第七十六夜 『ミッドナイトインパリ』
「第4Q達成したら、社員旅行に行きましょう。」
Sは第4Qより営業部の数字の責任を負うことになった。もちろん達成した場合にはボーナスも用意してあるのであるが、加えて要求してきたことが2点あり、そのうちの一つが社員旅行であった。
「達成するのであれば、行こうか。」
私は個人的にかなり気に入っている宿がある。Sの力で達成した暁にはそこに行こうと勝手に考えている。
ここで一つの問題が出てくるのである。
以前、経営MTGかただの飲み会かは忘れたが、この宿に社員旅行に行きたい旨を共同経営の彼に伝えたことがあった。
その際に、私は家族を、彼は婚約者を連れて行けるようにしようと話していたのだ。
問題とはSは一人で参加になるということである。
正直、宿の近くには娯楽はない。自然くらいしかない。
私と彼が家族を連れていくことに不条理を感じてしまわないだろうかと一瞬考える。
「その時までにパートナーでもできていたら一緒に連れてきなよ。」
この一言だけでいいだろう。Sに良い出会いがあれば、営業部の達成と彼のプライベート2倍祝えるじゃないか。
この心配は杞憂であろうか。いや。達成するのであろうからちゃんと考えるべき問題だ。
物語の続きはまた次の夜に… 良い夢を。