2023-11-29の日記(逃避の恐怖)

 急に調子が悪い。美しく、和やかな場で苦みを感じるのはやめにしたい。彼も彼女も、何もかも悪くない。僕がそれらを悪く映している。それらはただ自ずから美しく、価値ある存在だというのに、僕の人生という路線に載っけるだけで、これほど見栄えが変わるか。
 心臓の下、胃の上のあたりに物が詰まっているような音がする。きゅうきゅうごつごつとなり、表情筋に悪影響をもたらす。身体が今吸った空気を拒絶する。
 何度でもいう。彼も彼女も、何もかも悪くない。僕が望んでいるものが、確かにそこにはある。自分の望んでいるものが手に入ることが、なぜこんなに苦しいのか。
 これは、きっと逃避の恐怖だ。背中に癒着した気配は、いくら走っても離れはしない。太陽を背にして走ると、目の前には影が落ちる。いかなる繁栄ももたらさないコンクリート。僕はその灰色に吸い込まれてしまって、息が苦しくなる。
 太陽の光を浴びなければ。月の光だけでは、僕のこの腐った根は治らない。太陽の光を浴びて初めて、月の光を本当に綺麗だと思えるようになる。
 絶対に、明日の朝も走る。歩いてもいいし、立ち止まってもいい。腐った根をジタバタさせながら、葉の一枚が伸びゆく様を想像する。


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