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知られざる扉の向こう側とは?


ある日、古い洋館に住む青年、拓也は、家の片隅で奇妙な扉を見つけた。その扉は、何度も掃除してきた場所に突然現れたように見えた。年季の入った木製の扉は、少し歪んでおり、触れると冷たい感触が手に伝わってきた。

「こんなところに扉なんてあったか?」拓也は疑問を抱きつつも、その扉の向こうに何があるのかを知りたいという強い好奇心に駆られた。彼は扉をそっと開けると、そこには見たこともない異世界が広がっていた。

扉の向こう側には、緑豊かな森と澄んだ小川が流れており、現実世界ではあり得ないほど美しい光景が広がっていた。しかし、何かが異様に感じられる。静かすぎるのだ。鳥のさえずりや風の音が一切聞こえず、ただ森の奥深くから漂ってくる静寂だけがあった。

拓也は一歩、また一歩とその世界に足を踏み入れた。進むにつれて、彼はこの場所が現実とは違う時間軸に存在していることを感じ始めた。時計の針が止まったかのように、時間がまるで凍りついているようだった。

「この場所は何だ?」彼は立ち止まり、周囲を見回した。その時、森の奥から微かな光が見えた。彼はその光に導かれるように歩みを進め、やがて小さな石の祠(ほこら)を見つけた。祠の中には、古びた本が一冊置かれていた。表紙には「時間の書」とだけ書かれている。

拓也は恐る恐るその本を手に取ると、次の瞬間、周囲が一変した。森の静寂は消え、彼の周りには騒々しい音や光が溢れた。気がつくと、彼は元の世界に戻っていたが、手には「時間の書」が握られていた。拓也はこの本が、異世界への扉を開く鍵であり、その世界の秘密を解くための手がかりであることを直感的に理解した。

しかし、その本を開くべきかどうか、彼はまだ迷っていた。もし本を開けば、再びあの静寂の世界に戻ることができるかもしれない。しかし、それがどんな結果をもたらすのかは全く予測がつかなかった。

「知られざる扉の向こう側とは、一体何なのか?」拓也は自問し、深い思索にふける。しかし、扉を開けた瞬間の不思議な体験は、彼の心に強く焼きついて離れなかった。

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