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響いた!ユーフォニアム~9年の軌跡~2期第4話
©武田綾乃・京都アニメーション
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さて、4話は関西大会での演奏順の発表からスタートです。強豪校の前後だとプレッシャーがものすごいことになりますが、はたして…
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北宇治高校は16番目の演奏になる。
とりあえず最初と最後は回避。あとは気になる前後ですが…
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全国常連の明静工科が15番目ということで、北宇治の直前でした。落胆する一同に、どうせ関西大会なんて右も左も強豪ぞろいなんだからと激励する橋本。滝も続けて「いつもと同じように演奏するだけ」と部員を鼓舞する。練習通りの演奏ができるとは限らないですが、練習でできなかった演奏は絶対にできない。古典のような努力論ですが、一面の真実でもあります。
ちなみに明静工科のモデル校となった大阪府立淀川工科高校は2019年に全国で金を受賞していますね。リンクも紹介しておきます。
優子も少し言及していましたが、確かに全国金をとりそうな曲です笑
それだけに失敗したら目も当てられなくなるハイリスク・ハイリターンということなのでしょうかね。
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さてタイトルは「めざめるオーボエ」。ついにみぞれと希美の問題が解消されます。にしても背景があるとはいえ、いちメンバーの演奏についてここまで掘り下げるというのは、やはりみぞれというのは麗奈以上の特別な存在だということがわかりますよね。しかし自己の内面の問題から実力を発揮できないでいるわけです。
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新山「鎧塚さん、今いい?」
みぞれ「あ、はい。」
新山「私、アナタにちゃんと謝っておこうと思って。正直に言うとね、アナタのソロを聴いた時、私も物足りないと感じたの。なのに高校生だからこれで十分て、私はアナタの可能性の上限を決めつけていた。ごめんなさい。失礼なことをしてしまったなって。アナタの技術は素晴らしいわ、でもなぜだから聴いてると苦しくなる。もっと楽しんでいいのよ。」
プロの新山をして最大限の評価を受けるみぞれ。高校生という天井を取っ払って飛び立っていけるが、しかし肝心の演奏を楽しんでいないと指摘され、みぞれは力なく返事をする。みぞれの演奏に枷をしているものは一体なんなのか。
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夏紀と希美の会話を目撃する久美子。とてもあすかから聞いた話を伝えられるわけがないと、うなだれる。
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帰宅すると姉と父が喧嘩をしていました。姉は「もう決めたから!」と叫んでいましたが一体…。
家庭の問題と希美の問題、のように抱える問題が複層化しているのはユーフォの特徴ですよね。これはただの吹奏楽アニメでなく人間ドラマにもフォーカスすることを意図していることはもちろんとして、葵や麻美子のような吹奏楽を切る選択をした人間を不当に低く見積もらせない心遣いでもあるんです。青春を捧げて部活に打ち込む久美子たちが偉くて、葵や麻美子は逃げたと見えないようにするということですね。彼女らは彼女らで抱えてる問題や事情がありますしその先の人生だってある。
ユーフォは成長を描く作品なので、何になるかという点よりも、何を思い感じて行動してそう至ったのかが大事なんですよね。
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明くる日。練習へ行くと優子がみぞれを励ましていました。みぞれの演奏を聴いてなにかを感じている久美子。こういう演出が細かいですよね。演奏技術としては十分な水準にあるけど、みぞれの真意を知った希美がみぞれの前に姿を表したらどうなってしまうのか、関西への影響は、夏紀や希美の思いに報いることはできるのか、いろんな思考が脳を駆け巡っています。
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久美子の練習場所へ音を聞きつけてやってくる希美。本番前に押しかけたら邪魔になるので、今は自重しているとのこと。無鉄砲なようでちゃんと線は引けているようです。
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ありがとうね、それだけ言いたかったんだ。
屈託のない笑顔で久美子へ感謝の意を示す希美と、なぜ夏紀がここまで希美に惚れ込んでいるのかを瞬時に理解した久美子。この人は損得を全く考えず感情をストレートに表現しているだけなんだ。しかしそれは時に人を励まし、時に人を傷つける諸刃の刃なのです。
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希美「なんか感情込めて吹くように言われてるって。それでソロ悩んでるって聞いたから変だなって。あの子、性格は淡々としてるけど演奏はすごい情熱的で、楽しそうな音出して感情爆発!って感じだったのに。」
久美子「そう…なんですか。」
希美「うん、だから気になっちゃって。ちょっと様子見てこよっかな!」
ここ面白いですよね。久美子はみぞれの演奏をうまいなぁ位で認識していますが、直前の音楽室の新山のセリフからプロが見れば底しれぬパワーがあるように見えていて、それがこの希美のセリフで立証されたという構図なんですよ。あすかからみぞれは希美が視界に入ると機能停止することも聞いているので、ほとんど点と点がつながった状態というわけですね。ただ断片的な情報なので確証がないわけですが、これからその確証を得るシーンへ至るのですね。証拠や証言を集めた結果、次に犯人が凶行に及ぶ場所が分かりハッとするような感じでしょうか。
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やばいやばいやばい!
