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GAAP(ギャープ):知っておくべき、投資に役立つ重要キーワード17選【米国株編】⑬


GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)は「一般に公正妥当と認められた会計原則」。企業が財務諸表を作成する際に従うべき標準化された会計ルールであり、各国の公的機関や会計基準設定主体が定めた正式な会計基準に基づいています。

GAAP(ギャープ)とnon-GAAP

財務諸表の比較可能性と一貫性を確保することを目的とし、米国ではUS-GAAP、日本ではJ-GAAPなど、国ごとに異なるGAAPが存在します。一方、

 Non-GAAPは、GAAPに基づかない企業独自の財務指標を指します。企業が任意で開示する指標で、GAAPの規定にとらわれない柔軟な計算が可能です。 一時的損益を除外するなど、企業の恒常的な業績をより適切に反映させることを目的としています。多くの場合、Non-GAAP指標はGAAP指標よりも高い利益を示します。

主な相違点

  • 規制: GAAPは*厳格な規制下にあるのに対し、Non-GAAPは企業の裁量で調整可能です。
    *厳格な規制下-米国の場合:財務会計基準審議会(FASB)が設定する会計基準
    証券取引委員会(SEC)の規則。(国際会計基準審議会(IASB)が設定する国際財務報告基準(IFRS)もあります。)

  • 比較可能性: GAAP指標は企業間の比較が容易ですが、Non-GAAP指標は企業ごとに異なる可能性があります。

  • 開示場所: GAAP指標は財務諸表本体に記載されますが、Non-GAAP指標は多くの場合、財務諸表外で開示されます。

  • 目的: GAAPは標準化された財務報告を目的とし、Non-GAAPは企業の実態をより適切に表現することを目的としています。

  • 具体例 :GAAP営業利益: 会計基準に基づいて算出された正式な営業利益。
               :Non-GAAP営業利益: 株式報酬費用や一時的な損益を除外するなど、
    企業が独自に調整した営業利益。

業界による違い 

GAAPとNon-GAAPの違いは、業界によって以下のように異なる影響を与える場合があります。

テクノロジー業界

 株式報酬費用の取り扱いが影響を与え、多くのテクノロジー企業は、Non-GAAP利益から株式報酬費用を除外する傾向があります。また 研究開発費をGAAPでは通常、発生時に費用計上しますが、その効果が長期にわたって現れると考え、Non-GAAPでは資産計上して複数年で償却することがあります。

金融業界

金融商品の公正価値評価の影響が大きく、Non-GAAPでは一時的な評価損益を除外することがあり、貸倒引当金の計上方法が異なる可能性があります。

製造業

在庫評価や減価償却方法の違いが影響します。Non-GAAPでは特殊な評価方法を採用することがあります。事業再編費用の取り扱いも重要で、Non-GAAPでは一時的な費用として除外する傾向があります。

小売業

店舗閉鎖費用や減損損失の扱いが異なることがあります。Non-GAAPでは一時的な費用として除外する傾向にあり、同一店舗売上高などの業界特有の指標をNon-GAAPで重視することがあります。

エネルギー業界

原油価格変動の影響を除外したNon-GAAP指標を重視する傾向があります。 探鉱費用の会計処理方法が(GAAPとNon-GAAPの差異の主な要因は異なりますが)いずれの場合も企業の実態をより適切に表現するという目的でNon-GAAP指標が使用されます。ただし、比較可能性や一貫性の観点から、Non-GAAP指標の使用には注意が必要とされています。

エヌビディアの場合

エヌビディアの2025年度第2四半期(5-7月)の最新決算を例に、GAAPとnon-GAAPの違いを具体的に見てみましょう。

  1. 収益:
    GAAPとnon-GAAPともに300億4,000万ドル、この項目では差はありません。

  2. 営業利益:
    GAAP営業利益: 186億4,200万ドル
    Non-GAAP営業利益: 199億3,700万ドル
    差額は約12億9,500万ドルで、Non-GAAP営業利益の方が高くなっています。

  3. 純利益:
    GAAP純利益: 165億9,900万ドル
    Non-GAAP純利益: 169億5,200万ドル
    差額は約3億5,300万ドルで、Non-GAAP純利益の方が高くなっています。

  4. 希薄化後1株当たり利益(EPS):
    GAAP EPS: 0.67ドル
    Non-GAAP EPS: 0.68ドル
    差額は0.01ドルで、Non-GAAP EPSの方がわずかに高くなっています。

  5. 粗利益率:
    GAAP粗利益率: 75.1%
    Non-GAAP粗利益率: 75.7%
    差は0.6%ポイントで、Non-GAAP粗利益率の方が高くなっています。

これらの違いの主な要因は、株式報酬費用や買収関連費用などの一時的または非経常的な項目をNon-GAAP指標から除外していることによるものです。全体として、Non-GAAP指標の方がGAAP指標よりも若干高い数値を示していますが、その差は比較的小さいと言え、エヌビディアの業績の強さを示しています。

エヌビディアの最新決算の詳細はこちら↓

まとめ

Non-GAAP指標は企業の恒常的な業績をより適切に反映させる一方で、企業間の比較可能性や一貫性の面で課題があります。投資家は両指標を併せて分析することで、企業の財務状況をより深く理解することができます。

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。


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