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コストコ、6-8月決算: 安定成長と高評価の裏にある戦略と課題【6-8月/Q4,2024】
コストコ・ホールセール(Costco Wholesale Corporation,COST)は、会員制倉庫型小売業を世界中で展開する企業。9月26日には、6-8月(第4四半期)および2024会計年度の業績が発表されました。コストコはそのユニークなビジネスモデルと高い顧客満足度で、多くの投資家から支持されています。
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コストコの売上高はどれくらい?
第四半期と通期
コストコは8月本決算で会計年度は通常、52週間で構成。最初の3四半期<第1四半期(9-11月),第2四半期(12-2月),第3四半期(3-5月)>は各12週間。第4四半期(6-8月)は、会計年度の調整のために16週間または17週間になります。今回は2024年会計年度Q4(16weeks)と通期の決算です。
6-8月/第4四半期は
売上高:781億8,500万ドル(前年同期比+1.0%)
会員費(メンバーシップ・フィー):15億1,200万ドル営業利益:30億4,200万ドル
純利益:23億5,400万ドル
EPS(1株利益):5.29ドル(希薄化後)
Q4の既存店売上高(為替とガソリン価格の影響除く)は前年同期比6.9%増(市場予想:6.4%増)で、堅調な伸び。
客単価は0.9%減少も、客数は6.4%増加。(米国の既存店売上高は6.3%増、予想+6.0%)
*Eコマース売上高は19.5%増加(市場予想:19.6%増)し、家具や家電、大型商品、金地金などが好調。これらの商品は2025年もEコマース成長の牽引役になる見通し。
商品カテゴリ別:「食品・雑貨」は微減も、食品以外の商品の販売が好調で、特に金地金や宝石、家具の売上が二桁の成長を記録。
粗利率は0.4ポイント上昇し11.00%。
有料会員数は7,620万人(+7.3%,市場予想:7,499万人)で、会員更新率は90.5%と高い水準を維持。
米国とカナダでの会員費値上げが2025年度後半から業績に寄与する見通し。
米国東海岸での港湾ストライキの可能性に備え、ホリデーシーズンに向けた対策を講じている。
2024年度通期では
売上高:2,544億5,300万ドル(前年2,422億9,000万ドル,+5.0%増)
会員費(メンバーシップ・フィー):48億2,800万ドル
営業利益:92億8,500万ドル
純利益:73億6,700万ドル
EPS(1株利益):16.56ドル
税務処理による影響は?
2024年度の業績には、6,300万ドルの臨時税額控除や移転価格税制の和解に関連する非経常的な税務利益が含まれており、希薄化後1株当たりの利益に対して約0.14ドルのプラス影響を与えました。税務上のメリットがあったものの、コストコの強力な事業基盤と効率的な運営による利益成長が大きく寄与しています。
コストコの個性と強み
大規模な倉庫型店舗:
コストコの店舗は「倉庫店」(warehouses)と呼ばれ、平均的なサイズは約1.36万㎡(14.6万平方フィート)で、東京ドームの約10分の3の広さに相当。シンプルな店内設計:
店内は装飾を抑えたシンプルな設計で、商品は大量に積み上げられ、コストを抑える、効率的な運営を可能にしています。限定的な商品ライン:
一般的なスーパーマーケットと比べて、取り扱う商品数(SKU)を約4,000点程度に絞ることで商品あたりの売上を高め、仕入れ交渉力を強化に成功。
コストコの成長戦略とは
会員制
コストコには、いくつかの重要な成長戦略があります。一つは会員制ビジネスモデル。コストコの低価格戦略は、会員費を主要な収益源としており、安定した収益基盤を築いています。また、会員の継続率は非常に高く、米国では90%以上を誇っています。
さらに、コストコは商品ラインナップを厳選し、プライベートブランド「カークランドシグネチャー」の拡充により利益率を高めています。少数精鋭の商品のみを取り扱うことで在庫管理が効率化され、結果としてコスト削減にもつながっています。
倉庫は世界にどのくらい?
国際展開
コストコは世界中で891の倉庫を運営。特に米国(プエルトリコ含む)で614店舗と大多数を占め、カナダに108、メキシコに40、英国に29、韓国に19、オーストラリアに15、台湾に14、中国に7、スペインに5。日本では35店舗が運営されており、根強い人気を誇っています。
国際展開はコストコの重要な成長ドライバー。特にアジア市場では、日本や韓国、中国などでの積極的な店舗展開をして、さらなる市場拡大を狙っています。
*eコマースの強化も国際市場での競争力を高めています。オンラインショッピングの需要はパンデミックを機に急速に拡大しており、コストコはこの分野にも積極的に投資しています。特に米国やカナダなどの主要市場では、効率的な物流ネットワークを駆使して、迅速な商品配送を実現しています。(*コストコはeコマースサイトを米国、カナダ、英国、メキシコ、韓国、台湾、日本、オーストラリアで運営)
総合的な収益性でガッチリ!