出川モードになる久美子笑
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香織と晴香に遭遇する希美。この表情変化、技巧が光りますね。
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晴香「希美ちゃん?」
希美「あ…おはようございます!」
晴香「あ、おはよ。」
希美「それじゃ!」
香織「フルートの…」
渦中の人、蚊帳の外の人、全てを知る人、いい対比になっていますよね。にしても希美の脚力どうなってるんでしょう、久美子がまるで追いつけない笑
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目標補足!
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ついにその時が来てしまいました。とはいえ日常の学校生活でばったり会ったりしてなかったんですかね?すれ違うことは間違いなくあるだろうし、その度にみぞれが気分悪くなってたのでしょうか。みぞれが気をつけていても希美側が俊足で駆け寄ってきたら色々避けられなさそうですが…
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優子「やめて…!」
希美「優子?」
あすか「チッ…最悪…」
希美と邂逅するなり、一目散に逃げ出すみぞれ。目の前の出来事に当惑する希美。
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夏紀「ちょっと!希美が何をしたっていうの!?」
優子「何もしてない、だから怒ってるの!」
夏紀「はぁ!?」
ここの何もしてないというセリフ、ぼーっと見ていると何のことを言っているのか分からないかもしれないですが、つまりみぞれに何の相談も誘いもなく退部していった希美の対応を非難しているんですよね。しかし面白いのは、それも希美側にはきちんとした思いがあったということです。とても仲が良いように見えた2人にこそ、実は最も深い溝があったという構図なわけですね。仲がいいからこそ相手の不誠実を正す指摘ができない、という関係性って現実でも結構あるのではないでしょうか。ユーフォの魅力はこういう視聴者の経験をもとに精神を削ってくるところにありますよね笑
しかし夏紀も希美もみぞれの真意について全く見当がついていないのに、優子だけはしっかりと理解しているあたりすごいですよね。
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今慣れていない子と会うのはヤバいとのことで、みぞれ捜索隊として久美子に白羽の矢が立ちます。力なく返事し、承諾する久美子。
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探しても探しても見つからない。危ないことをしてなければいいですが…
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実習室にてみぞれ発見!
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久美子「希美先輩のこと嫌いなんですか?」
みぞれ「嫌いじゃない、そうじゃない。」
久美子「じゃあ何か言われたとか…」
みぞれ「ちがう。ちがう、希美は悪くない。悪いのは全部私。私が希美に会うのが怖いから。」
久美子「どうしてですか?」
みぞれ「分かっちゃうから。現実を。私にとって希美は特別。大切な友達。私、人が苦手。性格暗いし友だちもできなくてずっと独りだった。希美はそんな私と仲良くしてくれた。希美が誘ってくれたから吹奏楽に入った。嬉しかった、毎日が楽しくって。でも希美にとって私は友達の1人、たくさんいる中の1人だった。だから部活辞めるのだって知らなかった。私だけ知らなかった。相談1つないんだって、私はそんな存在だって知るのが怖かった。分からない、どうして吹奏楽部にいるのか分からない。」
久美子「じゃあどうして続けているんですか?」
みぞれ「楽器だけが私と希美をつなぐものだから。」
久美子「言葉がでてこなかった。こんな理由で楽器をやっている人がいるなんて。思いもしなかった。」
と、ここでみぞれの真意が明らかになりましたね。手段としての音楽なのか、目的としての音楽なのか。また、動機によって練達に差はあるのかという視点からも面白いものです。ただの青春の1ページとして取り組むもの、ひとつの人生における挑戦とするもの、色々ある中でたった1人(と感じている)の友達との絆のために演奏をしている子もいる。しかも実力はプロの折り紙付き。元々の才能はもちろんあるでしょうが、何がその人を上達させるかは人によって違うんだということを視聴者に印象付けていますよね。
