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雇用統計:知っておくべき、投資に役立つ重要キーワード17選【米国株編】⑦

米国雇用統計は、アメリカの労働市場の現状を示す重要な経済指標であり、世界中の投資家や金融機関が注目するデータです。昨日発表された、8月雇用統計を参考に、解説していきます。


2024年8月の雇用統計

  • 非農業部門雇用者数(前月比):+14.2万人(予想16.5万人)

  • 失業率:4.2%(予4.2%,7月4.3%)

  • 平均時給-前年比:3.8%(予3.7%)/前月比:0.4%(予0.3%)

  • 6月と7月のデータも下方修正、労働市場の軟化の見方。

雇用統計とは

米国雇用統計は毎月第1金曜日に米国労働省が発表し、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給など、労働市場の健全性を表す主要指標を含みます。これにより、経済全体の健全性や成長ポテンシャルを評価することができます。

非農業部門雇用者数(Nonfarm Payroll:NFP)

農業を除く産業で雇用されている労働者数を指し、特に前月比での増減が注目されます。雇用が増加すると、消費拡大や企業業績の向上につながると予想され、経済成長を示す指標となります。

非農業部門雇用者数が注目される理由は以下の通りです。

  1. 安定性:
    農業部門は季節変動が大きく、天候に左右されやすいため、経済全体の雇用動向を把握するには適していませんが、一方、非農業部門は比較的安定しており、経済の実態をより正確に反映します。

  2. 規模:
    米国経済において、非農業部門は雇用全体の大部分を占めています。農業部門の雇用者数は全体の2%程度にすぎません。

  3. 経済指標としての信頼性:
    非農業部門雇用者数は企業の給与支払い帳簿を基に集計されるため、家計サンプル調査ベースの失業率よりも正確に雇用の動きを反映するとされています。

  4. 政策への影響:
    米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の判断材料として重視。

  5. 詳細な分析:
    非農業部門の雇用データは、産業別の内訳や賃金、労働時間などの詳細情報も提供され、経済の様々な側面を分析するのに役立ちます。

以上ように、非農業部門雇用者数は経済全体の動向を把握するのに適した指標として広く認識されています。

失業率

失業率は労働力人口に占める失業者の割合で、失業率が低下すると個人消費の増加が期待され、景気の好転を示唆、逆に失業率が上昇すると、消費の減少や景気後退の兆候として懸念されます。

米国の完全失業率の考え方について

  1. 定義:
    完全失業率は、労働力人口に占める失業者の割合を示します。米国では一般的に4〜5%の失業率を「完全雇用」の状態とみなします

  2. 算出方法:
    失業率 = 失業者数 ÷ 労働力人口 × 100
    労働力人口は就業者と失業者の合計です。

  3. 失業者の定義:
    16歳以上で、調査期間中に仕事をしておらず、積極的に求職活動をしており、すぐに就労可能な人を失業者とします。米国では一時解雇(レイオフ)された人も失業者に含まれます。

  4. 調査方法:
    毎月約6万世帯を対象に実施される世帯調査(Current Population Survey)に基づいています。

  5. 完全雇用の考え方:
    4〜5%の失業率を完全雇用とみなす理由は、以下のようなものがあります:

  • 一定の失業は経済の自然な循環の一部とみなされる

  • 労働市場の流動性を示す指標でもある

  • ゼロ%の失業率は現実的ではなく、むしろ経済の硬直性を示す可能性がある

  1. 政策への影響:
    完全雇用の達成は連邦準備制度理事会(FRB)の重要な政策目標の一つです。雇用統計は金融政策決定の重要な判断材料となります。

米国の失業率は労働市場の状況を把握し、経済政策を決定する上で重要な指標となっています。

平均時給

賃金の上昇は、企業の労働需要が強く、労働市場が逼迫していることを示すと同時に、インフレ圧力が高まっている可能性を示します。賃金が上昇すれば、個人消費が活発化し、経済全体にプラスの影響を与える可能性があります。

市場への影響

雇用統計が発表される前、市場は比較的穏やかになる傾向がありますが、*発表直後には大きな変動が見られることが多いです。特に統計が市場予想と大きく異なる場合、株式市場や為替市場が乱高下することがあります。予想以上の雇用者数増加は、株価の上昇やドル高をもたらすことがあり、逆に予想を下回る結果は、リスク回避的な動きを誘発します。

*例として、昨日の8月雇用統計発表後の、6日の米国マーケットの概要をあげておきます。この日のマーケットが全面安となったのは、景気後退懸念への対応としてのIT、ハイテク株主導の調整売りが理由とされていましたが、6月、7月、雇用データの下方修正を見て、インフレを抑制しつつ経済成長を維持、急激な景気後退を避けながら経済のバランスを取る状況のソフトランディング達成が、雇用統計、雇用の面から不安視?されたのではという、エコノミストの声がありました。

<8月雇用統計発表後のマーケット>

景気判断への活用

雇用者数の増加や失業率の低下は、経済の拡大を示すシグナルとなります。また、平均労働時間の増加は景気回復の初期段階を示すことが多く、企業が生産活動を強化している兆候です。賃金が上昇すれば、個人消費がさらに拡大し、経済成長が後押しされる可能性があります。

金融政策との関連

米国雇用統計の結果は、米連邦準備制度(FRB)の金融政策決定にも影響を与えます。雇用統計が良好であれば、FRBは利上げを継続する根拠となり、インフレ抑制のために金利を上げる可能性があります。逆に、雇用統計が弱い場合は、利下げや金融緩和策が講じられる可能性があります。

まとめ

雇用統計は、アメリカ経済の健全性や将来の見通しを示す重要な指標であり、世界中の投資家や金融機関が注視する経済データです。その結果は、株式市場や為替市場に大きな影響を与え、金融政策の決定にも密接に関連しているため、雇用統計の発表は、経済や金融市場の動向を予測するために欠かせない材料となっています。

雇用統計を重視する、FRBとFOMCについてはこちら↓

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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