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第二百三十三夜 『the Long Game 下』

朝10時。彼は険しい顔を見せていた。
その日は、月次の定例税務会議の日であった。

これはそれなりの緊張感のあるものである。
アメリは将来的に会社を大きくしていくことも視野に入れ、監査が厳格である税理士事務所に税務、人事労務を依頼している。

しかし、彼の険しい表情とは裏腹に、担当の税理士先生は明らかに楽しそうである。

「売上と利益がムラが無く安定的に増えて来ましたね」

「昨年と比較しても今季は6ヶ月の時点で昨年1年の売上を更新してます」

「経営状況の内容も凄く改善できて良いと思います」

彼の険しい表情が少し緩む。
フラットに物事を伝えてくれる税理士先生からのお褒めの言葉に少し、緊張の糸が緩んだのだろう。

その後も、今回の税務会議は過去に比べ、「笑み」が格段に増えたものとなった。

彼自身、定量的に会社が良くなっていることはわかっていたものの、それを社外の人から伝えられるのでは訳が違うのであろう。

険しい顔はいつしかほぐれ、純粋に喜びの感情をのぞかせている。

ここ1週間で多くの会社様から協業の申し入れやより良い待遇でのお誘いをいただく機会が増えた。
もちろん、企業なので相手方も営利目的ではあろう。

しかし、それは相手方にとっての商売になる会社であるということが認められたということである。

アメリの成長の裏付けはもちろんであるが、同時にその期待を背負いさらなる成長を遂げていかなくてはいけない。

それはなんとも心地の良い責務であろうか。

私は思う。

アメリは期待されている。ステークホルダーを豊かにする企業になりつつある。

彼は思う。

まだまだアメリは成長する。ここから全日本国民の不安と向き合っていくことのできる企業になる。

ステークホルダーに思われたい。

アメリとの付き合いが自分自身を豊かにし、社会をより良い方向に進ませる。

私と彼の物語は『千夜一夜物語』同様、日々進んでいるのである。

物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。

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