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第二百八十五夜 『どろろ』

『どろろ』という作品をご存知だろうか。

生まれ持って生贄として捧げられ、身体の48箇所を欠損した状態で生まれた百鬼丸がそれぞれの48部位を持つ妖怪を倒し、自身の本当の身体を取り戻していくという手塚治虫氏の代表作の一つである。


多くの人は生まれながらにして四肢を持ち、五感を持ち、それを当たり前のように生活をしているものである。

そのため、この作品は意外と共感し難いものなのかもしれない。


しかし、人は新しい何かを、夢や目標を持った際には、百鬼丸と同じように思い悩むものなのではないだろうか。


理想の自分を想起する。

さて、理想は理想である。


現在はそうでないことがほとんどであろう。

その理想に近づくために自身の欠損している能力や行動を補っていくものである。


そこで肝要なことは、自身の立ち位置を知り、捕捉することである。


「彼を知り己をしれば百戦殆からず」という中国の言葉も、現代では相手ばかり見ていないで、自信を見つめなおせという場面で使われることも多い。


自分自身が一番、自分を変化させることへの障壁を作ることも多くの人は経験済みであろう。


己がどれほど足りていないかを知る作業は、相応のストレスがかかることだろう。

しかし、一方で、変化を求めるためにはそこに対峙し、退治し欠損部位を取り戻すが如く、理想の自分に足りない部分を地道に埋めていくほかないのである。


戒めのような。

そんな自戒の物語を今夜は知るそうではないか。


はてさて、私の足りない部位は後いかほどか。

数えること、埋めること、一つ一つである。


物語の続きはまた次の夜に…
良い夢を。


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