希薄化後と調整後:知っておくべき、投資に役立つ重要キーワード17選【米国株編】⑭
希薄化後と調整後は、EPSの特殊なバリエーションとされます(他の財務指標にも適用される考え方ですが・・)。投資家やアナリストが、企業の実質的な収益力や財務状況を把握することができるため、四半期決算等では、よく取り上げられています。他のnoteで紹介した、売上高やEPS、GAAPとともに参考にしてください。
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希薄化後EPS(Diluted EPS)
希薄化後1株当たり利益(Diluted EPS)は、企業の純利益を、将来的に発行される可能性のある全ての潜在的な普通株式を考慮に入れて計算した1株当たりの利益を示す指標。基本的なEPS(Earnings Per Share)は現在の発行済み株式数だけを考慮しますが、希薄化後EPSはストックオプション、ワラント、転換社債などの希薄化効果を含めて計算され、企業の収益性をより保守的に評価することができるとされます。
ポイント
新株予約権やストックオプションなどの潜在株式を考慮して計算される。
将来的に株式数が増加する可能性を加味したより厳密なEPS。
計算式: 希薄化後EPS = 当期純利益 ÷ (発行済株式数 + 潜在株式数)。
一般的に基本的EPSよりも低い値になる。
調整後EPS(Adjusted EPS)
調整後(Adjusted)EPSは、通常のEPS(1株当たり利益)から一時的・異常な特別損益を除外したもの。特別損益には、工場の減損損失や訴訟和解金、M&Aに関連する費用などが含まれますが、明確な定義はなく、企業が独自に決定できるためNon-GAAP指標、非GAAPとも呼ばれることがあります。
調整後EPSが米国で良く取り上げられるのは、株主にとって、企業の経常的(一定間隔、一定頻度で発生する様子)な収益力を測る指標として重視されているからです。調整後EPSは臨時的な損益を除外しているため、前年より増加している場合やアナリスト予想を上回る場合、その企業の本業による1株当たり利益が好調であることを示します。
ポイント
特殊要因を除外して計算されるnon-GAAP指標。
例えばIT業界では株式報酬費用を除いて計算するのが慣例。
企業が独自に定義できるため、比較可能性に欠ける場合がある。
一般的に基本的EPSよりも高い値になる傾向がある。
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まとめ
2つの主な違い
計算方法:
希薄化後EPSは潜在株式を考慮
調整後EPSは特殊要因を除外
目的:
希薄化後EPSは将来の株式希薄化の影響を反映
調整後EPSは企業の実質的な収益力を示す
規制:
希薄化後EPSは会計基準で定められた計算方法がある
調整後EPSは企業が独自に定義可能
比較可能性:
希薄化後EPSは企業間で比較しやすい
調整後EPSは企業ごとに定義が異なる可能性がある
一般的な値:
希薄化後EPSは基本的EPSより低くなる傾向
調整後EPSは基本的EPSより高くなる傾向
希薄化後EPSと調整後EPSは異なる目的と計算方法を持ち、投資家はそれぞれの特徴を理解した上で活用することが求められます。
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。