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ウォルト・ディズニー(DIS)最新決算:合理化から再び飛躍へ。エンターテインメントの巨人動く!【7-9月/Q4,2024】


ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)第4四半期決算では、昨年から続く、人員削減等の合理化の効果もあり、かつての輝きを取り戻しつつあることがわかりました。同社のDiseny+による時代劇『SHOGUN(将軍)』のハリウッド版がストーリミングサービスで大ヒットし、賞を総なめするという嬉しいニュースが日本に伝わったのも記憶に新しいところです。歴史のあるコンテンツを基盤に、世界中の投資家やファンから注目を集めるエンターテインメントの巨人、ウォルト・ディズニーについて見ていきましょう。

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ロバート・A ・アイガー(愛称ボブ・アイガー)

買収戦略

アイガー氏が2005年にウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOに就任してから2020年までの在任期間は、ディズニーの成長と拡大において画期的な時代となりました。同氏は以下のような積極的な買収戦略を通じてディズニーのコンテンツポートフォリオを拡充することに成功しています。

  • 2006年: ピクサー・アニメーション・スタジオ

  • 2009年: マーベル・コミック

  • 2012年: ルーカスフィルム

買収により、ディズニーはエンターテイメント業界での競争力を大幅に高めましたが、成長の裏側では試練も待ち受けていました。ストリーミング市場で、ネットフリックス等先行組に出遅れたこともあり、サブスクリプションのディズニー+の収益拡大に課題が残します。また、2018年〜2019年に21世紀フォックスの資産を713億ドルで買収したことで、450億ドル以上の負債が、財務面での大きな負担となりました。

CEO復帰

アイガー氏は2020年にCEOを一度退任しましたが、その後わずか11ヶ月で復帰。変革を通じて創造性を軸に企業を再構築し、経費削減とストリーミング事業の利益確保を目指す方針を打ち出し、戦略の一環として、同社は大規模な合理化に取り組みを開始します。

  • 2023年2月: 7,000人規模の人員削減を発表(従業員数の約3.2%)。55億ドル(約7,200億円)のコスト削減を計画。

  • 2024年9月: 法務や人事部門を対象とした新たな人員削減を実施(約300人規模、スポーツ専門局ESPNやテーマパーク部門は対象外)。

合理化の背景には、ストリーミングサービスの台頭による伝統的テレビ視聴の減少、Disney+の加入者数の伸び悩み、そして全体的な収益性改善の必要性が挙げられます。アイガー氏の主導する一連の改革は、ディズニーが変化する市場環境に適応し、長期的な競争力を維持するための戦略的な取り組みと位置付けられます。

第4四半期決算は?

売上高:225億7,400万ドル(前年同期比+6.3%)
-事業別
エンターテイメント:108億ドル
スポーツ:39億ドル
エクスペリエンス:82億ドル
税引き前利益:9億4,800万ドル
純利益:4億6,000万ドル
EPS:0.25ドル
調整後EPS:1.14ドル(同+39%)

第4四半期のポイント

資産減損処理などの費用計上により税前利益は前年同期比で減少。
一時項目を除く調整後EPSは前年同期比39%増。

  • エンターテインメント部門(Q4売上構成比47%)

    • 売上高:前年同期比+14%増、営業利益:同4.5倍。
      売上高は市場予想を上回るも、営業利益はやや未達。

    • 従来型TV事業の減収・営業減益が続く中、Disney+などDTC事業が15%増収、営業黒字転換が寄与。

    • DTC事業全体(ESPN+含む):Q3の黒字転換からさらに黒字幅拡大。

  • Disney+加入者数

    • Q4末:1.59億人(前年同期比末比+3%増、市場予想1.57億人)

  • エクスペリエンス部門

    • 売上高:前年同期比1%増、営業利益:同6%減。
      -米国:営業利益5%増。インフレでコスト増も、来場者支出増加が寄与。
      -海外:来場者数減少とコスト増で営業利益32%減。

2024会計年度通期

売上高:913億6,300万ドル(前年比+2.8%増)
税前利益:75億6,900万ドル
純利益:49億7,200万ドル(同2.1倍)
EPS:2.72ドル
調整後EPS:4.97ドル(同+32%増)

通期では3%増の914億ドルとなり、同社が継続して収益性を向上させていることを示しています。一方で税引前利益は(第4四半期で6%減の9億ドル)通期では前年同期比59%増の76億ドルを記録。成長の背景には、営業利益の大幅な改善が挙げられます。

