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ユナイテッドヘルス・グループ、最新決算:データを活用し、サービスを効率化!【7-9月/Q3,2024】


ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)は、米国最大手のヘルスケア企業。同社の第3四半期の業績は、強力な基盤と戦略が功を奏し、収益拡大と利用者数増加という結果をもたらしました。このnoteでは、同社の第3四半期業績を解説します。

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決算概要

  • 売上高:1,008億2,000万ドル(前年同期比+9.2%)
    プレミアムズ(Premiums):774億ドル
    プロダクツ(Products):126億ドル
    サービス(Services):91億ドル
    インベストメント、アザーインカム(Investment and other income):16億ドル

  • 営業利益:87億800万ドル

  • 純利益:60億5,500万ドル

  • EPS(1株利益):6.51ドル
    調整後EPS:7.15ドル

2024年第3四半期の営業キャッシュフローは140億ドル。配当金および自社株買い戻しを通じて、2024年9か月間までに96億ドル以上が株主に還元されています。

ユナイテッドヘルス・グループの売上構成は、3つに分けられています

プレミアム(保険料)
プレミアムは同社の最大の収益源です。メディケアおよび退職者向け保険料などが含まれます。
製品
医療機器や医療用品などの製品販売からの売上
サービス
コンサルティングや技術サービスなどのサービス提供からの売上

ユナイテッドヘルスケアとオプタム

ユナイテッドヘルス・グループは事業としては、大きく2つの部門に分けています。それぞれの売上高は、

  • UnitedHealthcare(ユナテッドヘルスケア): 保険事業を担当
    売上高:748億5,300万ドル(予想737億ドル)

  • Optum(オプタム): データ分析、薬局サービス、人口健康管理、医療提供、医療運営などのサービスを提供
    売上高:639億2,500万ドル(予想637億ドル)

ユナイテッドヘルスケア

米国では、公的(メディケア,メディケイド)、民間を問わず、何らかの医療保険に加入することが原則として義務付けられています。公的な医療保険サービスは存在しますが、その対象は限定的であり、多くの人々は民間医療保険に加入しています。

ユナイテッドヘルス・グループは公的医療保険制度の重要な担い手となっており、政府プログラムを通じて多くの米国民に医療保険サービスを提供しています。同社は米国の複雑な医療保険システムの中で重要な役割を果たしており、米国内での同社医療保険サービスの加入者は4,933万人で前年同期比+4%と、市場予想を上回る内容でした。(国内向け商業サービスの利用者数を年初来で240万人増加。)

米国内で、同社は幅広い健康保険プランを提供しており、個人・家族向け、公的サービスのメディケア(65歳以上の高齢者と一部の障害者を対象)、メディケイド(低所得者を対象)、雇用主向けなど様々なニーズに対応しています。同社が提供するプランが多くの消費者に支持されており、個人、企業に柔軟なプランが用意されていることも好調の要因となっています。

コスト効率の高い保険プランや、充実したヘルスケアサービスが消費者に受け入れられている証といえます

オプタム

ユナイテッドヘルス・グループのもう一つの柱であるオプタムは、ヘルスケアデータの解析やデジタル化を通じて、医療業界全体の効率向上を支援しています。オプタムのサービスは、医療従事者にとっても患者にとっても、治療の質を高め、医療コストの削減に貢献している点で重要です。

オプタムはまた、患者データや治療結果の管理だけでなく、個々の患者に最適な治療を提案する予測分析にも力を入れています。ユナイテッドヘルスケアの利用者増加とも相まって、顧客満足度の向上や今後の収益安定にもつながる取り組みです。

サイバー攻撃への対応

サイバー攻撃による悪影響もあり、今四半期は営業利益は87億ドルでしたが、調整後の営業収益は90億ドルで、Change Healthcareの事業中断の影響を含み、サイバー攻撃の直接対応費用は除外されています。また

1株当たり利益を6.51ドル、サイバー攻撃の影響を含んだ調整後の利益は1株当たり7.15ドルとしています。

「Change Healthcare」サービスにおいて発生したサイバー攻撃で事業中断による影響額は1株あたり0.75ドルに及んでおり、前四半期の見積もりから若干増加。

しかし同社が業界リーダーとしての信頼を築く一因とも言われている、高い危機管理能力が発揮され、迅速な対応でコストを最小限に抑えることができたとされています。今後も引き続きサイバーセキュリティを強化し、消費者に対する安全なサービス提供に注力すると見込まれます。


通期見通し(会社計画)

  • 売上高4,015億ドル(市場予想 3,974億ドル)

  • 調整後EPS:27.5~27.75ドル(市場予想27.68ドル)

サイバー攻撃の影響にもかかわらず、前年に設定した見通し範囲をほぼ維持していることは、投資家にとっても安心材料です。ユナイテッドヘルスケアやオプタムを通じて安定的な収益を生み出すだけでなく、事業中断やリスクに対しても強固なリカバリー能力を発揮していることがわかります。

また、ユナイテッドヘルス・グループの成長戦略は南米での事業処分活動を通じ、地域集中型のヘルスケアサービス展開へと進化。アメリカ市場における投資がさらに拡大される可能性が高まっており、将来の成長ポテンシャルが期待されます。

まとめ

今四半期では、ユナイテッドヘルスケアの利用者増加やオプタムのデータ分析による効率化が、同社の成長を支える重要な要素となっていることが確認されました。また、サイバー攻撃などの困難な課題に直面しても迅速な対応で業績を守る姿勢が、同社の信頼性を高めています。

同社の成功要因の一つに、常に革新を追求する企業文化と、ヘルスケア業界での競争力強化に向けた戦略的な資源投入があります。データ駆動型のアプローチを持つオプタムと、幅広い医療保険サービスを提供するユナイテッドヘルスケアの2本柱で、ユナイテッドヘルス・グループは顧客の健康を支えるだけでなく、医療サービス提供者や企業にとっても欠かせないパートナーとなっています。

アンドリュー・ウィッティCEOは、「当社の強みは社員一人ひとりの献身的なサービス提供と、革新的な製品が幅広いニーズに対応していること」と述べており
掲げる企業理念が、今後も成長の礎となることが期待されています。

よくある質問 Q&A

Q1: ユナイテッドヘルス・グループの収益はどのように成長しているのですか?
A1: 主に、ユナイテッドヘルスケアとオプタムの2つの事業部門が収益の源となっています。特にユナイテッドヘルスケアの利用者数が増加しており、効率的なコスト管理が収益成長に貢献しています。

Q2: サイバー攻撃が業績に与えた影響はありますか?
A2: サイバー攻撃により、1株当たり0.75ドルの損失を吸収しましたが、迅速な対応によって影響を最小限に抑えています。事業中断が発生しましたが、調整後の利益見通しは引き続き安定しています。

Q3: オプタムはどのような役割を果していますか?
A3: オプタムは、データ解析や予測分析を通じて医療の効率化を支援しています。医療サービスの質を向上させ、コスト削減にも貢献しています。

Q4: ユナイテッドヘルス・グループの今後の成長見通しはどうですか?
A4: 同社は革新的なサービスと強力なリスク管理能力を持っており、引き続き成長が見込まれます。通期見通しも堅調で、今後も安定した成長を期待できます。ヘルスケア業界でのリーダーシップを維持し、将来も多くの人々に貢献する企業として成長を続けるものと思われます。

4-6月期決算はこちら↓

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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