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ベクトン・ディッキンソン最新決算:好調を維持!ベクトン・ディッキンソン(BDX)の成長戦略とは?【4-6月/Q3,2024】


米国のベクトン・ディッキンソン<ティッカー・シンボルはBDX>、以下BDは、革新的な技術を提供、米国と欧州で強みを発揮している医療機器メーカーです。第3四半期決算は、堅調な結果でしたが、同社が目指す、革新的な医療技術のリーダーに向けて、レベルアップをはかる、段階にきています。


調整後売上高は、50億ドルを突破!

  • 売上高:49億9,000万ドル
    <調整後50億5,700万ドル>
    -メディカル:25億5,800万ドル
    -ライフサイエンス:12億6,000万ドル
    -インターベンショナル:12億4,000万ドル

  • 営業利益:6億200万ドル

  • 当期利益:4億8,700万ドル

  • EPS:1.68
    -調整後:3.50ドル

ベクトン・ディッキンソン、BDの2024年度第3四半期の売上高は、報告ベースで50億ドル、調整後の売上高は51億ドルと、堅調な結果。*GAAPベースでの希薄化後EPSが1.68ドルに達し、前年同期比で23.5%へ。調整後EPSは3.50ドルと、前年同期比18.2%となりました。

Q3の売上高(為替や事業売買等の影響を除いたベース、オーガニック)は前年同期比で5.2%増(市場予想+6.3%)。中国市場の低迷やライフサイエンス事業における一時的な需要減少が逆風となったと同社はしています。

企業決算では、non-GAAP(上記のオーガニック売上高など)とか非GAAPをよく目にします。GAAP(Generally Accepted Accounting Principlesの略)は日本語では「一般に公正妥当と認められた会計原則」と言います。non-GAAP、非GAAPなので公式には認められていない利益指標ということです。

また希薄化後1株当たり利益(Diluted EPS)は、企業の純利益を、将来的に発行される可能性のある全ての潜在的な普通株式を考慮に入れて計算した1株当たりの利益を示す指標です。これにより、企業の収益性をより保守的に評価することができます。基本的なEPS(Earnings Per Share)は現在の発行済み株式数だけを考慮しますが、希薄化後EPSはストックオプション、ワラント、転換社債などの希薄化効果を含めて計算されます。

さらに、調整後EPSとは普通のEPSから臨時異常な特別損益を除外したEPSです。
臨時異常な損益とは、工場建物の減損損失や訴訟和解金、M&A関連費用等が挙げられますが明確な定義はありません。会社が独自に決定してよいとされています。

公式に認められていないのに、また会社が独自決めて良い指標なのに、なぜ米国ではこれほどまでに、non-GAAPや調整後EPSが使われているのか?
それはどちらの考え方も企業の経常的な一株当たり収益性を測ることができる指標として、株主が重視しているからです。例えば、

調整後EPSには臨時異常な損益は除かれているので、調整後EPSが昨年より増えている、あるいは事前のアナリスト予想を超えるということは、その企業の本業が稼ぐ一株当たり利益が好調であることを意味します。
普通のEPSは本業以外の臨時異常な損失や利益を含んでいるので、たとえEPS自体が前年から減少していても、調整後EPSさえプラスであればその企業の本業が稼ぐ一株当たりの収益性は健全だと判断できるます。

ただ、いくら想定外、臨時異常と言えどもそれが現実に発生したコスト(ないし収益)であることに変わりはなく、それは株主の負担になるものです。よって調整後EPSもEPSもどちらも大事。両方を比較することで、その企業の本質が見えてくるのでは・・
non-GAAPや調整後EPSまでに目が行き届くまでになると、あなたの米企業選択力はレベルアップしているの思います。

米国企業決算の特徴

BD主要3部門のQ3(第3四半期)は?

  • メディカル部門(BD NEDICAL):(為替の影響を除く)は、カテーテルや減量薬の需要を背景に投薬機器事業が堅調。

  • ライフサイエンス部門(BD LIFE SCIENCES):診断事業が堅調もバイオサイエンス事業が一時的な市場の需要減少。

  • インターベンショナル部門(BD INTERVENTIONAL):外科手術事業や泌尿器事業は好調。中国市場は減少(がん向け治療など)。

地域別では

  • 米国:28億9,700万ドル

  • インターナショナル:21億6,000万ドル

2024年通期見通しは?<9月までを会計年度1年とする(fiscal 2024)>

同社は、24/9通期計画においてQ3の業績を踏まえ、

  • オーガニック売上高の成長見通しを前年比5.00-5.25%増(従来:5.50-6.25%増)へ下方修正

  • 調整後EPSは下限を上方修正し13.05-13.15ドル(従来:12.95-13.15ドル)とし、市場予想を上回りました。

  • キャッシュフロー
    -継続事業からのキャッシュはの27億ドル(前年+60%増)
    フリーキャッシュフロー22億ドル(同+100%増)。この増加は、BDの効率的な運営管理と収益性の向上を物語っています。

トップが語るBDの未来とは?

