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メドトロニック (Medtronic,MDT) の2-4月(FY24,Q4)決算と最新動向:メリット・メディカル・システムズとの新提携に注目


メドトロニック (Medtronic) は、グローバルに展開する大手医療機器メーカーです。*ペースメーカーでは世界首位。その最新の決算報告と新たな提携が注目されています。このnoteでは、メドトロニックのFY24第4四半期の業績や今後の展望、最新の製品承認状況について解説していきます。

メドトロニック(Medtronic)は、1957年に世界初のバッテリー駆動型ポータブルペースメーカーを開発し、ペースメーカー技術の革新をリード。1970年代にはプログラマブルなペースメーカーを、1990年代には双心室ペースメーカーを導入。21世紀には遠隔モニタリング機能やMRI対応ペースメーカーを開発し、心臓治療において重要な役割を果たしています。

MDT

FY24第4四半期業績は?

メドトロニックの本決算は4月。2024年4月通期を1年とする、第4番目の四半期の決算であり、1年を通じての締めの決算月、4月となります。英語の表記は

Medtronic plc (NYSE:MDT) today announced financial results for its fourth quarter (Q4) and fiscal year 2024 (FY24), which ended April 26,

となっていました。

MDT

メドトロニックのFinancial statementsには、決算書を見る上で基本的な勉強ができる用語が出てきますので、あわせて解説していきます。

第4四半期業績解説

1. 報告事業ベースの業績(Reported Basis)

報告事業ベース:公式に発表された財務データ。すべての買収、売却、為替変動の影響を含みます。

  • 報告ベースの売上高: 85億8,900万ドル(前年同期比 +0.5%)

  • 営業利益:10億5300万ドル(同+5%)

  • 当期利益:6億5,400万ドル

1-1オーガニックベース

  • オーガニックベースの売上高: 86億400万ドル(前年5.4%増)

オーガニックベースの売上高は、為替変動の影響を除外して算出。企業本来の事業の成長力を評価、つまり既存事業からの純粋な成長を表しています。2024年度第4四半期では、ドル高による為替のマイナス影響があったため、報告ベースの売上高はオーガニックベースの売上高よりも低くなっています。報告ベースでは0.5%の増収でしたが、為替影響を除くとオーガニックベースでは5.4%の増収と言うことになります。

報告ベースの売上高は、為替変動(のほかM&A、会計処理の変更を含むこともあります。)等、実際の売上高を示します。オーガニックベースは、これらの影響を除いた既存事業の純粋な成長を表しています。両者を比較することで、企業の本来の業績を多角的に評価できると思います。

2.GAAPとNon-GAAP業績

一般に認められた会計原則に基づく財務報告をGAAP(Generally Accepted Accounting Principles)。Non-GAAPは一時的な費用や非現金支出を除外し、企業の経営陣が重要と考える指標です。

今回(FY2024,Q4)のメガトロニック決算には、
両方とも、同じ売上高となっていました。

3.調整後EPS(Adjusted EPS)と 希薄化後EPS(Diluted EPS)

最も一般的なEPSの計算方法は、当期純利益を発行済普通株式数で割って算出します。基本(Basic)EPS = 当期純利益 ÷ 発行済普通株式数

一方、

調整後EPSは一時的な費用や特定の非現金支出を除外した後の1株あたり利益。そして、希薄化後EPSは、株式オプションなどの潜在的な株式を考慮に入れた1株あたり利益となります。

メガトロニックFY2024,Q4は調整後EPSはなく、
基本EPS、希薄化後EPSとも、0.49ドルとなっていました。

4.事業別売上高

Medtronicの4つの主要事業セグメントは4つに分けられます。

  1. Cardiovascular (心血管):31.3億ドル/売上構成比36.4%

  2. Neuroscience (神経科学):25.4億ドル/同29.6%

  3. Medical Surgical (医療外科):22億ドル/25.6%

  4. Diabetes (糖尿病):6.6億ドル/同7.7%

  5. その他:0.57億ドル

2024年の1年を通じての業績は?

  • 売上高が報告ベースで前年比+3.6%増、324億ドル

  • 既存事業(オーガニック)ベースでは同+5.2%増の322億ドル

  • GAAPベースの希薄化後EPSは2.76ドル

  • 非GAAPベースの希薄化後EPSは5.20ドル

営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローの状況は?

  • 営業キャッシュフローは12%増の68億ドル

  • フリーキャッシュフローは14%増の52億ドル

同社の強力な資金調達能力を示しています。

株主還元策は?

株主還元は55億ドルに達し、その中には第4四半期の自社株買戻し16億ドルが含まれています。

メドトロニックとメリット・メディカル・システムズの提携とは?

最近、メドトロニックはメリット・メディカル・システムズと提携し、椎体圧迫骨折治療用片側バルーンカテーテルKyphon™ KyphoFlex™の提供を発表しました。この提携により、メドトロニックのペイン・インターベンションのポートフォリオがさらに拡大し、片側および両側の椎体増強ソリューションを提供することが可能になります。これにより、同社はさらに多様な治療オプションを患者に提供できるようになります。

About  メドトロニック

  1. 創業年: 1949年

  2. 上場年: 1977年

  3. ティッカー・シンボル:MDT

  4. S&P500セクター: ヘルスケア

  5. 業務内容:

    • 心臓ペースメーカーを中心とした医療機器の開発・製造・販売

    • 循環器領域、外科領域と低侵襲治療・診断領域、神経科学領域、糖尿病領域の4つの事業を展開

  6. 年間売上高:324億ドル(約4兆8,600億円)

  7. 時価総額:988億ドル(7/15時点)

  8. ライバル企業: アボット・ラボラトリーズ(ABT),ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)など

  9. 日本での同業種:オリンパス(7733),テルモ(4543)

  10. 従業員数: 約95,000人 (160近くの国に480以上の拠点)

  11. 本社:アイルランド、ダブリン

まとめ

メドトロニックのFY24第4四半期決算とFY24通年の業績は、同社の強固な成長基盤を示しています。特に既存事業ベースでの売上増加や新製品の承認取得が目立ちます。さらに、メリット・メディカル・システムズとの新たな提携により、ペイン・インターベンションのポートフォリオが強化されることで、患者への治療オプションが拡大します。FY25に向けたガイダンスも強気であり、株主還元にも積極的です。これらの結果から、メドトロニックは引き続き医療機器業界でのリーダーシップを維持し、今後も成長を続けることが期待されます。


よくある質問 Q&A

Q: メドトロニックの最新の製品承認について教えてください。
A: メドトロニックは最近、米国FDAからEvolut™ FX+ TAVRシステムとInceptiv™閉ループ脊髄刺激装置(へいループせきずいしげきそうち)の承認を取得しました。また、腎除神経(じんじょしんけい)システムSymplicity Spyral™も米国FDAおよび中国国家医療製品局(NMPA)から承認されています。

Q: メドトロニックのFY25のガイダンスは?
A: メドトロニックはFY25のガイダンスとして、1株当たり四半期配当を0.70ドル、年間配当を2.80ドルに設定し、これにより47年連続の増配を予定しています。

Q: メドトロニックとメリット・メディカル・システムズの提携について教えてください。
A: メドトロニックはメリット・メディカル・システムズと提携し、椎体圧迫骨折治療用片側(ついたいあっぱくこっせつちりょうようかたがわ)バルーンカテーテルKyphon™ KyphoFlex™の提供を発表しました。この提携により、メドトロニックはペイン・インターベンションのポートフォリオを拡大し、患者にさらに多様な治療オプションを提供できるようになります。

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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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