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シスコシステムズ、8-10月四半期決算。大型買収の相乗効果で、AI戦略に道筋。【8-10月/Q1,2025】


シスコシステムズ(CSCO)は、2025会計年度第1四半期の決算(8-10月/Q1,2025)を発表(11/13)。広範囲にわたる顧客からの支持が見られ、製品受注額の増加と利益率の改善が、シスコの強みを裏付ける結果となりました。

『ダウの子犬』5銘柄のうち、株価が2番目に低いものを選んでいく、究極のシンプルな投資法、2025年版PPP  "Penultimate Profit Prospect "にも選ばれた、シスコの実力を深掘りしていきます。↓

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第1四半期業績(8-10月/Q1,2025)

第1四半期の売上高は138億ドルで、ガイダンス(同社の業績見通し)範囲の上限を達成しましたが、前年同期比では5.6%の減少となりました。
概要は以下の通りです。

売上高138億4,100万ドル(前年同期比▼5.6%)
製品:101億1,400万ドル
 Networking(ネットワーキング)ネットワーク機器やソリューションを提供する中核事業:67.5億ドル
 Security(セキュリティ)サイバーセキュリティ製品やサービスを提供
:20.2億ドル
 Collaboration(コラボレーション)チームワークや遠隔コミュニケーションを支援するツールやプラットフォーム:10.9億ドル
  Observability(オブザーバビリティ)システムの監視や可視化を行う技術
:2.6億ドル
 ●サービス:37億2,700万ドル

地域別
-Americas(北米、中南米を含む地域)
:82億5,200万ドル(同▼9%)
-EMEA(Europe, Middle East, and Africa=欧州、中東、アフリカ)
:35億8,800万ドル(同▼2%)
-APJC(Asia Pacific, Japan, and China=アジア太平洋地域、日本、中国含む)
:20億100万ドル(同+1%)

売上総利益率:65.9%
-Non-GAAPベース:69.3%
純利益:27億1,100万ドル(同▼25%)
-Non-GAAPベース:36.7億ドル(同▼19%)
EPS:0.68ドル(前年同期0.89ドル) 
-Non-GAAPベース:0.91ドル(前年同期1.11ドル)

今回の決算では、売上高や利益が前年同期比で減少しましたが、製品需要の回復と新興分野への投資が着実に進んでいることを同社は示しました。

特に、シスコの事業の健全性や将来の成長性を評価する上で、投資家やアナリストにとって重要な指標とされる、Total Product Orders(製品受注額)が、前年同期比20%増加。*Splunkを除いても9%増加。

広範囲にわたる顧客からの支持が見られ、製品受注額の増加と利益率の改善が、シスコの強みを裏付けています。

AIやクラウド関連インフラへの需要加速を背景に、AI時代に対応したインフラの提供を重視する戦略は、長期的な成長の基盤となるとみられています。

シスコは2025年度を力強くスタートすることができました。当社の顧客はAIに対応するために重要なインフラに投資しています。我々の顧客はAIに備えるために重要なインフラに投資しており、我々の幅広いポートフォリオにより、この機会を生かすことができるユニークな立場にあります。

チャック・ロビンス会長兼CEO

Splunkの買収

シスコシステムズは2023年9月21日、Splunkを買収。Splunkは、ログデータの収集・分析に強みを持ち、システムの状態やセキュリティの可視化・監視ツールやセキュリティ、オブザーバビリティのためのデータ分析プラットフォームを提供する企業。

オブザーバビリティ(可観測性=システムの監視や可視化を行う技術)分野のリーディングカンパニーと位置付けられていました。

買収の概要
買収金額:約280億ドル(約4兆1400億円)
1株あたりの買収価格:157ドル(現金)

買収の意義
ソフトウェア企業への変身:

シスコは「Splunkとともに世界最大級のソフトウェア企業に」と宣言。

AIを活用したセキュリティとオブザーバビリティの強化をはかり、両社の技術を組み合わせ、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境全体でのオブザーバビリティを提供する企業へと変身することを目指しています。

