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第二百四十七夜 『最高の人生の見つけ方』

「ライフシミュレーションを実際に行ってみて、気がついたことがあります。私たちは本来こういう仕事をすべきなんだなと。」

お盆期間にも関わらず、私は彼とオフィスで会議をしていた。
お互い休みは自分のペースで取っているため、変にリズムが崩れる休みかたはしたくないという理由だろう。

「ライフシミュレーションで対価をいただくということでしょうか。」

「そうです。ただ正確には違います。」

彼は本日2杯目の無料のアイスコーヒーをもらいに席を立つ。
オフィスに併設されたカフェでは席数に応じてアイスコーヒーを無料で提供してくれるのである。

アイスコーヒーと共に戻ってきた彼は話を再開する。

「実際に行ってみて感じたのは、私自身に関してではなくお客様の姿勢に関するものです。」

「姿勢ですか。」

「それこそ、今回行った結果なのですが、毎日質問がひっきりなしに届きます。でも、考えてみればそれは当たり前のことなんですよね。」

「当たり前ですか。」

「そうです。そもそもどんな人であっても自分の人生に本当に興味がない人などいません。その上で、『こうできたらいいな』とか『せめてこうだったら』と要望があるわけです。」

「未来への展望や、不安の解消を求めますからね。」

「ライフシミュレーションとはその『こうできたらいいな』を具体的に数値に置き換えることができます。その希望する未来は実現可能なのか、足りていないのであればどの程度の資産が足りないのかがわかるんですから。
 そして、ここからが重要です。私たちがシミュレーションを作成するときは、お客様の話をしていただきます。しかも、未来の自分の話をです。本質的に自分の話を聞いてもらえるということは人にとって楽しいと思うものでもあります。」

「確かに、人はどこかで自分の話を聞いてもらいたいと思っているものですからね。」

「そこにライフシミュレーションの価値があると思います。お客様の夢を共有していただき、FPとしてフラットな目線で、定量的にその可否を伝えて現在地を見ていただく。そうして初めて…」

「具体的な解決策を出せると。」

遮るような形になってしまった。反省だ。

FPはとかく、何かを販売して生計を立てているケースが多い。
FPの業務を担いながら、保険業や不動産業で生計を立てている。

アメリであっても現在の会社の在り方はそうである。

しかし、今後、我々はそれらの商品を価値として提供することよりも、相談を商品として提供できる価値を付与していくことに注力すべきであろう。

その先にしか、FPという職業がプロとして市場を形成することはできないのではないだろうか。
日増しにその感覚が強くなる。

物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。

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