JPモルガン・チェース(JPM)最新決算:CEOの発言から見る米国経済と地政学リスクへの備え
JPモルガン・チェース(JPM)は、2024年7-9月(第3四半期)の決算を発表。ジェイミー・ダイモンCEOは、純利益が129億ドル、自己資本利益率(ROE)が19%に達したと述べ、各事業部門が成長し続けていることを強調しています。
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市場予想を上回る、第3四半期決算
総収益:433億1,500万ドル(予想419億ドル、前年同月比+6.5%)
-純金利収入-235億ドル(同+3%)
-非金利収入-198億(同+11%)税前利益:169億7,800万ドル(同+1.5%)
当期利益:128億9,800万ドル(同▼1.9%)
EPS(1株利益):4.37ドル(前年同期4.33ドル)
ローン残高総額:1.3兆ドル/預金:2.4兆ドル
利ざや2.58%貸倒引当金:31.1億ドル
経費率:52%
部門別
CCB(コンシューマー&コミュニティバンキング)
収益:177億9,100万ドル(前年同期比▼3%)
うちカードサービス・自動車:64億ドル(同+11%)純利益:40億4600万ドル(同▼31%)
CIB(コマーシャル&インベストメントバンク)
収益:170億1500万ドル(同+8%)
バンキング・アンド・ペイメンツ:86.5億ドル
-(銀行業務,決済サービス主に法人向けの銀行取引や支払いサービスを提供)
マーケッツ・アンド・セキュリティーズ・サービス:83.7億ドル
-(市場取引および証券サービス証券売買、トレーディング、有価証券の保管・管理などのサービスを提供)純利益:56億9,100ドル(同+13%)
AWM(アセット&ウェルスマネジメント)
収益:54億3,900万ドル(同+9%)
純利益:13億5,100万ドル(同▼5%)
運用資産残高3.9兆ドル、顧客資産5.7兆ドル
市場水準の上昇でそれぞれ+23%
CORPORATE(コーポレート)
収益:30.7億ドル
純利益18.1億ドル
通期見通し(2024年12月までを会計年度とする1年)
純金利収入:925億ドル
とJPMは予想。
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トップのコメントより
堅固なバランスシート
JPMのジェイミー・ダイモン会長兼CEOは、第3四半期の堅調な業績について述べ、純利益が129億ドル、*ROTCEが19%に達したことを報告。その上で
『投資銀行部門では手数料が前年同期比で31%増加し、決済手数料も堅調な成長を遂、リテール部門では米国内での預金数が4年連続トップを維持し、資産運用部門でも手数料が15%増加、純流入額は過去最高の720億ドルに達しています。』
米国の地政学リスクや財政赤字問題
『また、地政学リスクにも対応できるよう、堅固なバランスシートと1兆5000億ドル以上の流動資産を保持しています。』
ダイモンCEOは、顧客や地域社会に尽力する従業員への感謝の意も表明。また、地政学リスクが経済や歴史に影響を及ぼす可能性に言及。具体的には、
地域的な紛争の拡大:これらのリスクが経済のみならず、歴史の流れにさえ影響を与える可能性があると指摘。
インフレの減速と財政赤字の課題:インフレはある程度収まっているものの、巨額の財政赤字やインフラの再構築、貿易体制の見直しなど長期的な課題が山積しているとしています。
こうしたリスクに備えるため、強固なバランスシートを保ち、あらゆる経済状況に対応できるよう資産運用やリスク管理に力を入れているとしています。
バーゼルIII(バーゼルスリー)最終規制へのJPMの対応は?
銀行業界全体が注目している「バーゼルIII」の最終段階に関する新たな規制に関しても、ダイモンCEOはJPMの立場を明らかにしました。バーゼルIIIとは、金融機関のリスク管理基準を厳しくするために導入された規制であり、特に大手銀行にとっては慎重に対応しなければならない重要な課題。現在のところ、JPMは、
G-SIBs (グローバルなシステム上重要な銀行)への追加的な規制:これらの変更が経済や金融市場にどのような影響を及ぼすのかについても慎重な姿勢を示しています。
「強固な金融システム」を構築:バーゼルIIIのルールが経済成長を損なうことなく、健全な市場環境の維持に寄与することが望ましいとしています。
JPMは、このような新たな規制環境においても、堅実な事業基盤を持ち、競争優位性を維持していくための備えを進めています。
強固なバランスシートと豊富な流動性とは?
