おがきちか『進捗パラドキシア』(エモクロアTRPG)が冬コミで頒布されるので遊び方を教える
TRPGはミリしらだがおがきちかの新作を履修したい人々へ
おがき先生の新作だ!! えっTRPGって何?
はじめまして、あめふりと申します。
俺のことはいい。みんな、おがきちか先生の本が今年の冬コミで頒布されることは聞いたな?
わーい!! おがきちか先生の新刊だ!! 通販もある!! しかし「エモクロアのシナリオ」って……? ボイスドラマとかかな! ランドリのスピンオフとか?
否。
『進捗パラドキシア』は
おがきちか先生が作った「ゲーム」です。
DXもイオンも出てきません。舞台は現代日本、主人公は「あなた」だ!
それって何ですか
「エモクロアのシナリオ」が「ゲーム」……???
いやまずその、エモクロアって何ですか。
これです。
おがき先生の熱心なファンなら、先生がTwitterでたまに「TRPG楽しい!」みたいなことを呟いてるのを見たことがあるはず。雑誌『GMウォーロック』の企画で『トレイル・オブ・クトゥルー』のプレイ記事を描いておられたのをご存じの方も多いでしょう。わーい、新規絵だ。買ったか? 買ったよ。
それをちゃんと読んだ人はTRPGについておおまかに知ってると言える。この見出しは飛ばしてよいです。
TRPGについてよく分からなくても、上記「エモクロアTRPG」の公式サイトの「はじめに」だけでも読めば、TRPGとエモクロアについてだいたいのことはわかります。すげーシンプルにキュッとまとまってるから。正確に把握したければ読みましょう。
もうちょっと簡単に言うと……???
とは言え。
ランドリオール大好き!! エビアンワンダー最高!! おがきちかの世界観と絵とストーリーテリング、キャラクター設定の妙と心情の機微、とにかく彼女の作品世界が好きなんだ、新作旧作ぜんぶ読む!! 新刊、よろしい、コミケ行っちゃうぞ。通販ありがたい。しかし、エモクロアって何? と思ってこの記事に辿り着いた人、いると思います。さすがにエモクロア公式を全部読むのはボリューミーですよね、もうちょっとかいつまもう。
「エモクロアTRPG」とは、
おがき先生が書いた「シナリオ」は、上記の「事件」の概要に相当するものだと思えばいいです。どう始まってどう展開し、どう終わるかを書いたもの。ようは、あるエピソードのストーリーです。
ついでに言うと、TRPGとは、
です。
併せてめちゃめちゃざっくり言うと、『進捗パラドキシア』は、
「おがきちかプロデュースの不思議案件を、他のプレイヤーとおしゃべりしながら、相談したり協力したりして解決するゲーム」
です。(個人の見解です。)
登場人物を作り、操り、演じる、と言われると難しく感じる人もいると思いますが、このシナリオではぶっちゃけ演劇要素は必要ない。ふつーに会話が出来ればOKです。
もちろん、演技が楽しい人はするといいです、楽しいよ!
「ランドリーム」みたいなもの?
おがきちか著『Landreaall』36巻特装版特典「ランドリーム」を遊んでみた人は分かるでしょう。あれはまさしく、「プレイヤーが登場人物を作成し、 ロールプレイしながら即興演劇のように物語を紡いでいく会話型ゲーム」であり、TRPGと言えると思います。ただし『進捗パラドキシア』はランドリオール世界のお話ではなく、舞台は現代日本です。
何か難しそう……
TRPG、聞いたことあるよ。キャラを動かすのはまあ、普通のRPGと一緒でしょ、やってできなくはないだろ。
でもさあ、TRPGってなんか専門用語が多いじゃん。サイコロ振ったり、計算したりするんでしょ。ルールも複雑そうだし、よくわかんないよ。
くらいの感覚で「しかし、おがきちかの作ったストーリーが、遊べるだと……? 気になるな……」と思ってこの記事に辿り着いた人、安心してほしい。
「エモクロアTRPG」、めちゃめちゃ遊びやすいから。
「TRPG」はゲームのジャンル、
「エモクロア」はその中の「シリーズタイトル」みたいなもんです。(正確には「システム」という)
「RPG」にも有名なシリーズタイトルってあるじゃん。ドラクエとかFFとかポケモンとかゼルダとか。んでそれぞれ、世界観とか使える魔法とか戦闘のルールとか全部違うじゃん。
それといっしょで、TRPGというジャンルの中にも、さまざまなシリーズ(システム)が存在します。重厚なファンタジー世界を構成する「ソードワールド」、ここ数年大盛り上がりを見せている「クトゥルフ神話TRPG」、ダイス2個で遊べる手軽さが人気のマルチジャンル・ホラーRPG「インセイン」など。
「エモクロアTRPG」はその中でも比較的新しく、ルールブックがすべてオンラインで閲覧(無料)できるなど、初心者に優しいシステムです。ルールもかなり簡便で、RPGミリしら勢が初めて遊ぶのに向いてると思う。
初心者向けのシステムで初めてのシナリオを書いてくれるおがき先生、最高だな!! とっつきやすいじゃん!!
だいたいわかった。つまりどうすればいい?
おがきちかプロデュースの事件を解決するゲーム、OK、理解した。イメージしてるTRPGよりも簡単らしい、OK、そりゃ助かる。
で、具体的にどうすれば遊べるの?
