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響いた!ユーフォニアム~9年の軌跡~1期第7話
©武田綾乃・京都アニメーション
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さぁ七話。全体練習からスタート。曇り空とチューニング?音程チェック?の不協和音が話全体が暗くなりそうなイメージを与えてきます。
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葵は塾で帰宅。実際、コンクールの練習が学業に与える影響はかなりのものですよね。
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晴香は神妙な面持ち。3年一緒にやってきた仲間が二律背反な願望の板挟みにあう様を見てられないのでしょう。
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アバンが終わりAパートへ。日々鬼軍曹の指導が入ります。
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麗奈がソロパートを練習していることにケチをつける優子。無視とかいやがらせは…してませぇん!冒頭の葵に対して、そして今度は香織の火種がオーバーラップしてきます。1,2クールで終わらせる都合上もありますが、この息をつかせぬ展開がユーフォの醍醐味ですよね。
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…かと思えばまた晴香と葵の話へ視聴者を戻す。演出がにくいですね。こんな群像劇を味わえるのはユーフォだけだなぁとつくづく思います。
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七話の好きなシーンがきました。(楽器を)持ってかえるんですか?に対する夏紀の「たまにはね」。久美子もたまらず嬉しそうな顔をする。あれだけだらけてた先輩が、楽器を家に持って帰るというのだ。部の空気に"アテられ"はじめ、科学反応が起きている。もしかしたら全国に行くだけなら…そう思えた印象的なシーンです。
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中吉川のショートコント開幕。この二人の関係性もまたいいですよねぇ~!少し失礼な言動が許容される間柄というのは、一番心地いいものです。優子と夏紀にとっての吹奏楽部とはなんなのか、それが紐解かれるのはもう少しあとのおはなし。
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椅子を片付けていると、葵が辞めるという話を小耳に挟む久美子。いや~古典ですね。罪と罰のラスコーリニコフよろしく、重要な話を偶然耳にするシーン。この7話の話のトーン、好きなんですよね。6話までは比較的明るく進んでいたのが、今まで蒔かれた種が芽吹くようにダークな話が展開していきます。
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帰路で雨宿りしているところに秀一が合流。話題は葵の退部のこと。コンクールが終わってから辞めればいいものを、なぜ今。秀一は去年の大量退部に原因があるのではと推測する。しかし衝突したのは葵の上と下の世代では…悶々としたまま答えはでない。
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明くる日の練習、ついに恐れてた事態が起きる。自分のパートをうまく吹けない葵に詰め寄る滝。いつまで吹けるようになるか、という質問に答えられない葵。
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そしてこの挿絵ですよ…こんなの入れられますか?全部分かってるあすか、友だちとして不安な香織、実力主義の麗奈、全員立場が違うんですよね。もう本当にこの、安い言葉を使いたくないんですが、人生ですよねぇ。なんか自分の身の回りでも経験があるような心のひっかかりを想起させる陰鬱ながら味があるシーンです。そして…
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私、部活辞めます。
きてしまった…ついに…。この記事を書いていて、当時視聴していた時の心境が蘇ってきました。全国という最高峰、その頂きに至る道は長く険しい。これが全国を目指すということなのか。"ごっこ"は許されない。甘えを捨てて自分を律し、研鑽を積んだ最高の仲間と最高の演奏をした者たちにのみ与えられる舞台。その道半ばですが、無情にも一人脱落した瞬間です。
そしてこの各人の表情ですよ。晴香は特に繊細で、眉や輪郭、目などどれをとってもスタッフが練りに練った技巧が感じ取れますよね。この一瞬の挿絵で話全体の印象は随分変わる。よくこんな素晴らしい絵を描けるものです。この先何度スタッフを称賛するかわからないですがお付き合いください。
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今のまま部活を続けたら志望校に行けないと思うからです。前から悩んでいたんですが、これからもっと練習が長くなることを考えると、続けるのは無理です。
きましたね、ユーフォのテーマである自己欺瞞とアリバイです。結論からいうと上の話は表向きの理由です。まず葵がニ年生の時の三年生は完全なenjoy勢で一年生(現ニ年)はやる気満々だったと。でも一年生が三年生に何かいっても相手にされなくて、一年生は大量に退部する訳です。この時葵は保身に走って三年生の味方をしたんですよね。ところが今、部の状態が変わって全国を目指してがむしゃらに練習するようになった。そして葵は「あの時あんな態度を一年生にとってしまったのに全国なんて、むしが良すぎる」と感じ始めてしまい、テナーサックス奏者として、受験生として、そして過去への清算との間で苦悩したのです。結果選んだのは、過去への清算と受験への道でした。高校受験を失敗したから、大学は…とも言っていましたね。欺瞞ですが本心でもあるのでしょう。複雑な境地でも重要な決断を下した彼女に、最大限の敬意を表したいです。現実的な目線だと、音楽の道へ行くかよっぽど成績が優秀か高卒か、じゃないとこの時期に部活なんてやってられないですよね。どちらかというと灰色の身でありながら部活に時間を割く人たちの方が異常なのかもと思ったり。
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そうですか、わかりましたと滝。コントラバス星人のみどりもこれには驚天。
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立ち去る葵を追いかける久美子。黄前相談所の開設準備か!?
