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第五十五夜 『狭き門』


「狭き門より入れ。」

人が多く入ろうとする門ははそれだけ競争が激しい。
だからこそ狭き門に向かえというアンドレジイドの言葉は私の座右の銘の一つである。

そして、株式会社アメリでは代表取締役の私、そして、取締役の彼はどちらも狭き門を地で目指す捻くれ者である。
そして狭き門に入るためのファストパスが資格だと理解しており、資格の取得を意識的に行なっている。

ランチェスター経営戦略においては、弱者が強者に勝つために必要な戦術として、集中戦略を紹介する。ヒト・モノ・カネの全てを一点に集中することにより差別化を図るのである。

株式会社アメリは一見、観点としては創業期から多角化をしているようにも見える。収益性の高い不動産だけでなく、保険や節税、相続、ライフシミュレーション等様々なサービスを提供している。

そう様々に見えるのである。

だが実際は、私も彼もそれらのサービスを多角化だとは一切思っていない。なぜならそれら全てが FP(ファイナンシャルプランナー)としての受験科目の範疇であるからだ。

「ライフプランはどのような人にも必要です。我々は最終的に目指していくのは単元的なビジネスではなく、FP事業に関わる6科目を駆使して顧客の財産を守っていくことです。」

彼のこの発言は創業前に我々の価値観としていちばん共通していた部分である。
「それをサービスとして提供するためには問題点が多いですね。」

私は問題を提起する。
「ライフプラン、相続等の相談業務をFPの範囲で受け取っても報酬がほとんど受け取れません。これではサービスを提供し続ける屋台骨ができませんね。」

FPの業務は多岐に渡るが、その全てから報酬をもらえていないことがほとんどである。というよりもFP業務のみで経営を続けることができる会社がほとんどないのである。

アメリとして出した結論は「収益の出やすい不動産業」を中心にはサービスを展開することであった。

これは単純にそこで稼いでいこうということではない。単価の高いもので資金を集め、次の一手を打ち出し、そして最後には顧客にFPというサービスを恒久的なものとして提供することが目的だ。

我々は大きい門の奥の狭き門を目指し歩み始めている。

物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。

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