ネクステラ・エナジー、持続可能なエネルギー分野のリーダー。最新決算【1-3月/Q1】ハイライト
日本では聞きなれないかもしれませんが、フロリダ州を拠点とするネクステラ・エナジー(NEE)は、エネルギー業界で一際目立つ存在です。傘下のフロリダパワー&ライト(FPL)は2019年にガルフ・パワーを買収・併合し、フロリダ州で580万以上の顧客に電力を供給。また、ネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)はアメリカ40州とカナダに発電施設を保有し、風力や太陽光の再生可能エネルギー発電量は世界最大級です。さらに、ニューハンプシャー州やウィスコンシン州に7基の原子力発電所を運営し、アラバマ州では同州初の再生可能天然ガス生産施設を建設する計画を進めています。持続可能な未来に向けたNEEの取り組みを見ていきましょう。
2つの力で
フロリダ・パワー&ライト社(FPL)
地域エネルギー供給の要:
主な業務は、フロリダ州の家庭や企業への電力を供給。州内最大の電力会社。
再生可能エネルギーへの取り組み
-FPLは費用対効果の高い太陽光発電に注力しており、1,640メガワットの新たな太陽光発電設備を稼働。
-FPLの所有・運営する太陽光発電ポートフォリオは6,400メガワットを超え、米国国内最大規模に。
ネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)
全米および国際的な再生可能エネルギー開発:
NEERは主にフロリダ州外での再生可能エネルギープロジェクトを担当しています。
太陽光発電、風力発電、蓄電など、多岐にわたる再生可能エネルギーの開発と運営。
再生可能エネルギーとストレージのリーダー:
NEERは2024年第1四半期において、約2765メガワットの新たな再生可能エネルギーとストレージのプロジェクトを受注。
特に太陽光発電と蓄電の分野での成績は非常に高く、受注残も増加。
持続可能なエネルギーの推進:
NEERは全米および国際的にクリーンエネルギーの普及を推進、再生可能エネルギー分野でのリーダーシップを発揮しています。
FPLとNEERでNEE
FPLはフロリダ州内での電力供給と地域の顧客サービスに焦点を当てており、NEEの収益の大部分を担っています。
NEERは全国的および国際的な再生可能エネルギープロジェクトの開発と運営を担当しており、NEEの再生可能エネルギー分野での成長を牽引しています。
このように、FPLとNEERはそれぞれの得意分野で活動し、ネクステラ・エナジー(NEE)の総合的なエネルギー戦略の成功に大きく貢献しています。
再生可能エネルギー企業への軌跡
はじまりは、1925年
ネクステラ・エナジーのルーツは1925年に設立されたフロリダ・パワー&ライト社(FPL)にさかのぼります。当初、FPLは発電所、水道施設、ガスプラント、製氷会社など多岐にわたる事業を展開していました。第二次世界大戦中には多くの従業員が軍隊に入隊し、女性の雇用が進むなど、社会的な変化にも対応してきました。1950年にはニューヨーク証券取引所に上場し、1966年には顧客数が100万人を超えるなど、順調に成長を続けました。
1972年、ターキーポイントでフロリダ初の原子炉が発電を開始。1974年から1977年にかけて、FPLは初の500キロワット送電線を建設し、全米で1,000万KW以上の電力を生産できる企業の一つに。
1985年、FPLは初めて石油を使わずに顧客の需要を満します。1989年、FPLは日系企業以外で初めて*デミング賞を受賞。1992年には、排出量が州内の他社よりも少ないことを報告。1997年にFPLエナジーが設立され、後にネクステラ・エナジー・リソーシズに改名。1998年、初の風力発電所が稼働。
2009年、FPLエナジーがネクステラ・エナジー・リソーシズに改名し、風力と太陽光発電で米国内最大手に。
2010年、FPLグループはネクステラ・エナジーに改名し、太陽熱発電と天然ガス発電を組み合わせた世界初のハイブリッド施設を稼働。
2020年、FPLは最後の石炭火力発電所を閉鎖し、米国最大のコミュニティ・ソーラープログラムを開始。2022年にはガルフ・パワーの統合を完了し、炭素排出ゼロを目指す目標を設定。
2023年、クリーン水素パイロットプロジェクトが水素製造を開始。
以上のように、ネクステラ・エナジー(NextEra Energy, Inc.、NEE)は、米国の再生可能エネルギー企業のリーダーとして、その卓越した技術と持続可能なエネルギーへの取り組みで異彩を放っています。
*デミング賞は、品質管理の父と言われるウィリアム・エドワーズ・デミング(W. Edwards Deming)に由来、 品質管理と品質向上の分野で優れた成果を挙げた企業や組織に贈られる賞です。1951年に日本の日本品質管理学会(JUSE)が創設し、毎年、優れた品質管理システムを実現し、経営においてもその成果を示した企業や組織に対して贈られています。世界的にも高い評価を受け、品質管理におけるベストプラクティスを示す指標の一つとされています。