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そしてここで浮かび上がるのが、麗奈との対比です。みぞれと麗奈は演奏に長け、人間関係の構築が不器用で、感情表現が苦手という点が共通しています。しかし決定的に違うのは音楽の立ち位置で、麗奈にとっては自分の価値を証明するものであるのに対してみぞれにとっては希美とのつながりを維持する手段であるという点です。麗奈にとっての滝は仮にいなくなったとしても、麗奈のアイデンティティからいって私の努力が足りないからだ、などすぐに思考を転換する持ち前の強さがあります。一方でみぞれは非常に危うく、演奏どころか人生に支障がでるレベルで"依存"している。手段と目的がごちゃまぜになっているというのがみぞれというキャラの立ち位置なのです。
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みぞれ「私には希美しかいないから。拒絶されたら…」
優子「なんでそんなこと言うの!?そしたら何、みぞれにとって私はなんなの!?」
みぞれ「優子は私がかわいそうだから、優しくしてくれた。同情してくれた…」
優子「馬鹿!あんたマジで馬鹿じゃないの!私でもいい加減きれるよ!誰が好き好んで嫌いなやつと行動するのよ!私がそんな器用なことできるわけじゃないでしょ!同情!?なにそれ!?みぞれは私のこと友達を思ってなかったわけ?部活だってそう!本当に希美のためだけに吹奏楽続けてきたの!?あんだけ練習して、コンクール目指して何もなかった!?府大会で関西行きがきまってうれしくなかった!?私は嬉しかった!頑張ってきてよかった、努力は無駄じゃなかった!中学から引きずっていたものからやっと解放された気がした!みぞれは違う!?何も思わなかった!?ねぇ!
みぞれ「嬉しかった。でも、でもそれと同じくらい辞めていった子に申し訳なかった。喜んでいいのかなって。」
優子「良いに決まってる!良いに決まってるじゃん!だから、笑って。」
優子主人公すぎんか😭😭😭
優子のこの姿は間違いなく久美子に影響を与えていて、続くあすか回や2年生、3年生と経ていく中で久美子の立ち回りに優子の影あり、といった感じなんです。
さて、南中メンバーについて。彼女らってぴったり自然に当てはまるんですよね。優子はみなを照らす太陽、希美は奔放で爽やかな空気を届ける風、夏紀はどっしりと構えみんなを支える土、そしてみぞれはそこに命を宿す水。霙というのは雪との間ですから、無機質で冷たいソリッドな面と全てを生み出す慈愛のリキッドな面で揺れ動いていたことを象徴していたんですね。太陽と風と土によっていかようにも形を変える無限の存在。それがみぞれというキャラなんだと思います。
BGMは奇しくも「吹き抜ける風のように」。希美という風に翻弄されたみぞれでしたが、優子という太陽に照らされることで水になり、吹き抜ける風とともに演奏の中を気持ちよさそうに舞うのですよね。
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みぞれ「どうして話してくれなかったの、部活辞めた時。」
希美「だって必要なかったから。だってみぞれ頑張ってたじゃん。私が腐ってた時も、誰も練習してなくてもひとりで練習してた。そんな人に一緒に辞めようだとか、言えるわけないじゃん。」
みぞれ「だから言えなかったの?」
希美「もしかして、仲間はずれにされたと思ってた?なんで違う、違うよ。ぜんぜん違う、そんなつもりじゃ。みぞれ、ごめん、ごめんね。」
みぞれ「私ずっと避けてた。勝手に思い込んで、怖くて。ごめんなさい。」
希美「ねぇ、私ね。府大会見にいったんだよ。みんなキラキラしてた。鳥肌たった。聴いたよみぞれのソロ!かっこよかった!」
みぞれ「本当?」
希美「本当にきまってるじゃん!私さ、中学の時からみぞれのオーボエ好きだったんだよ!なんかさ、キューンとしててさ!聴きたいな、みぞれのオーボエ!」
みぞれ「うん!」
ということで無事、和解しましたね。なんてことはなく特に波風も立っていませんでしたが、みぞれの誤解によって生じた軋轢だったと。現実でもこういうことありますよね。コレを言ったら怒られる、嫌われるんじゃないかと思って恐々としていたけど、案外何も起こらなかったみたいな。大人になれば経験則からそういうもんだと分かってるので少しは伝えるようになりますが、思春期まっ只中ではそうもいかない。
