インテル、最新決算:官民あげてのサポート体制整う!?【7-9月/Q3,2024】
インテルは、すでに配当停止と100億ドルのコスト削減計画を示しています。再建計画が進められるなか10/31には、7-9月期/第3四半期の決算を発表。かつての半導体、PC業界のリーダーだったインテルは、再建に向けた資金確保のための事業再構築を図っています。一方、米国政府からの補助金やインテルに興味を示す企業が出るなどポジティブなニュースも出てきています。第3四半期決算とともに、今後の復活プロセス!?を見ていきましょう。
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第3四半期決算はどんな内容?
売上高:132億8,400万ドル(前年同期比▼6.2%)
営業利益:▼90億5,700万ドル(赤字拡大)
当期利益:▼166億3,900万ドル(赤字へ)
EPS▼3.88ドル/調整後▼0.46ドル
粗利益率(調整後):18%(予想38%)
研究開発費:40.5億ドル(予想42.8億ドル)
営業損益(調整後):▼23.7億ドル
営業利益率(調整後):▼17.8%
売上高は前年同期比6%減の133億ドル。Q2の1%減から減収率が拡大、償却費や人員削減に伴う退職金などのコスト削減費用が損益を圧迫。事業別の概要は、
インテル製品事業(Intel Products)
クライアントコンピューティング部門(CCG)はデスクトップPC不振で売上高が前年同期比▼6.8%減の73億ドル。ただ、2025年末までに1億台以上のAI PC出荷を目標に順調と同社。
データセンター・AI部門(DCAI)前年同期比9%増の33.5億ドル。Q2の3%減から増収に転じ、新製品「Xeon 6(Granite Rapids)」やAIアクセラレータ「Gaudi 3」を投入。
ファウンドリー事業(Intel Foundry)
前年同期比▼8%減の43.5億ドル。Q2の4%増から悪化。同部門を子会社として分離し外部資本の導入を計画。
次期ガイダンス(見通し)
【10-12月・第4四半期見通し】
-売上高:133億~143億ドル(予想136.3億ドル)
-1株利益(調整後):0.12ドル(予想0.06ドル)
-粗利益率(調整後)39.5%(予想38.7%)
Q4(10-12月)の見通しは売上高133億~143億ドル(中央値は前年同期比10%減)、調整後EPSは0.12ドルと同社は見ています。
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トップのコメント
ゲルシンガーCEOはが再建計画を「史上最も大胆」と強い決意をあらわしています。事業展開としては、インテルが従来の強みであるx86製品ラインと、成長分野であるファウンドリ事業の両方で前向きであることを強調。同社の将来の成長と競争力の維持に重要な役割を果たすと見られています。
*x86アーキテクチャ
x86アーキテクチャは、Intelが開発した命令セットアーキテクチャ(基本設計や構造)で、パーソナルコンピュータのCPUに広く採用されています。このアーキテクチャは、互換性と性能のバランスが取れており、多くのソフトウェアが対応しています。x86は、デスクトップからサーバーまで幅広い用途で使用されており、Intelの主要な技術の一つです。
**Intel 18A
Intel 18Aは、Intelの次世代プロセスノード技術であり、半導体製造における革新を示しています。RibbonFETやPowerViaといった新しいトランジスタ構造が含まれ、電力効率と性能が向上。1.8nm(ナノメートル)クラスの微細化により、より多くのトランジスタを集積できるため、高性能なチップの製造が可能です。
ここからのインテルは?
決算発表後の市場の反応
インテルが、失ったシェアを一部回復できるとの楽観的な見方が広がり、
四半期決算を好感した株価は、
決算発表直前の21.52ドル(10/31終値)から
26.20ドル(11/8終値)まで+21.7%の上昇を見せていました。
事業再建の進展
資金確保のため人員削減、支出削減、配当支払いの停止を実施。
調整後粗利益率は18%まで低下しています(ピーク時は60%超)。
AI分野での競争劣位
AIアクセラレーターチップ分野での製品展開不足により、顧客がエヌビディア<NVDA>に流出している反省を踏まえ、事業の再建に取り組んでいます。
官民上げてのインテルへの興味?
9月以降のポジティブ?なニュースを時系列に追って見ました。
9月16日
米当局との合意で、国防総省向け半導体製造に最大35億ドルの連邦補助金を獲得。
「セキュア・エンクレーブ」プログラムで米政府の信頼を得る。
9月20日
アマゾン<AMZN>傘下AWSがファウンドリー事業の顧客に。
米政府から最大30億ドルの追加補助金を受ける。
ファウンドリー事業を独立部門化し外部資金調達を計画。
欧州工場(ポーランド・ドイツ)建設計画を約2年間延期。マレーシア工場計画を撤回。
9月23日
投資会社アポロ・グローバル<APO>がインテルに最大50億ドル投資提案。
クアルコム<QCOM>による友好的買収提案も報じられる。
11月8日
NYダウ(ダウ30種平均)からインテルが除外され、エヌビディアが採用されるとS&Pダウ・ジョーンズが発表。
About インテル
設立:1968年
上場:1971年
ティッカー・シンボル:INTC
セクター:情報技術(Information Technology)
株式時価総額:1,057億ドル(約16.4兆円,11/22時点)
年間売上高:542億ドル(約8.1兆円,2023年)
ライバル企業:エヌビディア(NVDA),クアルコム(QCOM)
日本での同業種:ソニー(6758),ルネサスエレクトロニクス(6723)
従業員数:124,800人(2024年末までに15,000人を人員削減予定)
最低投資金額目安
24.5ドル(11/22終値)×155円×1株=3,805円〜
*手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。
インテルとエヌビディア、TSMCとの違いやインテルのすべてがわかる!?↓
まとめ
インテルは現在、厳しい市場環境と事業再編の過程にあり、AI搭載PCの普及や新製品の投入など、将来の成長に向けた取り組みを進めています。
CEO主導の再建計画と政府・民間の支援により、インテルは復活へのプロセスに入ったと言って良いでしょう。新たな資金調達や事業再編が進行中であり、長期的には半導体業界のリーダーとしての地位を取り戻す可能性が示唆されています。投資家としては、慎重な判断が求められるところですが、今後も同社の長期的な戦略と市場動向を注視し、見守っていきたいと思います。
よくある質問(Q&A)
Q1: インテルの第3四半期の純損失が大きかった理由は何ですか?
A1: 償却費や人員削減に伴う退職金などのコスト削減費用が損益を圧迫し、純損失が拡大しました。
Q2: インテルはAI市場でどのような戦略を取っていますか?
A2: インテルはAI搭載PCの普及を目指し、2025年末までに1億台以上の出荷を目標としています。また、AIアクセラレータ「Gaudi 3」の投入などでAI市場への参入を強化しています。
Q3: ダウ30種平均からの除外はインテルにどのような影響を与えますか?
A3: ダウ30種平均からの除外は、インテルの市場での地位変化を象徴する出来事ですが、直接的な業績への影響は限定的です。
Q4: インテルのファウンドリー部門の分離はどのような目的がありますか?
A4: ファウンドリー部門を子会社として分離し、外部資本の導入を図ることで、事業の柔軟性と競争力を高めることを目的としています。
Q5: インテルの今後の成長戦略は何ですか?
A5: インテルはAI搭載PCの普及、新製品の投入、事業再編などを通じて、長期的な成長を目指しています。
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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。