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第七十七夜 『戦争と平和』

2023年10月。パレスチナ領ガザ地区にいる宗教勢力ハマスがイスラエルへ攻撃。
それによりイスラエル側の報復という形でガザ地区に大規模の武力抗争が起きた。

先のウクライナ・ロシア間の戦争でも明確になった通り、戦争はSNSというメディアを介してよりプロパガンダ性を帯びたようにも思える。

私は緊張が高まる中、ありったけの情報をSNSや海外の報道、国内のメディア(残念なことに国内メディアはほとんど大した情報を流してはいなかったのだが。)を漁った。

そして、思い出したように彼に確認をする。

「中東の動きが怪しいです。すぐにでも開戦の可能性があります。ドル円への影響は
どの程度でしょうか。単調な動きになるとは思えないのですが。」

株式会社アメリは9月の頭よりドル円相場に資金を投じる決定をしていた。今回、中東が開戦した場合の値動きの予想をしたかったのである。私自身は他の情報を調べるのに手一杯であるからだ。

「中東戦争に関しては、開戦したとしても、今回のエントリーのリスク範囲内です。ご安心ください。」

端的な回答である。しかし、私はそれを鵜呑みにすることはせずに彼に問い直す。

「具体的にねぜ大丈夫なのでしょうか。過去のオイルショック等を確認すると動きが激しいこともあったようだったので根拠を知っておきたいです。知らない状態で進むべきではありませんので。」

即座に反応が返ってきた。
「理由はチャートが一番確率が高いからです。世の中の出来事はそのチャートに対しての反応にすぎません。」

腑に落ちた。
「なるほど、確率論ですね。」

「そうです。世の中の事実を知るためにはお金の流れを客観視することが一番です。」

「ユダヤ系の方々の資金が動くので少し心配になりました。これが台湾事由に発展しなければいいのですが。」

「世界情勢をしっかり見てますね。とても良いことです。」

世界情勢くらい当たり前に見るだろうという言葉が頭をよぎる。しかしそれは経営者だからではない。
「子どもの安全のためです笑」

「なるほど定義がしっかりしていますね。」

戦争の情報なんて正直知りたくもない。特に昨今はSNSによる誰もが報道を行える時代となり、生々しい画像や動画が出回っている。
ハマスに捕えられた疑惑のあった幼い孫の死亡報告を良かったと行った老人がいたという。それは捕えられて捕虜にされるくらいであれば死んだほうがまだマシであるという戦争のない国では驚きの発言であった。

エドワードサイード著『オリエンタリズム』を大学時代に読んだ。中東戦争はとかくプロパガンダによる偏向報道を問題視されている。今回もイスラエルかハマスどちらが悪いのかなんてことは判断できない。

私にできるのはこの戦争により、どんな影響が家族に及ぶかを予測して対策を打つだけである。
そのためには見たくもない事実に目を向ける必要がある。幸いそれは経営にも活きるというだけの話だ。

物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。

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