希美は結果として一度は辞めてしまいましたが、それでも4人が紆余曲折を経ながらも吹奏楽を続けていられるのはお互いの存在があったからでしょう。
BGMは静謐なる心。まさに雨降って地固まる、でしょうか。それぞれの思いが詳らかになり、南中メンバーの結束はより強固なものになるのでした。
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伸びやかにオーボエを吹くみぞれと、その荘厳さに感動する一同。ついに眠れる巨人が目を覚ましたのでした。
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優子「結局みぞれの演奏はずっと希美のためにあったんだね。」
夏紀「まぁね。」
優子「希美には勝てないんだな、一年も一緒にいたのに。」
夏紀「そんなの当然でしょ、希美ってあんたの百倍いい子だし。」
優子「そうね、あんたの五百倍はいい子かも。」
夏紀「でもさ、みぞれにはあんたがいてよかったと思うよ。」
夏紀😭😭😭
屋台骨ですよね~夏紀。なんでしょうね、身も蓋もないことをいえば本来若人達が吹奏楽を通してこの先の人生を生き抜いていく術を身につけるという建付けになってるわけですが、彼女らはもうそれを持っているというのが南中メンバーのギミックなわけですよ。夏紀の裏方力、優子のまっすぐさなんかは演奏とはまた違う人間力という軸で同い年の子と比べて常軌を逸しているんですよね。
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というわけで南中メンバーの総括です。
あたり前なんですが、練習にドラマもなにもないわけです。やった分だけうまくなるし、やらなければ下手なまま。その純然たる大原則を前に人間模様という変数がどう影響するのかというのがユーフォのテーマの1つなのですが、戦うステージが上がるほど相対的にその扱う人間模様も大きいものにしないといけないわけですよね、印象が負けてしまうので。だから今回のいざこざは複数の人間が絡んだものになっているわけです。ただそういう面倒くさい事情は当然敵の高校にもあるわけで、その辺りもクリアする人間性をもった奏者が集まって演奏しているからこそ全国で活躍できるのですが、そして当然そこで脱落する人間もいる。この必然はユーフォでも当然描く必要があって、南中はいわば淘汰といった負の側面も描いているんですよね。下手だったり精神が未熟だったり、良い演奏をするために必要じゃない要素を持ち込む人間は淘汰される。退部した希美は全国に行けなかったり、夏紀が久美子や奏に負けたりと。でもここで重要なのが、そんな彼女らが卒業後にちゃんと楽しそうにしているってことなんです。ここでもまた、努力は思った方向で~…の法則が働いているんです。大舞台で万感の思いと伴に最高のフィナーレを紡ぐ未来はきませんが、それ以外に確かに得たものがあるんですよね。
彼女らは久美子や真由、あすか達とは一線を画すもので物語の核心を担っていて、幸せって何?という根源的な問を与えてるんです。吹奏楽部として淘汰されても、しっかりその後に幸せがある。その根源には決して壊れない破れない侵されない友情というものがあって、吹奏楽アニメの彼岸へと昇華されるんですよ。そして楽毅論の王道を行った彼女らと対比し、覇道を行く麗奈の未来はどうなるんだろう、というフックにもなり、またその2つの道で揺れ動く久美子の生き様に視聴者は一喜一憂するんです。
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優子「もしかして慰めてくれてる~?」
夏紀「はぁ?」
優子「はいはい、照れない照れない。」
夏紀「なにそれ!」
優子「ぎゃ~!夏紀が優しくしてくるよ~!」
夏紀「ちょ、気持ち悪いこと言うな!」
そうして滔々と流れる中吉川なのでした。チャンチャン。
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あすか「ずるい性格してるよねみぞれちゃんも。思わない?みぞれちゃんが希美ちゃんに固執してるのって結局独りでいるのが怖いからでしょ?優子ちゃんは保険だね。」
久美子「そんな…。」
あすか「案外人って打算的に動くものだと思うなぁ…」
久美子「あすか先輩は穿った見方をしすぎですよ。」
あすか「あっははは!"穿った"かぁ、そうかもね!」
ここですよ、ここ。とてもラスト3分で入れようとは思えない叙述トリックに気づきましたでしょうか。作品全体を見通しても3本の指に入る、あまり目立たない名シーンです。
