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深夜の廊下に響く足音の謎を解け!


古びた洋館の廊下で、深夜になると必ず足音が響くという噂があった。この洋館は、戦前から建っており、今では町の有志によって保存されているだけで、ほとんど使われることはない。噂の原因である足音は、まるで何者かが廊下を歩き回っているかのように、規則正しく響くと言われていた。

町の人々はその足音を「幽霊の仕業」だと信じていたが、青年の修一はそんな噂を信じる性格ではなかった。彼は好奇心と探求心の強い性格で、大学で物理学を学んでいる。彼はその足音の正体を突き止めるべく、洋館に一晩泊まり込むことを決意した。

深夜、洋館の廊下に修一の足音だけが響いていた。月明かりが窓から差し込み、廊下をぼんやりと照らしている。修一は懐中電灯を手に、足音の出どころを探りながら歩いていた。

午前2時が近づく頃、噂通りの足音が廊下に響き始めた。その音は、階段の下から上へと進んでくるようだった。修一は緊張しながらも、音のする方向へと進んだ。足音は、まるで誰かがすぐ近くを歩いているかのようにリアルで、床が軋む音までがはっきりと聞こえる。

音の出どころにたどり着いた修一は、そこで意外な光景を目にした。廊下の端に古びた時計があり、その時計が原因だった。時計の振り子が動くたびに、まるで足音のような音が響く仕掛けになっていたのだ。修一はその時計を注意深く調べたところ、時計内部の歯車が古くなり、振り子が特定の動きで壁に当たることで、足音のような音が生じていたことに気付いた。

「これが足音の正体だったのか」と、修一は一人頷いた。噂の原因は幽霊などではなく、ただの機械の故障だった。修一はその場で時計を分解し、歯車を修理して再び組み立てた。修理後、時計は正確に動き、足音のような音は完全に消えた。

翌朝、町の人々に報告するために修一は洋館を後にした。噂の真相が解明されたことで、町の人々はホッとしたように見えたが、同時に少し寂しさも感じているようだった。幽霊の噂は、ある意味で町にとっての楽しみでもあったのかもしれない。

修一は自分の手で謎を解き明かした満足感に浸りながら、古い洋館を後にした。これで、深夜に響く足音の謎は完全に解明されたのだ。


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