"私たちのチームがBDを、私たちが目指した革新的な医療技術のリーダーへと変貌させつつあることは、かつてないほど明確です。"

トム・ポーレン会長兼CEO

とBDの長期的な成長戦略に対する自信を示しています。

ガイダンスの上方修正は、BDが市場でのポジションをさらに強化し、持続的な成長を実現できる可能性を示唆。同社の事業戦略は、製品ポートフォリオの拡充とイノベーションに焦点を当てています。

特に診断、ライフサイエンス、医療機器といった主要分野での技術革新が、今後の成長をサポート。また、キャッシュフローの増加は、今後の投資や研究開発に充てられる予定であり、さらなる製品開発と市場拡大を推進することが期待されます。

連続増配は52年

BDは、米国の連続増配企業のトップクラスに入るほど、52年にわたり増配を続けています。財務基盤のしっかりとした、老舗優良企業として、今後も連続増配の記録更新が期待されています。

配当利回りの目安

  • 直近配当実績:0.95ドル(6月)

  • 年間配当金:0.95×4=3.8ドル

  • 株価:234.74ドル(8/20終値)

  • 配当利回りの目安:3.8÷234.74×100=1.62%

*手数料、税金等は考慮に入れていません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。

投資金額の目安

  • 234.74ドル×147円×1株=34,506円~

**手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。

About ベクトン・ディッキンソン

  • 設立:1897年

  • 上場:1963年

  • ビジネス概要:注射器、カテーテル等の医療用品がメイン。採血や検体採取、検査機器、コロナ・インフルの同時検査試薬も

  • セクター:ヘルスケア(Health Care)

  • ティッカー・シンボル:BDX

  • 年間売上高:194億ドル(約2.85兆円,会計年度2023年9月)

  • 株式時価総額:669億ドル(約9.8兆円,8/20時点)

  • ライバル企業:ダナハー(Danaher,DHR)

  • 日本での同業種:テルモ(4543)

  • 従業員:75,000人

  • 本社:米国ニュージャージー州

まとめ

BDが直面する課題の一つは、グローバルな医療環境の変化と競争の激化です。しかし、同社の強力なポートフォリオとイノベーションへの投資が、これらの課題を克服するための鍵となります。また、BDは持続可能性と社会的責任にも注力しており、これらの取り組みが企業の信頼性をさらに高める要因となっています。

今後もBDは、医療技術のリーダーとしての地位を確立し、株主価値を高めるための取り組みを続けていくものと思われます。新興市場での成長機会や、既存市場でのシェア拡大が期待されます。同社の集中的な努力が、長期的な目標達成に向けた好位置付けを確立していると言えます。

よくある質問 Q&A

今回の決算や事業内容をQ&Aでおさらい・・

Q: ベクトン・ディッキンソン(BDX)はどのような事業を展開しているのですか?
A: BDは、医療機器、診断機器、ライフサイエンス製品など、幅広い医療関連製品を提供するグローバル企業です。特に、医療用注射器や診断用機器などで強みを持っています。

Q: 2024年度第3四半期の決算結果はどうでしたか?
A: 売上高は50億ドルを超え、GAAPベースの希薄化後EPSは1.68ドル、調整後EPSは3.50ドルと、いずれも前年同期比で大幅に成長しました。また、キャッシュフローも大幅に増加しています。

Q: BDの今後の成長戦略は?
A: BDは、ポートフォリオ全体の強化と技術革新に注力しており、既存市場でのシェア拡大と新興市場での成長を目指しています。さらに、持続可能性と社会的責任にも取り組んでおり、長期的な成長を見据えた戦略を展開しています。

Q: 投資家にとってBDXの魅力は何ですか?
A: 安定した売上と利益成長、強力なキャッシュフロー、そして技術革新への取り組みがBDXの魅力です。また、ガイダンスの上方修正も、今後の成長に対する期待を高めています。

Q: BDは今後どのような課題に直面する可能性がありますか?
A: グローバルな医療環境の変化や競争の激化が課題となる可能性がありますが、BDの強力なポートフォリオとイノベーションへの投資がこれらの課題を克服する鍵となるでしょう。

設立の経緯など、BDをさらに詳しく知るにはこちら↓


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