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ゴールドマン・サックス(GS)の最新決算:強力な2つの事業で、金利引き下げの逆風を乗り切る!?【7-9月/Q3,2024】


ゴールドマン・サックス(GS)の第3四半期の決算(10/15発表)では、特に「グローバル・バンキング&マーケッツ」と「アセット&ウェルス・マネジメント」部門の好調さが目立ちました。同社(同行)は近年個人向け銀行業務を大幅に縮小し、投資銀行業務の回復から利益を得る体制を整えていましたが、その効果があらわれてきているようです。

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第3四半期は2つの事業部門で稼ぐ

概要

  • 純収益(経常収益):126億9,900万ドル
    -グローバル・バンキング&マーケッツ:85億5,400万ドル(前年同期比+6.8%)
    -アセット&ウェルスマネジメント:37億5,400万ドル(同+16.2%)
    -プラットフォーム・ソリュージョンズ:3億9,100万ドル(同▼32.3%)

  • 純利益:20億9,900万ドル

  • EPS(1株利益):8.40ドル<前年同期5.47ドル>

ゴールドマン・サックスは、2022年に組織再編を行い、3つの主要部門に再編されています。

グローバル・バンキング&マーケッツ

この部門は、ゴールドマン・サックスの中核的な投資銀行業務と市場運用業務を統合したものです。主な機能は以下の通りです:

  • 一流の投資銀行業務

  • 債券・為替・コモディティ(FICC)取引

  • エクイティ取引

企業や機関投資家向けに金融アドバイザリーサービス、資金調達、リスク管理ソリューションを提供。アドバイザリー業務の純収益は21年連続でランキング1位を獲得し、株式および株式関連の引受でも1位を獲得するなど、市場でのリーダーシップを維持しています。

アセット&ウェルスマネジメント

資産運用と富裕層向けサービスを統合し、

  • 世界有数のアクティブ資産運用会社

  • 世界のトップ5に入るオルタナティブ資産運用会社

  • 超富裕層向けウェルス・マネジメントサービス

この部門は、個人投資家から機関投資家まで幅広い顧客に対して、多様な資産クラスにわたる投資商品と資産運用サービス提供。2023年には資産運用報酬等ならびにプライベート・バンキングおよび貸付事業の純収益が過去最高額を更新。

プラットフォーム・ソリューションズ

新しく設立された部門で、主にテクノロジーを活用した金融サービスプラットフォームの開発と運営に焦点を当てています。

  • デジタルバンキングサービス

  • フィンテックソリューション

  • 消費者向け金融商品

ゴールドマン・サックスのデジタル戦略を推進し、より幅広い顧客層にアクセスすることを目指しています。

3部門は、ゴールドマン・サックスの事業多角化と収益源の安定化を図るための戦略的な再編の結果です。この組織構造により、伝統的な投資銀行業務への依存度を減らし、より持続可能で多様な収益基盤の構築を目指しています。

強力な収益力を発揮?

グローバル・バンキング&マーケッツ部門は、今四半期において85億5,000万ドルの純収益を計上。特に、債券・為替・コモディティ(FICC)ファイナンスの分野では、四半期ベースで過去最高の純収入を記録し、この部門の強力な収益力を再確認させる結果となりました。

ゴールドマンは、M&A(企業の合併・買収)および株式売出しの分野で世界第1位の地位を維持しており、業界におけるリーダーシップを発揮、グローバル市場での存在感をさらに強化することに成功しています。

資産管理での成果とは?

アセット&ウェルス・マネジメント部門は、第3四半期に37億5,000万ドルの純収益を記録しましたが、手数料収入などの増加によるもので、資産運用や個人資産管理の強みがうかがえます。

また、同部門の監督下資産は四半期中に1,690億ドル増加し、
過去最高の3兆1,000億ドルに。ゴールドマン・サックスが長期的な成長戦略において顧客の信頼を獲得し、資産運用ビジネスを成功させていることのあらわれです。

プラットフォーム・ソリューション事業の減少は?

一方、プラットフォーム・ソリューション事業は今四半期において減少傾向が見られ、同社の純収益を一部で押し下げる要因に。同事業は、ゴールドマン・サックスのデジタルバンキングやフィンテック分野の一翼を担う部門であり、成長が期待されていますが、厳しい競争環境に直面しています。この減少が全体の収益に与える影響は限定的でしたが、同社が今後どのような戦略でこの分野を立て直すかが注目されます。

普通株式1株当たり簿価が増加した理由とは?