この買収は、シスコにとって過去最大規模であり、同社のソフトウェア事業強化とAI時代に向けた戦略的な動きとして注目されています。

AI時代に向けたシスコの取り組み

チャック・ロビンスCEOは、AI対応インフラへの需要増加に着目。同社のネットワーク技術は、AIやクラウドコンピューティングを支える基盤としての役割を果たしており、この分野への投資が今後の成長を後押しすることが期待されています。買収したSplunkとのシナジー効果により、シスコの製品ポートフォリオは拡大し、AI活用を加速させる可能性があります。

第2四半期<11-1月/Q2,2025>ガイダンス(業績見通し)は?

シスコは2025年度第2四半期のガイダンスも発表。売上高は137.5~139.5億ドルと、ほぼ第1四半期と同水準が予測されています。

  • 売上高:137.5~139.5億ドル

  • EPS:0.51~0.56ドル
    -Non-GAAPベース:0.89~0.91ドル

通期のガイダンス

  • 売上高:553億~563億ドル、

  • EPS(1株当たり利益)
    Non-GAAPベース:3.60~3.66ドル
    と同社は業績見通しをたてています。

14年連続増配

派手さはありませんが、堅実な増配を続けています。

  • 直近配当実績:0.4ドル(2025年1月)

  • 年間配当金:×4=1.6ドル

  • 株価:58.86ドル(1/3終値)

  • 配当利回りの目安:1.6÷58.86×10=2.72%
    *手数料、税金等は考慮に入れていません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。

日米の業界状況が、ひと目でわかる。日本株投資家向けなのですが、米株にも役立つ、わかりやすい図解が秀悦です↓

About シスコシステムズ

  • 創業:1984年
    略称:シスコ(Cisco)
    社名の由来は、創業地のサンフランシスコ(San Francisco)から。

  • 上場:1990年

  • ティッカー・シンボル:CSCO

  • セクター:情報技術(Information Technology)

  • 株式時価総額:2,344億ドル(1/3時点,約36.8兆円)

  • 年間売上高:538億ドル(2023年)

  • ライバル企業:デル・テクノロジー(DELL),アリスタ・ネットワークス(ANET)

  • 日本での同業種:NEC(6701)

  • 従業員数:85,000人

投資金額の目安

  • 株価58.86ドル(1/3終値)

  • 58.86×158円×1株=9,300円〜
    *手数料、税金等は考慮に入れていません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。

まとめ

2025年度第1四半期を手堅くスタートしたシスコ。短期的には売上高や利益の減少が見られたものの、製品需要の回復やAI関連インフラへの投資が、今後の成長を支えるポイントとなっています。

Splunk買収を通じて、AIやセキュリティ分野での競争力向上と、シナジー効果により、シスコの製品ポートフォリオは拡大し、企業のAI活用を加速させる可能性を感じさせてくれます。

よくある質問 Q&A

Q1: シスコの製品受注が増加した理由は何ですか?
A1: AIやクラウド関連インフラへの需要が増加し、製品受注額が前年同期比20%増加しました。これにより、広範囲の顧客からの需要が回復していることが示されています。

Q2: Splunk買収はシスコにどのような影響を与えますか?
A2: Splunkの技術により、シスコはビッグデータ分析やサイバーセキュリティ分野での競争力を強化し、AI活用をさらに進めることができます。

Q3: シスコのAI戦略は具体的に何ですか?
A3: シスコは、AI対応インフラの提供を重視し、ネットワーク技術を活用してAI時代の基盤を構築しています。これにより、顧客のAI投資を支援します。

Q4: シスコの次の四半期の見通しはどうですか?
A4: 第2四半期の売上高は137.5~139.5億ドル、非GAAPベースのEPSは0.89~0.91ドルが予測されています。堅調な業績が見込まれています。

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。


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