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ニューモント (NEM) の4-6月決算:金や銅の生産で強力なパフォーマンス!【4-6月/Q2,2024】
世界的な鉱業企業、米国最大の金鉱会社、ニューモントコーポレーション(NEM)は、7月24日に第2四半期の業績を発表。今回の決算では、金や銅などの重要な資源の生産量、フリーキャッシュフローの大幅な増加、そして株主還元に関する具体的な施策が報告されました。特に、ニュークレスト社の買収によるシナジー効果や資産売却による収益化が注目されます。
ニューモントとは
ニューモントは、コロラド州デンバーに本社を置き、北米、南米、オーストラリア、アフリカなど世界各地で金の採掘・製錬事業を展開しています。2023年11月には豪州の大手金鉱会社ニュークレストを買収し、業界最大手の地位を確立しました。
主力製品: 売上高の約89%を占める金が主力製品。
その他の製品: 銀、亜鉛、銅なども生産。
生産規模: 2023年末時点で、保有する金鉱山の推定埋蔵量は約1億3590万オンスに達し、年間金生産量は約540万オンスに上ります。
ニューモントの2024年第2四半期の業績は?
売上高: 44億200万ドル(前年同期比+64.1%)
純利益:8億5300万ドル( 前年同期の5.5倍)
1株当たり利益(EPS): 0.74ドル(前年同期0.19ドル)。
金の生産量: 160万オンス
銅の生産量: 3万8,000トン
フリーキャッシュフロー: 5億9,400万ドル
営業活動によるキャッシュフロー: 14億ドル
調整後*EBITDA: 20億ドル
フリーキャッシュフローの大幅な増加が注目され、ニューモントが強固なパフォーマンスを維持していることを示しています。銅や金の生産量も堅調に推移し、鉱業界でのリーダーシップを維持することに成功しています。
*EBITDA(イービットディーエー/イービットダー)「営業利益+減価償却費」(多く利用される計算方法):
営業利益とは、企業が本業で稼いだ利益で、支払利息や税金を差し引く前の金額。減価償却費は、企業が購入した「建物や工場、設備、備品」などの固定資産を使用可能期間にわたって、分割して費用計上する処理のことを意味します。
EBITDAは、本業の利益と減価償却費を加えた金額なので、企業のキャッシュベースに近い金額がわかり、M&A(企業の合併や買収)等を検討する場合に有効とされます。
金価格の上昇による恩恵
今四半期決算において、平均実現金価格は以下の通り報告されています:
1オンス当たり2,347ドル
前年同期は1,965ドル
金価格の大幅な上昇を示し、ニューモントの収益増加に大きく貢献。今回の金上昇は、インフレ懸念や地政学的リスクの高まりなど、複数の要因によって引き起こされた可能性を指摘されていますが、金鉱業会社の収益性に直接的な影響を与えるため、ニューモントのような大手金鉱会社にとって好ましい環境と言えます。
2024年通年の金生産量は690万オンスを見込んでいます。
ニュークレスト社買収
買収規模:
買収額は約262億豪ドル(約2.5兆円)で、金鉱山業界では過去最大規模。経緯:
2023年4月にニューモントが買収金額を引き上げて再提案
5月に両社が買収で合意
10月ニュークレストの株主が買収を承認
買収後の規模:
合併後、両社合計の年間金生産量は約250トンとなり、世界の金鉱山供給の約7%を占める見込みです。意義:
ニューモントは業界最大手としての地位を強化し、世界のTier1資産(鉱業業界において最高品質で最も価値のある鉱山資産を指す用語)の半分以上を保有することになります。
この買収は金鉱業界の再編を促進し、ニューモントの市場支配力をさらに強化すると見られています。
ニューモントは、ニュークレスト社の買収を通じて、1億ドルのシナジー効果を達成。買収による合計シナジー効果は、現在までに2億500万ドルに達しており、同社の経営戦略が着実に成果を上げていることを示しています。同社は鉱業界での競争力をさらに強化し、長期的な成長を支える基盤を築いています。
今後の取り組み
ニューモントの資産売却計画は順調?
非中核資産の売却により、少なくとも20億ドルの資金調達を目指しています。
インドネシアのバツヒジャウ鉱山関連の権益を約1.53億ドルで売却する予定。
ニューモントは、非中核資産の売却を進めることで、資産ポートフォリオの最適化を図り、収益の最大化を狙います。
自社株買戻しと負債削減の取り組みは?
同社は、株主還元を重要視しており、第2四半期には2億5,000万ドルの自社株買戻しを実施。また、債務削減にも積極的で、名目債務を2億5,000万ドル削減。同社の財務体質は強化され、今後の成長に向けた基盤が整備されています。
配当政策はどのように?
ニューモントは、2024年第2四半期に普通株式1株当たり0.25ドルの配当を発表。株主への還元を重視する同社の姿勢を反映しており、安定したキャッシュフローと健全な財務体質を背景に、今後も継続される見込みです。
About ニューモント
設立:1921年
上場:1925年
ティッカー・シンボル:NEM
セクター:素材(Materials)
株式時価総額:415億ドル(約6.1兆円,8/26時点)
年間売上高:118億ドル(約1.7兆円,2023年)
ライバル企業:バリック・ゴールド(GOLD)
日本での同業種:住友金属鉱山(5713)
従業員数:14,600人
投資金額目安:
52.26ドル(8/26終値)×147円×1株=7,712円〜
*手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。
まとめ
ニューモントは2024年第2四半期において、強力な業績を記録し、特に金や銅の生産において堅調なパフォーマンスを発揮しました。資産売却や自社株買戻し、負債削減といった施策により、財務体質の強化が図られ、今後も株主還元に積極的に取り組む姿勢が見られます。また、ニュークレスト社の買収によるシナジー効果が現れ始めており、長期的な成長への期待が高まります。
よくある質問 (Q&A)
今回の決算や事業内容をQ&Aでおさらい・・
Q:金鉱会社の決算を見るときのポイントは
A:金鉱会社の売上高は、基本的に生産された金などの鉱物資源を販売した金額で、金の販売が主な収入源ですが、金以外にも、銀、銅、亜鉛などの副産物の販売も売上高に含まれます。金の生産量と市場価格が売上高に大きく影響します。
Q: ニューモントの配当政策は安定していますか?
A: はい、ニューモントは安定したキャッシュフローと強固な財務基盤を背景に、2024年第2四半期にも1株当たり0.25ドルの配当を実施しています。今後も安定した配当政策が期待されます。
Q: ニュークレスト社買収はどのような効果をもたらしていますか?
A: ニュークレスト社の買収により、ニューモントは1億ドルのシナジー効果を達成し、これまでに合計2億500万ドルの効果を享受しています。この買収は、同社の長期的な成長戦略の一環として重要な役割を果たしています。
Q: ニューモントはどのような資産を売却していますか?
A: ニューモントは非中核資産を売却しており、総額20億ドル以上の売却収益を目指しています。これにより、同社は資産ポートフォリオを最適化し、財務の健全性を向上させています。
Q: フリーキャッシュフローの増加は何を意味しますか?
A: フリーキャッシュフローの増加は、ニューモントが効率的に事業運営を行い、資金を生み出す能力が向上していることを示しています。これにより、株主への還元や新規投資に充てる資金が増加します。
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。