JPMの財務基盤の強さを示すものとして、ダイモンCEOは具体的な数字を提示しています。まず、損失吸収能力が5,440億ドルにのぼり、流動性のある有価証券が1兆5,000億ドル、そして貸付金総額が1兆3,000億ドル。これにより、JPMはどのような経済環境の変動があっても柔軟に対応できる体制を構築しています。
また、慎重な自社株買い戻し戦略も特徴的です。市場の動向に応じて適切な判断が行われることが示されており、JPMは市場価値を的確に評価し、株主価値を最大化するための取り組みを続けています。
地域社会や顧客への貢献
ダイモン氏は、JPMの事業が多様な顧客層に支えられていることに感謝の意を示しました。同社の顧客には8,200万人以上の米国消費者、600万の中小企業、4万の大企業や中規模企業、数千の法人顧客、退役軍人、学校、都市、州が含まれ、さらに世界中の国々も対象としています。このように、幅広い顧客層に対してJPMが提供するサービスは、地域社会の経済発展と安定に寄与しているといえます。
About JPモルガン・チェース
創業:1799年
上場:1969年
2000年にJPモルガンとチェースが合併。買収を重ね資産規模は米国最大。現在60カ国以上に営業拠点を持つ世界有数の金融グループ。部門:各種ローンや決済を提供する個人部門、M&A助言や株式・債券引受の投資銀行、大手企業向けの商業銀行、富裕層向けのアセットマネジメント(資産運用)部門等をもつ
ティッカー・シンボル:JPM
セクター:Financial(金融)
株式時価総額:6,259億ドル(約95兆円,10/25時点)
年間総収益:1,624億ドル(2023年)
ライバル企業:ゴールドマン・サックスグループ(GS),
バンク・オブ・アメリカ(BAC)日本での同業種:三菱UFJFG(8306),三井住友FG(8316)
従業員数:294,000人
投資金額目安
221.31ドル(10/25終値)×152円×1株=33,640円〜
*手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。
まとめ
JPモルガン・チェースは、7-9月/第3四半期において堅調な基礎的事業と財務実績を報告し、米国を代表する金融機関としての地位を再確認しました。ジェイミー・ダイモンCEOは、地政学リスクへの懸念や、バーゼルIII規制への対応、強固なバランスシートの維持が強調。
JPMが、地域社会や顧客への貢献を重要視し、これからも成長と安定の両面で貢献する姿勢を貫く方針。JPMは市場環境が不確実な中でも確固たる基盤を持ち、投資家にとって信頼できる選択肢であり続けることが期待されています。
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よくある質問 Q&A
Q1: JPモルガン・チェースの第3四半期決算で特に注目すべきポイントは?
A1: 特に注目すべきは、純利益が129億ドルと堅調であること、投資銀行手数料が31%増加したこと、リテール預金で4年連続第1位を維持したことです。
Q2: バーゼルIII規制はJPMにどのような影響を与えるのでしょうか?
A2: JPMはバーゼルIII最終段階の新ルールに対応するため、強固な財務基盤とリスク管理を維持しています。新たな規制が経済成長を妨げることなく金融システムを支えるものになるよう望んでいます。
Q3: 地政学リスクに対してJPMはどう対応していますか?
A3: JPMは地政学リスクがもたらす影響を慎重に監視しており、経済だけでなく歴史的な視点からも影響を考慮しています。強固なバランスシートと流動性を保つことで、あらゆる状況に対応できるよう備えています。
Q4: JPモルガン・チェースは自社株買い戻しをどのように行っていますか?
A4: 市場の状況に応じて自社株買い戻しを適切なペースで行い、株主価値を最大化することを重視しています。
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。