FPLは国内最大の電力会社所有の太陽光発電ポートフォリオを有し、顧客数も大幅に増加しています。また、費用対効果の高い太陽光発電設備を新たに約1640メガワット稼働させるなど、クリーンで手頃な価格のエネルギー提供に重点を置いています。21ギガワットの太陽光発電と4ギガワット以上の蓄電池を計画もしており、太陽光発電の割合を2033年には38%まで増加させる予定です。一方、
ネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)は、新規の再生可能エネルギーとストレージの組成において過去2番目の四半期を迎え、受注残に約2765MWを追加。NEERは、太陽光発電、風力発電、蓄電においても優れた成果を上げています。
名前の由来
2010年、FPLグループはネクステラ・エナジーに社名を変更。新しい名前には、次世代のエネルギーソリューションを提供し続けるという意志が込められています。NextEraという名前は、「Next Era of Energy(次の時代のエネルギー)」を象徴し、企業のビジョンと使命を反映しています。
About ネクステラ・エナジー
設立:1925年(FPL)
上場:1950年2月
ティッカー・シンボル:NEE
セクター:公益事業(Utilities)
年間の売上高:281億ドル(2023年)
株式時価総額:1,481億ドル(約23.7兆円7/5時点)
ライバル企業:Duke Energy(DUK)など
日本の同業種:中部電力(9502),関西電力(9503)など
本社:米国フロリダ州
従業員数:9,500人
1-3月/Q1,2024第1四半期決算から
売上高:57.3億ドル
利益:18億6,800万ドル(調整後ペース)
1株当たり0.91ドル
調整後1株当たり利益は前年同期比で約8.3%増加
フロリダ・パワー・アンド・ライト(FPL)の業績
1,640メガワットの太陽光発電を新規に稼働
純利益は11億7,200万ドル(1株当たり0.57ドル)に増加
2024年の燃料節約予測に基づく顧客請求額削減が承認され、一般的な1,000キロワット時の住宅顧客請求額は全国平均より約37%低い
ネクステラ・エナジー・リソーシズの業績
約2,765メガワットの新規再生可能エネルギーと蓄電池プロジェクトを追加
調整後ベースの純利益は8億2,800万ドル(1株当たり0.40ドル)に増加
ネクステラ・エナジーの第1四半期業績は好調で、調整後1株当たり利益は前年同期比約8.3%増加。また、EPSは4セント増加し強固な成長を遂げています。さらに、費用対効果の高い太陽光発電プロジェクトを新たに1,640MW追加するなど、再生可能エネルギーへの投資も積極的に行っています。
エナジー・リソーシズ部門では、競争上の優位性を活かし、電力および商業・工業用顧客にサービスを提供し、約13.1%の調整後増益を達成しました。さらに、新規の再生可能エネルギーとストレージを約2,765MW追加し、過去2四半期で2番目の新規受注量を記録するなど、堅調な業績を上げています。
2026年までの財務見通し
ネクステラ・エナジーの財務見通しによると、2024年の調整後一株当たり利益は引き続き3.23ドルから3.43ドルの範囲と予想。2025年と2026年については、2024年の調整後一株当たり利益の範囲から6%から8%の成長見込み。これは2025年には3.45ドルから3.70ドル、2026年には3.63ドルから4.00ドルの範囲となるとのこと。ネクステラ・エナジーはまた、2022年を基準に、少なくとも2024年まで1株当たり配当金を年率約10%で成長させると引き続き見込んでいるとしています。
連続増配は28年
配当実績:0.515ドル
年間配当:0.515×4=2.06ドル
株価:72.09ドル(7/5終値)
配当利回り:2.06/72.09×100=2.86%
*手数料、税金は考慮していません。また購入時の株価によって、配当利回りは変わってきます。
まとめ
ネクステラ・エナジー(NextEra Energy, Inc.、NEE)は、再生可能エネルギーのリーダー企業として成長を遂げてきました。1985年にFPLは初めて石油を使わずに電力を供給し、1989年には日系企業以外で初めてデミング賞を受賞。ネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)は風力と太陽光発電で米国内最大手に育っています。さらに2020年には最後の石炭火力発電所を閉鎖し、クリーンエネルギープロジェクトを推進、2023年にはクリーン水素プロジェクトを開始しています。
このようにネクステラ・エナジーは次々と新しいエネルギーへの方向性を打ち出し、持続可能な未来に向けた取り組みを続けています。
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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。