2024年第3四半期において、ゴールドマン・サックスの普通株式1株当たり簿価は1.8%増加し、332.96ドルに到達。同社の利益の堅調さと資本の安定性を反映しており、株主にとってはポジティブなニュースであり、同社の資本効率とリターン向上に向けた努力が、簿価の成長に寄与しており、投資家にとっての長期的な安心感を提供しています。

トップのコメントより

「当社の業績は、経営環境が改善する中で、世界クラスのフランチャイズの強さを実証している。当社の強みである、卓越した人材、実行能力、リスク管理の専門性を引き続き活用することで、複雑な背景の中でも効果的に顧客にサービスを提供し、株主の皆様に成果をもたらすことができます。複雑な事業環境を背景に、顧客に効果的なサービスを提供し、株主に利益をもたらすことができるのです」

デビッド・ソロモン会長兼CEO

最強の情報収集コンビ↓

今後の展望は?

今回の決算結果を受けて、ゴールドマン・サックスは引き続き、グローバル市場での地位を強化しながら、アセット&ウェルス・マネジメントやM&A分野での優位性を活かしていく方針を見せています。プラットフォーム・ソリューション事業の回復が課題となる一方で、FICCや株式売出しでの強さは同社の成長エンジンとして機能しています。

市場動向や金利環境が、同社の業績にどう影響を与えるかが鍵となりますが、世界経済の不透明感が高まる中での、FRBによる、金融政策の動向が、投資家にとっても注視すべきポイントになるのは、当然のことかもしれません。

まとめ

米大手銀は全体的に、金利引き下げによるリテール(個人顧客や中小企業向けの金融サービスを提供する事業)への逆風をかわしつつ、手数料を押し上げる、ディールメイキング(企業間の取引等)増加の恩恵を受けています。

ゴールドマン・サックス(GS)も、近年個人向け銀行業務を大幅に縮小し、強みの投資銀行業務の回復から利益を得る体制を整えてきましたが、金利低下傾向の影響をいかに回避するかが、重要課題であることに変わりはありません。世界の金融市場での動向と同社の戦略的な動きに注目が集まります。

About ゴールドマン・サックス・グループ

  1. 創業年:1869年
    -マーカス・ゴールドマンが、ニューヨーク市のロウアー・マンハッタンで約束手形の売買を始めたのが創業の始まりとされています。1882年に義理の息子のサミュエル・サックスが参加し、1885年にマーカスの息子ヘンリーも加わり、「ゴールドマン・サックス商会」のパートナーシップが成立。

  2. 上場年:1999年
    -長年にわたるパートナーシップ形態の是非をめぐる議論の末、1998年にパートナーたちが上場を決議。 翌年5月4日ゴールドマン・サックスはニューヨーク証券取引所に上場。1869年の創業以来、パートナーシップ形態で発展を遂げ、長い議論の末に上場に踏み切った歴史を持つ投資銀行。創業から130年以上にわたる歴史の中で、数々の金融イノベーションを生み出し、今日の金融業界を代表する企業の一つとなっています。

3.ティッカー・シンボル:GS
4.セクター:Financials (金融)
5.株式時価総額:1,654億ドル<11/5日時点,およそ25.3兆円>
6.年間の純収益:462.5億ドル(2023年)
7.ライバル企業:JPモルガンチェース(JPM),バンク・オブ・アメリカ(BAC)など
8.日本での同業種:みずほフィナンシャル・グループ(8411),
野村ホールディングス(8604)等
9.従業員数:45,300人

投資金額目安

526.96ドル(11/5終値)×154円×1株=81,151円〜
*手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。

よくある質問 Q&A

Q1: ゴールドマン・サックスのFICCファイナンスとは何ですか?

A1: FICCファイナンスは、債券(Fixed Income)、為替(Currencies)、コモディティ(Commodities)の取引を指し、ゴールドマン・サックスの収益源の一つです。市場の動向に敏感で、特に金利やインフレの変動による影響を受けやすい分野です。

Q2: アセット&ウェルス・マネジメント部門の監督下資産とは?

A2: 監督下資産とは、ゴールドマン・サックスが管理・運用している顧客資産の総額を指します。この金額が増加することは、同社の資産運用ビジネスが順調であることを示しており、顧客からの信頼を反映しています。

Q3: ゴールドマン・サックスのM&A分野での強みは?

A3: ゴールドマン・サックスは、企業の合併・買収(M&A)支援において高い専門性と実績を持ち、世界の主要な取引でトップの地位を占めています。戦略的なアドバイスを提供することで、クライアントの複雑な取引を成功に導いています。

Q4: ゴールドマン・サックスの株式を買うべきか?

A4: ゴールドマン・サックスは、安定した収益力と資産管理力を持つ金融大手であり、長期的な成長が期待されます。ただし、投資の判断は個々のリスク許容度や投資目的に応じて行うべきです。専門家のアドバイスも参考にしながら、慎重に検討してください。

Q5: プラットフォーム・ソリューション事業の今後の展望は?

A5: プラットフォーム・ソリューション事業は現在厳しい状況にありますが、デジタルバンキングやフィンテックの需要が高まる中で、ゴールドマン・サックスが新しいサービスを提供し、競争力を回復する可能性もあります。同社の戦略次第で、この分野も再び成長軌道に乗るかもしれません。

前四半期決算は↓

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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