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スターバックス(SBUX)、最新決算:新CEOが掲げる、『バック・トゥ・スターバックス』の成果は?【10-12月/Q1,2025】


スターバックス(SBUX)が28日発表した、'24年10-12月期(2025会計年度/第1四半期)決算は、カフェ事業の低迷が続き減益でしたが、昨年9月に就任した、ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)は「事業の立て直しに着手してまだ1四半期しかたっていないが『スターバックスへの回帰(バック・トゥ・スターバックス)』の取り組みを迅速に進めており、良好な反応を確認している」と回復への過程が順調であることに自信をのぞかせています。

スターバックスに何が起こっていたのか?

スタバが混迷したのは?

  • 労働環境と組合問題
    -ビバレッジ(飲料)等複雑な調合が必要な商品の多様化やモバイルオーダー増加による提供遅延や従業員負担増加が発生。
    2021年に労働組合が結成。
    -シュルツ氏が2022年にCEO復帰、組合活動に強硬姿勢
    (店舗閉鎖や団体交渉拒否)。
    -2023年4月、シュルツ氏退任後にラックスマン・ナラシンハン氏(元ペプシコCOO<最高商務責任者>)がCEO就任、対話開始も交渉は難航。
    -2024年8月ナラシンハンCEO解任

    -新CEOブライアン・ニコル氏(9月就任)
    同氏は、食中毒問題で揺れていた、チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)のブランド再建を成功させた人物。10月30日の決算(7-9月期/Q4第4四半期と通期,2024年)*就任したばかりの新CEOは、事業評価や長期成長戦略の策定のため翌2025会計年度の通期計画発表を一時的に取りやめています。
    -2024年12月-従業員が待遇改善を求めストライキを実施。

  • 不買運動
    2023年10月、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが突如、イスラエルへの攻撃を開始。親イスラエルとして米国企業が不買運動の対象に。さらに、スターバックスの労働組合がSNS上に親パレスチナ的投稿を行い、状況は混迷。

  • 中国市場の競争激化
    スタバ最大の成長地域も新興の中国ラッキンコーヒー(瑞幸咖啡)が自動化と低価格戦略で急成長。
    -2021年、中国でラッキンコーヒーの店舗数がスターバックスを上回る。
    -中国市場で、大きな売上減少。中国の消費者行動の変化や経済環境も一因とされ、既存店取引の減少と顧客一人あたりの支出低下が影響。

  • その他の問題
    -投資による短期的圧迫:スターバックスはトラフィック(来店客数)重視の施策に投資しており、これが短期的に利益を圧迫。この取り組みは中長期的な成長に向けたものですが、現時点では収益改善には至っていません。
    -顧客体験の質が期待を下回ったことが原因の一つとされ、一部の店舗での混雑や、注文の遅延など、サービスのスピードや質の向上が求められていました。

決算概要

<単位は百万ドル、EPSはドル>

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