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わたし、のうのうと全国を目指すなんてできない。去年あの子達辞めるの止められなかったのに。そんなことできない。ちょうどよかったんだよ、どっちにしろ受験勉強しないといけないの本当なんだし。これですっきりする。
葵なりの禊という訳ですね。受験のプレッシャー、奏者としての矜持、過去の清算。さまざまな思いが交錯する葵の胸中は察するに余りあります。
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呼び止める久美子に、「オーディションがんばりなよ」という言葉を残す葵。それは先輩として、幼馴染としての最後の餞別であると同時に、この先同じようなことが起きても同じ轍を踏むなよという注意でもありました。
ところでこの横顔、いいですね…。この表情を描けるのって本当に京アニだけだと思うのです。
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部の混乱の原因は自分にあると責める晴香。自分じゃなくあすかならこんなことにはなっていない、と。久美子はそんなことない、晴香には晴香のいいところがあるという。矢継ぎ早に晴香はそれを言ってみてというが、やさしいという点しか答えられない久美子。
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やさしいなんて、他に褒めるところがない人にいうセリフでしょ!
きました、地味な名言。ハッとさせられますよね。これは当時結構ぐさっときたというか、誇張なしにこの回を見てからは人を褒める機会があったら、具体的に褒めようと思わせてくれたセリフです。
すみません、としか言えない久美子。そこへ…
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謝らなくていいよ。
ラスボス降臨。ま、まだ最初の村で剣も盾も初期装備ですよ、、プルプル、、
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久美子へ戻るように促し、晴香にはハンカチを渡す。さらに情緒不安定なところを治すよう諭されるが…
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だったらあすかが部長やればいいでしょう!?
驚く二人。否、あすかは刹那に冷静になり引き金を引く…
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だったら晴香も断ればよかったんだよ。違う?
それは反則だ…切ってはならないカードだよあすか…
いや、このセリフ深いんです。というのもこれはある種のブーメランじゃないかなと。全体の幸福より自己満足をとれというのは、自分にも刺さるんですよ。このダブルスタンダード!深い!深すぎるユーフォ!まぁでもこの段階ではあすかのアイデンティティは詳らかになってないですから、ただ強キャラ感がただよってるんですが、視聴完了後はまた違った印象ですよね。
悪口(今回のは悪口とは違いますが)というのは自分が嫌だと感じるものを無意識に言ってしまうものです。だからこの言葉があすかから出ることは、とても意味深に聞こえるんですよね。虚勢が虚勢に見えないプリテンダーっぷり。なんていいキャラなんだ…そしてここの作画もすばらしい…
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怒涛のAパートからBパートへ。北宇治イチの出世頭はまだモブです。
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メンタルがやられ一時休戦の晴香。しかたなし。
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晴香不在の穴を埋めるあすか。上の空の久美子に喝を入れる。
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合奏でも音をこぼす久美子。まだ尾を引いている様子。
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去年何があったのか訊く一同。
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音楽はサッカーみたいに点数で決まらない。一部の審査員の評価と音楽の楽しさがイコールな訳ない…でもそれはキツイ練習をしたくない言い訳だった。
悟った夏紀。まぁ言い分はわかりますけどね。であればこそ、審査員の評価でどうなろうが楽しければいいなら、なおのこと全力でやっても言い訳で。
これも自己欺瞞とアリバイの話というわけですね。大テーマと小テーマがフラクタル構造になっていて、美しい部分です。
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希美がチラっと登場!やる気のない同級生に練習やろうと声をかけている様子です。この子もまた、環境に振り回された運のないキャラなのです。希美たちがいなくなるまで無視をしたという同級生たち。陰湿すぎる…
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しかし香織や晴香は無視に加担せず、両者の仲を取り持とうとしたそうな。なんていい子たちなんだ。
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しかしあすかだけはどこまでも中立。今と全く変わらない、と夏紀。
あすかは人生何周目なんだ一体。
