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素直な卵

新しい美容室に変えてから5回目の予約。

3回目に担当いただいた方に4回目もお願いして、今回も…と思っていたが予定が合わず担当指定なしで予約を入れた。

平日のお昼だったのでスタッフさんもお客さんも少なく、ゆったりとした時間と空間。
今の美容室のスタッフさんはみんな落ち着いた方で、どの方でも丁寧且つそっとしてくださるので緊張しなくて大変ありがたい。

「○○がお休みのため、代わりに担当させてもらいます」
と、ご挨拶いただきお互いにお辞儀をする。
柔らかで優しそうな雰囲気の方で、安心。

昨年くらいからだろうか、自分にどんな髪型が似合うのかがわからなくなり、「量が増えたな」と感じた時に切りに行くことが多かった。

今回は顔周りだけ軽めにしたかったので前上がりをお願いしたところ、2パターン提案をいただいた。
ひとつは姫カットのような感じで、もうひとつはゆるりと傾斜をつける感じ。

迷ったのでプロの意見を聞いてみたく
「丸顔なんですけど、似合うのはどっちですかね?」
と尋ねたところ、
「ずみさんは丸顔じゃないですよ、卵形です」
と言われた。
昔からずっと丸顔であると思い込んでいたので「え、丸顔じゃないの…?」とかなり驚いてしまってあわあわとなっていたら
「顔周りが気になるようでしたら傾斜をつける方がおすすめです」と言ってくださったのでそのままお願いすることにした。

唐突に、
「さっき卵形って言ったんですけど、卵形はどんな髪型にも会うんですよ。黄金の卵形です」
と言われた。
シャンプーやカットなど諸々を終え、最後にアイロンで整えてもらっていた時だった。
「黄金の卵」というワードに耳を持っていかれ、相槌を打ちつつ頭の上ではまっさらな場所に君臨する金色の卵が輝いているところを想像していた。

そして、よく跳ねる髪をとかしながら言われたこの一言。
「ずみさんの髪は櫛を通すだけで流れが変わる、素直な髪ですね」

その方自身の清らかさというか、真っ直ぐさというか、嘘がない言葉たちに心がつるつるに洗われた。

翳りの数日を過ごしていた頃でもあったので、新たな髪型と頂戴したうれしいお言葉により、健やな一日を過ごすことが出来た。

それから毎朝鏡を見るたびに、黄金の卵と素直な髪を愛でられるようになった。

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