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柿喰う客「美少年」
劇団 柿喰う客
新作本公演「美少年」
あらすじ
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昭和最後の年。閑静な住宅街で起きた美少年誘拐事件は、地域住民や教育関係者、マスコミも巻き込む大騒動となったが、少年が無事に保護されたことで被疑者不明のまま解決した。
あれから30年。かつて美少年だった男が新たな誘拐事件を起こし歴史の闇に葬り去られた悲しくもおぞましい事実が露見する。
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男4人、それだけの舞台。
照明だけが、彼らと“美少年”を照らしていた。
正直言うと、前回公演はわたしには面白く思えなかった。
言葉がはっきりきこえない箇所が多すぎたり、新しく入ったメンバーに対してまだ違和感があったから、なのかもしれないけど。
でも今回は久々に「柿」を観たという満足感があり、終幕後の口元は緩んでいた。
「柿」の真骨頂でもある超絶早口と繰り返される言葉たち。
60分間、これでもかというほど詰め込まれた台詞に、耳の奥がじんじんした。
ただ、ただ、ただただただ!
そのスピードと内容の濃さ、キャラクターの強さに圧倒された。
「美しさ」を盗られた美少年と変態アーティストの覚悟。
美しく生まれたことの苦しみ、美しく生まれられなかったことの苦しみ、それぞれの苦の中で生きて生きてもがきながらも必死で生きる人たちがそこにいた。
乱痴気公演も間違いなく面白いだろう。