アニメを見れる方はぜひ見てほしいのですが、あすかが"打算的に動くもの"と言う瞬間だけあすかの顔にカメラが寄るんですよね。何度も言うようにアニメは余計な演出は工数がかかるだけなので絶対にやりません。じゃあこの演出になんの意味があるのかと言ったら、これは単に大衆を表現した皮肉ではなく自身にも向けられた自虐的セリフでもあるんですよ。演奏も学力も超高校級のミステリアスな先輩にも、人間らしい打算的一面がある。それはいうなればあすか編の総決算、回答でもあるわけです。それをこの時点で既に視聴者に匂わせる挑戦的な演出!やってくれますね京都アニメーションさん。
しかもです。続く久美子の穿った~のセリフ。これは世間一般で使われる誤用をあえて久美子に行わせ、かつ頭のいいあすかは誤用に気づいた上でそれをあえて指摘せず、正しい方で言われた~!という精神的な遊びをして、私は打算的だと久美子から指摘されたような空気を楽しんでるんですよ!(息切れ)
穿った、というのは正しくは「本質や真相を見極めている」様を指します。対して世の中の誤用は「捻くれている」みたいな使われ方です。これを元に整理すると、
あすか「人(私)って打算的だわ」
久美子「それは穿ってますよ(捻くれてますよ)」
あすか「穿った(使い方間違ってるよ後輩ちゃん笑)かぁ、そうかも!(…まぁどっちにしても私は捻くれ者で打算的だから、あたってるか笑)」
みたいな感じですね。いやーこの超技巧的シーン、すごくないですか。あれだけ濃密な人間ドラマを南中から見せられた後にコレですよ。単にいい話で終わらせず、友情や愛情だって一皮剥いてレイヤーを変えたら生存本能か性欲しかないじゃん、と"穿った"ツッコミをいれているわけですよね。
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待ち合わせに来ないので麗奈が迎えにきました。すっかり一緒に帰るのが普通になっていますね。
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あすか「黄前ちゃん。」
久美子「はい。」
あすか「全国、行こうね。」
久美子ナレ「何が本音で何が建前なのか。その境目はあまりにも曖昧で、この人には一体何が見えているのか、それを考えるのは少し怖かった。」
さぁぶっこんできましたね。一番固執してなさそうな人からポロっと出た言葉に久美子は戸惑いを感じています。あすかもみぞれのソロを聴いていたでしょうし部内のゴタゴタは全て把握しているでしょうから、ピースは揃ったと感じたわけですね。ただ1人を除いては。
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久美子「ねぇ麗奈はさ、誰かのために吹いてるとかそういうのある?」
麗奈「考えたことない。強いて言うなら、自分のためかな。」
久美子「麗奈って、マジ麗奈だよね。」
麗奈「なにそれからかってる?」
久美子「全然!」
みぞれが希美のために吹いていることに驚愕していた久美子ですが、自分のために吹いていると言い放つ麗奈に安堵する久美子。ここも面白いですよね。一見自分のために吹くというのは立派で強そうに見えますが、見方によってはみぞれの場合希美という外部装置がある分タフであるとも言えますよね。分霊箱じゃないですが、希美が変容しようとも希美を思う自分という最後の砦があるわけですから。対して自分のためだけだと、自分が不安定になってしまったら足元から瓦解しかねません。あとそもそもですが、麗奈に意見を伺うということ自体が自身の演奏が麗奈に依存している証左でもあるのがニクい演出ですよね。
編集後記
いや~すっかり日にちが開いてしまい申し訳ないです。というのも運命の流れのピアノ練習にどっぷり使ったり、色々忙しかったりの日々でした。ピアノの方はなんと!ついにフルで弾けるようになりました!ただまだ辿々しいので、これからまだスムーズに弾く練習が必要ですね笑
演奏はどうにかどこかにアップロードして(noteでできるのだろうか)、3期の12話の時に流したいなぁと画策しています。いやしかしピアノはいいですねぇ。いつかやりたいと思い早数年、まさか自分で一番好きな楽曲を弾けるようになるとは感無量です。譜面は読めないのでyoutubeを見ながら3~4ヶ月で弾けるようになりましたね。比較的簡単な曲で助かりました笑
さてさて、お話の方もいよいよ佳境を迎えてついにあすか編へと移っていきますね。筆者的にはやはりあすかはユーフォの中で最重要人物ですので、物語の骨格として最も重要なストーリーだと感じています。すぐにアップとはいかないですが、近いうちに出したいと思っていますのでゆるりとお待ちいただければ幸いです。それでは!