第二百四十五夜 『BLACK LAGOON』
珍しく私は彼とランチをとっていた。
彼は人とランチを取ることを執筆のため極力控えているためである。
「先週末に引き続き、日経平均の下落がすごいですね。」
「そうですね。新NISAを1月から始めていた場合でも、もうすでにマイナス域に達した方がほとんどなのではないでしょうか。」
「ドル建て資産に関しても、円安が解消されて、利益が相殺されてしまっている状態です。」
「すべての投資商品ではないものの、日本人がおよそ考えうるほとんどの証券資産はマイナスを割り込みそうですね。」
「今回の日銀の利上げはわずか0.25%でしたが、これほど一般投資家にまで波及するとは。落ち着いて対処してほしいですね。」
まさにバタフライエフェクトなのではないかと思うほど、テコの原理が働いた相場であったことは間違いない。
そんな日経の急落を横目に私と彼はいつも通りである。
やるべきことは変わらないし、我々は投資の王道を熟知しているからこそ、この相場で慌てる必要もないのである。
FPである我々が狼狽しているようでは、資産の相談など預かれないだろう。
「実際、こんな暴落なんてものは定期的なものですからね。」
「今狼狽している方ほど、何もしなくていいと伝えて上げないとですね。」
投資の三原則は何度でもいうが、『長期・積立・分散』である。
もちろんレバレッジをかけていてロスカットなんてことであれば話は別であるが、少なくとも、NISAの積立枠のような長期投資を目的とした投資に関して言えば、今は仕入れ時と捉えることができる。
しかし、先日も話した通り、何も学ばずに投資を始めてしまった人ほど、こういった相場で投資を止めてしまい、投資に対する不信感だけを残してしまう。
「こういった時ほど、自身の立ち位置を確認することが重要ですね。まさにライフシミュレーションの見直しです。」
彼の言いたいことはわかっている。アメリが提供するサービスは来る次の波に、つまりは次の暴落時に、国民がマネーリテラシーを獲得することによって、歯牙にもかけないようにすることを実現するだろう。
「大丈夫。我々が片っ端から救います。」
彼のこの言葉は直接金銭的に援助するということではない。こういった定期的な暴落を捉え、一つの波として乗り越える術を日本国民、全世帯に持ってもらうこと。ライフシミュレーションを用いた個別面談で我々はその考え方を伝えていくのである。
「日経225も真っ赤になりましたね。これはなかなか見れない光景ですね。」
「まだまだ急落の余地はあります。アメリカ経済の株価指数によってもさらに変動はあるでしょう。」
アイスコーヒーの氷が溶け切ってしまった。
彼と話をしているとすぐに時を忘れる。
私と彼はこのチェーンの喫茶店で株価について話している。
お互いの表情は明るく、未来にワクワクしている。
「相場の動きは未確定ですが、生きていく上でのお金に関するルールは定量的で明確です。我々FPがお客様に提供できるサービス、ライフシミュレーションはこういう時にこそ、人々に安心を与えることができそうですね。」
さて、新NISAを始めて、阿鼻叫喚している読者もいるかもしれない。
お伝えしておこう。
売る必要はない。
どうせ10年以上持つ資産なんだ。
何もせず動かず積み立てていこうじゃないか。
『長期・積立・分散』。
それが出来ているのであれば、動かなくていいのである。
今は雌伏の時である。
蛇のようにチャンスを待つだけだ。
物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。
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