見出し画像

海底に眠る星


若き船乗りリオンは、伝説の「星の涙」と呼ばれる宝石を探す旅に出ていた。その宝石は海の底深くに沈み、夜空に輝く星々の力を秘めているという。宝石を手に入れた者は、世界を支配する力を持つと言われていた。

リオンは小さな帆船に乗り、相棒の賢いイルカ、スフィンとともに広い海を航海していた。彼の胸には、幼い頃から祖父から聞かされていた「星の涙」の物語が深く刻まれている。

「もう少しだ、スフィン。この先に、伝説の海底都市があるはずだ!」

夜空に輝く星々が導くように、リオンは星座を頼りに船を進めた。しかし、突如として暗い嵐がリオンたちを襲う。大きな波が船をのみこみ、海の中へと引きずり込まれた。

気がつくと、リオンは静かな海の底にいた。周りを見渡すと、そこには見たこともない巨大な遺跡が広がっていた。まさに伝説の海底都市だったのだ。

「すごい... 本当に存在していたんだ!」

リオンは心を奮わせ、都市の中心にそびえる巨大な神殿へと足を進めた。スフィンも彼の隣で泳ぎ、まるで道案内をするかのように先を進んでいた。

神殿の中に入ると、そこには美しい青い光を放つ宝石が静かに輝いていた。それが「星の涙」だった。リオンは慎重にそれを手に取ろうと手を伸ばした、その瞬間——

「お前が、この宝を持つにふさわしいか?」

低く響く声が神殿内にこだました。リオンの前に、かつてこの海底都市を治めていた王の霊が現れたのだ。王の霊は、リオンの目をじっと見つめる。

「星の涙は強大な力を持つ。だが、その力をどう使うかで、未来は変わる。お前にその覚悟はあるか?」

リオンは迷いなく頷いた。「僕は、この宝を悪い者たちの手から守り、みんなのために使いたいんだ。」

王の霊はしばらく黙っていたが、やがて微笑んだ。

「ならば、持っていけ。お前なら、きっと正しい道を歩むだろう。」

その瞬間、リオンの手の中に「星の涙」が収まった。宝石はリオンの決意に応えるように、さらに強く輝きを放ち始めた。

嵐が過ぎ去り、リオンは再び海面へと戻ることができた。スフィンとともに宝石を守り、新たな冒険へと旅立つ準備をするのだった。これからの彼の旅路には、無限の可能性が待っている。


いいなと思ったら応援しよう!