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あれだけやる気のなかった私が、ちょっとやる気になってるくらいだから今年はすごいと夏紀。一種の作業興奮でしょうか。やる気というものはそもそもないんですよね。5分でもいいからやって、それで何かができるようになると興奮し、また次もやるようになる。まぁ直感で好きだなと思えないものをやる必要はないですが。
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ファミレスで駄弁る三人。久美子は中学の時のことを思い出す。久美子にもどうやら思い当たる節があったようだ。
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運命の流れアレンジとともに、香織が晴香の見舞いにくる。この舞台100点すぎる。この運命の流れ、うるさいくらい触れていてすみません笑
しかしこうして取り上げてみるとわかると思うのですが、重要な心のふれあいがあるシーンでちゃんと流れるんです。運命の流れーーーそれは自己欺瞞とアリバイの裏手にある誰もいじれない装置。運命ですから。その美しく不条理な大法則に抗い時に流される、それは青春の今だけ味わせる特権なんです。
ソースはすぐでないのですが、なぜ京アニが高校生ばかりとりあげるのかについて監督の誰かがなんかのインタビューで語っていました。曰く、高校生という形がいびつで脆く儚い時期に彼らが葛藤しながら進んでいく様が、映像として映えるんだとか。ものすごくわかりますよね。大人が主役の物語ももちろんいいものはありますが、ハリー・ポッターだって子どもの純粋さと大胆さが巨悪に打ち勝つ原動力になりましたからね。
今日の練習は副部長としてあすかが完璧にこなした、と香織。そして…
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あの状態の部を引き受けるには相当な勇気が必要で、それを全部計算してあすかは引き受けなかった。
ここ、初見だと違和感ですよね。逆じゃない?と。いやアレだけカリスマがあって実力もあって冷徹になれるんだから、逆に適任なんじゃない?と。
つまりあすかの情報が開示されていなく、今までの様子ならあすかなら適任じゃないかと視聴者は思ってる訳です。でも竹馬の友である香織からの目線だと勇気がない、と。
ここ非常に面白い演出です。1~7話で叙述トリックが視聴者に仕掛けられてるのと同時に、香織視点ではまた違うあすか像が語られているので、あすかの認識にズレが生じるアポリアを生んでいるんですよね。このシーンによってあすかという存在がまたよくわからなくなるのです。ともすれば尺を巻いた弊害のようにも見える危険な演出です。香織とあすかの仲も語られてないですしね。ですが個人的にはとても文学的なシーンだと思っています。
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晴香にはあすかにはない勇気がある。晴香が部長になったから、今の部がある…
何もいいません。無粋というものです。
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話したいことあったら何でも話してよ。力になれないかもだけど。
なんという対比。久美子は全国金以上のものを、もう手に入れてるんです。
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秀一とぶつかる葉月。顔が乙女や!
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あすかはどこまでが演技でどこからが本気かわからない、と秀一。あすかは私たちと見ているところが全然違う、と久美子。少しずつ話の焦点があすかに合っていく感じがいいですね。
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四次元ポータルから現れる麗奈。
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部長復帰。結局こういうダウンする時はダウンして、さっと復帰できる人が一番強いのかもと思ったり。あすかのような強さも憧れはありますが、折れた時が怖いですよね…
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やっぱり私、そこまで吹部好きじゃなかったんだよ。
これは戦友を気遣ってのやさしい嘘ですね。いや、仮に受験がなかったとしても全国を目指したいというほどの熱量は本当にないのかもしれない。でもそんなもんですよね。会社に入るのだってその会社の事業が必ずしも好きという訳じゃないし、サッカー選手だって日本で細々とやれればいい人もいれば海外クラブに行きたい人もいる。すべての人は弁護士や医者を目指さないといけないのか?大学院に行かず大手に入ろうとしない人は怠惰なのか?
原始的な問を視聴者に与えていると思います。葵の等身大な視点はとても深みを与えてくれていますよね。
晴香はどう?と葵。そして…
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私は、多分…
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所変わって仲良し三人。葉月が突然、「久美子って秀一と付き合ってるの?」とぶっこみ怒涛の7話終了です。
編集後記
いやー長かった!笑
5300文字です!3~4時間かかりました!もうこうなる気がしてたんですよね。あまりに濃密な回ですから。それぞれの思惑が交差しすぎる!笑
でも本当に読み解くのが面白いです。実際の人間関係にありそうなドロっとした感じが青春とマッチしていますよね。でもこれでもまだ序の口、、、
おそらくどんどん文量は増えるので、執筆時間も長くなりそうです。まぁでも仕事や余暇時間の合間合間で細々とやっていきますよ!