦畑でつかまえて』を読んだことのある人口が少ないであろうことを見越しての『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』というタイトルになったのだろうと思われます。
セキュリティとプライバシー
あまりお仕事ムービーという印象は受けませんでしたが、では何についての印象が強かったか。それは「手紙」や「責任」でした。セキュリティのためとはいえ、サリンジャーに宛てた手紙…自分と彼しか知らない前提話しかけた内容を他人が知っているなんて。せめて、読まれたことを知りたくないだろうなとファン側の心理で観ていました。
チェックされるだけでも書き手としては”ナシ”なのに、あろうことか主人公は定型文を送るという義務を「クソ文を送るなんて!」と無視して、何の権利も無く自分なりの返信を送り付けるという暴挙に出ます。
ここに「責任」の有無を強く感じました。少し前に観た『猿ノ王国』の監督があいさつ文で「責任」についてお話されたのを読んだばかりだったので、主人公の「権利なしの行動」は「無責任な行動」として私の目に映りました。実際にそれでトラブルも起こりますが、主人公が責任をとることなく終わってしまいます。
主人公より周囲に注目
私個人としては主人公よりも周囲の大人たちに興味と関心がありました。上司のマーガレットや、彼女の愛人ダニエルは主人公を含め私たちが今後辿るかもしれない道の先輩なのだと思うと彼らにばかり目を奪われてしまうのも無理のないことでした。大人ってなんだか「すごい人」だと思ってたけど、そんなことはなくて。彼らもまたひとりの人間であって、助けや時間というものは老いも若きも関係なく必要なのだと感じさせます。
また、主人公の2人の彼氏についても非常に良い考察材料になるといえます。2020年を過ぎてリリースされた本作ではありますが(海外版DVDはすでにAmazonで500円程度で販売されている)、描いているのは1990年代。男性の価値観は現代以上にコチコチで観ていてモヤモヤする人は多いはず。
トークイベントについて
映画ソムリエの東紗友美さん、文芸エージェントの栂井さんが登壇されてのトークイベントがありました。
主人公と同じ仕事をしている方が登壇してくださるとのことで楽しみにしていたのですが、期待していたよりもそのお話の分量が少なく残念でした。
もう片方の女性がMCだったそうなのですが、MCにあるまじき勢いで喋る、しゃべる。自己紹介で自分だけ拍手をもらっておいて、栂井さんの自己紹介が終わると拍手をさせずにしゃべり始め、愕然としましたしイベントに不安しかありませんでした。
明らかにMCとしての力量は無く、素人であっても運営スタッフから司会を用意し決まった質問に答えるタイプのトークイベントにしておくのが無難だったでしょう。
試写会について
当初予定されていた運営団体さんから急遽変更があっての開催でした。開催がなくなるよりはよかったですが、その団体さんオリジナル参加特典を非常に楽しみにしていたのでそれが無かったのが非常に残念でした。
隣に座っていた女性が思い切り寝ていたのが印象的でした。仕事終わりの参加でうっかり舟をこぐ…レベルではなく、腕を組んでしっかり下を向いて寝ていたので思っていた作品ではなかったのかもしれません。
彼女が髪をかき上げるたびにスマートウォッチが点灯して目の高さで明るくなるのがとても気になりました…。
さいごに
ムビチケカードのデザインがメインヴィジュアルと違ったり、ある上映館の同施設内でコラボグッズや限定メニューが展開されていたりとなかなか賑やかな作品です。
自分の夢と生活に迷っている若者に沁みるサリンジャーの言葉がちりばめられた『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』は、5月6日(金)よりロードショー!