低い粗利益率
コストコの粗利益率は低く、約10-11%程度。これは一般的な小売業界の平均である30-50%と比べてかなり低い水準です。因みに、ウォルマート(WMT)の粗利益率は25%ほどです。
高い在庫回転率
コストコの棚卸資産回転期間は約30日と、他の小売業と比べて非常に短く、商品の回転が速い、キャッシュフローの改善に寄与しています。
高い1店舗あたりの売上高
コストコの1店舗あたりの売上高は約2.45億ドル(約300億円)と非常に高い水準にあります。これは大規模な倉庫型店舗と効率的な運営によるものです。
低い販管費率
コストコは倉庫型の店舗運営や少人数のオペレーションにより、販管費率を約9%程度に抑えています。これは他の小売業と比べて低い水準です。
コストコの純利益率は約2.5%程度で小売業界の平均と比べてやや低めですが、高い売上高と安定した会員収入により、総合的な収益性を高めています。
同社は低マージン・高回転のビジネスモデルと会員制による安定収入を組み合わせることで、独自の収益を構築。この戦略により、他の小売業とは異なる形で高い収益性を実現しています。
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コストコのガスステーション
コストコのガソリン販売は、グローバルな戦略の一環として位置づけられており、多くの国で同様のサービスモデルが展開されています。低価格と高品質を両立させることで、会員に対する付加価値を高めています。
北米での展開
アメリカとカナダでは、多くのコストコ倉庫店にガスステーションが併設されています。
グローバル展開
コストコは世界13カ国で直営の倉庫店を展開しており、多くの国でガスステーションサービスを提供。
*2024年9月時点での、日本国内での倉庫数は35、うち20以上の倉庫でガスステーションを備えています。
ビジネスモデル
コストコのガソリン販売は、日本と同様に会員制を基本としています。
低価格戦略は他国でも同様で、利益を追求せず、会員への還元とコスト削減に重点を置いています。
品質へのこだわり
アメリカでは、コストコのガソリンは「TOP TIER™」(トップティア)承認を受けており、高品質であることが認められています。
支払い方法
多くの国で、クレジットカード(主にMastercard)やコストコのプリペイドカードでの支払いが一般的です。
集客効果
ガスステーションは、倉庫店への集客効果も期待されており、買い物のついでに給油するという利用パターンが想定されています。
日本でのコストコ再販店
コストコ再販店とは、コストコで商品を仕入れて自店舗で再販売する店舗です。コストコのビジネス会員として正式に認められた仕組みで、違法性はありません。
特徴:会員登録や年会費不要で誰でも利用可能。
コストコの人気商品を小分けやバラ売りで提供。
駅近くや市街地など、アクセスの良い場所に立地。
店舗数と展開:
2024年10月時点で全国に120店舗以上存在し、急増中。
東京、大阪、福岡など全国各地で展開。メリット:
コストコ会員でなくても購入可能。
小分けで購入できるため、試し買いや少人数世帯でも利用しやすい。
コストコ本店より手軽に利用できる。価格設定:
コストコ本店より10-30%程度高い価格設定。
小分け容器代や輸送費、人件費などが上乗せされる。ターゲット層:
ひとり暮らしや車を持たない人。
コストコに興味はあるが会員になるほどではない人。課題:
本店より品揃えが限られる。
生鮮食品やパン類は入荷日当日でないと購入が難しい場合がある。
再販店は、コストコ商品をより身近に、手軽に購入できる選択肢として日本において、人気を集めています。
About コストコ
設立:1983年
1976年にサンディエゴの飛行機格納庫を改造した倉庫が発祥。上場:1985年
ティッカー・シンボル:COST
セクター:生活必需品(Consumer Staples)
株式時価総額:3,880億ドル(約56.3兆円)
年間売上高:2,545億ドル(約37兆円)
ライバル企業:ウォルマート(WMT),ターゲット(TGT)
日本での同業種:セブン&アイHD(3382),イオン(8267)
従業員数:30.4万人
投資金額目安
875.67ドル×1株×146円=127,750円〜
*手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。
まとめ
コストコの最新決算では、売上高、利益ともに順調に成長していることが確認されました。安定した会員基盤、優れたコスト管理、そして国際展開を強化する戦略により、同社は引き続き投資家にとって魅力的な企業と言えるでしょう。
コストコは、さらなる成長を目指し、効率的な運営と国際展開に力を入れていくことが期待され、長期的に見て、同社は堅実な投資先として注目に値します。
Q&A
Q: コストコの売上成長の要因は何ですか?
A: コストコの売上成長は、既存店売上の拡大と新店舗展開、さらにプライベートブランド「カークランドシグネチャー」の成功によるものです。また、ガソリンや食品など必需品の低価格提供も、顧客のリピート率を高める要因となっています。
Q: コストコの利益率はどうやって高められているのですか?
A: コストコは、少数精鋭の商品を取り扱うことで在庫管理を効率化し、さらにプライベートブランドを強化することで利益率を向上させています。また、会員費が安定した収益源となっており、価格競争力を維持しつつも高い利益を実現しています。
Q: 国際市場での展開はどのように進んでいますか?
A: コストコは、日本、韓国、中国などのアジア市場で積極的に店舗を拡大しています。特に日本では35店舗を運営し、非常に高い人気を誇っています。また、オンラインショッピングの強化により、国際的な競争力をさらに高めています。
Q: コストコはなぜ会員制を採用しているのですか?
A: コストコの会員制は、安定した収益源となるだけでなく、会員に対して特別感を提供し、リピート率を高める効果があります。会員費を低価格商品の提供に活用することで、競争力のある価格設定を維持しています。
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。