希薄化後1株当たり利益(EPS)(第4四半期では79%増の0.25ドル)通期では前年の2倍以上の2.72ドルを達成。EPSの増大はポジティブな材料と言えます。

ディズニーを支える3つの分野

エンターテインメント (Entertainment)

ディズニーの映画、テレビ番組、音楽などのコンテンツ制作と配信を担当。ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズなどの人気フランチャイズを含む、幅広いエンターテインメント作品の制作を行っています。

スポーツ (Sports)

主にESPN(エンターテインメント・アンド・スポーツ・プログラミング・ネットワーク)を中心としたスポーツ関連事業。スポーツ中継、スポーツニュース、分析番組などを提供し、スポーツファンに向けたコンテンツを展開しています。

エクスペリエンス (Experiences)

過去には「ディズニー・パークス・エクスペリエンス・プロダクツ」と呼ばれていた事業を指します。主にディズニーのテーマパーク、リゾート、クルーズライン、消費者向け製品などを管理。ゲストに直接的な体験を提供する事業を統括し、ディズニーブランドを体験として具現化する重要な役割を担っています。

エンターテインメント、スポーツ、体験型コンテンツ等、3つの分野での多角的な事業展開によりディズニーは、ブランド価値を最大化することに成功しています。

トップのコメント


"今年は、ウォルト・ディズニー・カンパニーにとって極めて重要な成功の年であり、私たちが成し遂げた大きな進歩のおかげで、私たちは大きな困難と混乱の時期から脱出し、成長に向けて好位置に立ち、将来を楽観視しています。第4四半期の堅調な業績は、品質、革新性、そして経営効率を向上させるための戦略的努力の成果を反映したものです。映画スタジオ史上最高の四半期となり、ストリーミング事業の収益性も改善し、エミー賞の受賞数が過去最高の60を記録。「エクスペリエンス」部門において印象的な新プロジェクトが発表されています。短期的・長期的な事業運営に注力した結果、私たちは従来の競合他社と差別化ができ、魅力的な収益を上げることに成功しています。目標をさらに前進させるために、業界で最も深く幅広いエンターテインメント資産を活用しています。"

ロバート・A・アイガーCEO

今後の見通し

通期25/9月期
調整後EPS:前年比1ケタ台後半<High-single digit %>増(市場予想を上回る伸び) 
エンターテインメント部門:営業利益前年比2桁<Double digit %>増を計画。
エクスペリエンス部門:営業利益6-8%増を計画。
自社株買い目標:30億ドル。
26/9期・27/9期:調整後EPS前年比各2桁増<Double digit %>の見通し。

About ウォルト・ディズニー

  • 設立:1923年

  • 上場:1957年

  • ティッカー・シンボル:DIS

  • セクター:コミュニュケーション・サービス(Communication Services)

  • 株式時価総額:2,038億ドル(約32兆円,12/24時点)

  • 年間売上高:914億ドル

  • ライバル企業:ネットフリックス(NFLX),MGM Resorts International(MGM)

  •  従業員数:225,000人

投資金額目安

  • 112.56ドル(12/24終値)×157円×1株=17,680円〜
    *手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。

まとめ

ディズニーは、従来のテーマパークや映画スタジオの収益源に加えて、ストリーミング分野の成長によって新たな収益基盤を構築し、広告収入の増加やコスト削減により収益性の向上が明確に見られるところまで企業体質は強化されてきています。

豊富なコンテンツを武器に、ディズニーがストリーミング業界でリーダーシップを発揮するのは、時間の問題かもしれません。

ディズニーが、コンテンツ制作やストリーミングサービスの強化を通じて、エンターテイメントビジネスのトップとしての地位を強固なものとすることに、株主や投資家は期待を高めています。

よくある質問 Q&A

Q: ディズニーの最新決算で特に注目すべきポイントは何ですか?
A: 売上高やEPSの成長に加え、ストリーミングサービスの収益性改善が重要なポイントです。

Q: Disney+やHuluの契約者数は増えていますか?
A: はい、Disney+CoreとHuluの契約数は1億7,400万件を超え、前年同期比で増加しています。

Q: ストリーミング事業の今後の見通しはどうですか?
A: 広告収入や契約者数の増加を背景に、引き続き収益性の改善が見込まれます。

Q: 他の競合企業と比べてディズニーの強みは何ですか?
A: 圧倒的なコンテンツ資産とテーマパーク事業とのシナジー(相乗効果)が他社にはない強みです。

ストリーミングでのライバル↓

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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