必要なもの
一緒に遊ぶ人
このシナリオは、だいたい3~4人向けです。人間を用意しろ。話はそれからだ。
遊ぶ人は「プレイヤー」2~3名と「ディーラー」(エモクロアでゲームの司会進行をする人。一般にはゲームマスター(GM)とも言う)1名に分かれます。
ディーラーはシナリオの内容を把握している必要があります。すでに一度「進捗パラドキシア」を遊んだことがある人にディーラーをお願いするのが安心ですが、そんな知り合いいねぇんだよという場合には誰かがシナリオ=ネタバレを読まねばならない。
そんなのやだ! という人は私と遊びましょう。私はこの機にランドリクラスタにTRPGを布教したくて仕方がないので、喜んでディーラーを務めさせていただきます。まじで。@amefuly0904 まで「noteみました」つってリプください。
会話ができる環境
人間が用意できたら、人間同士が会話できる場所を準備します。これは誰かの家とか喫茶店とかでもいいし、ZoomとかDiscordとかオンラインチャットでもいい。何時間か駄弁ってても大丈夫な場所と時間、と思いましょう。
ダイス、またはダイスを振れるオンラインツール
ダイス、またの名をサイコロ。エモクロアTRPGの場合、ダイスは「10面体」です。1人5~10個くらいあるといい。
だけどTRPG初心者は、10面体ダイスなどというマニアックなものを5個も10個も持ってはいないでしょう。そういう場合はスマホアプリやwebツールを使うと便利です。
「ダイスコマンドを入力」のところに「1D10」(10面体ダイス1個、の意)と入れてエンターすれば振れます。お手軽。
Discordにもダイスボットはあるので、分かる人は入れてみてもいいかも。
また、エモクロアはもともと、オンラインで遊ぶことに特化した機能をいくつも備えています。なので、オンラインでTRPGを遊ぶためのツールを使うと、データ処理などがすごく便利です。公式に連携しているのがCCFOLIA(ココフォリア)。
ブラウザで動きます。ただ、使い方は覚えなきゃならないので、初心者だけで遊ぼう! という時はダイスアプリ等でいいでしょう。経験者がいるなら是非ココフォリアを教わりましょう、段違いに便利です。
プレイヤーがやること
人、時間、場所、ダイス。以上が用意できたら、あと準備するのは「プレイヤーキャラクター」だけです。
プレイヤーキャラクター(PC)は、作品世界であなたの代わりに冒険をする主人公、キャラクターのことです。作り方はエモクロアのルールブックにくわしく書いてあるので、それを見ながら作れば簡単です。
『進捗パラドキシア』の場合、PCは「何らかのクリエイティブを生業にしている人」「2ヶ月以上前に納品日が決定」した案件を抱えている人にしてください、とシナリオに記載があります。逆に、性別や年齢は全く問われません。なので、
・名前(ペンネーム、ハンドルネームでもいい)
・何の創作をしているか、何の締切か
さえ決めてしまえば、あとはルールブックに沿ってパラメータを割り振ったり、技能を決めたりするだけでOKです。性別、性格、好き嫌いなどの欄を埋める必要はありません(もちろん埋めてもいいです)。
実際、私がディーラーを務めたセッションでは、「名前は自分自身のハンドルネーム、OLかつ同人マンガ描きで締切は夏コミのアンソロ」くらいしか設定を決めなかった人もいました。あとはルールに沿って「体力なし、社会性そこそこ、好きなものに対する集中力だけはある、推しへの愛と欲望と怠け心」みたいなパラメータを振って、「それって君のことだよね……」ってなったり。
特にTRPGが初めての人は、自分自身とかけ離れたキャラクターを演じるより、自分に似たキャラを作る方がとっつきやすいかもしれません。でもキャラが傷つくと意外と自分にも刺さることがあるので注意しよう。
ディーラーがやること
初めてTRPGをする人がいきなりゲームマスターをするのはちょっと大変です。めちゃくちゃモチベが高いのでなければ、まずはエモクロアTRPGをやったことがある人にディーラーを頼みましょう。
めちゃくちゃモチベが高く、この機にエモクロアTRPGを始めちゃうぞ! という人は是非、公式サイトをルールパート含め上から下まで読んでみましょう。エモクロアのディーラーに必要な知識は、公式サイトに全部、ぜーーんぶ、まとまっています。実際のルール運用の雰囲気を知るのに他のシナリオのプレイ動画などを見てもいいでしょうし(ネタバレにはなりますが)、頒布されたおがき先生の本をお持ちなら、リプレイパートを読めばだいたいの流れがつかめるでしょう。
あとは『進捗パラドキシア』のシナリオを読み込むだけです。シナリオ特有のキャラ作成条件やルールがいくつかありますが、それさえ気を付ければ大丈夫。
シナリオもルールも暗記する必要は全然なく、適宜参照しながら遊べばいいです。私はいつも首っ引きです。
ちなみに、今回頒布される書籍版とは別に、すでにシナリオデータは無料公開されています(リプレイは収録されていません)。前述のCCFOLIAとかで使える素材もついててお得です。
ぶっちゃけ、ディーラーは多少ミスしたって、シナリオが面白いから大丈夫です。みんなで楽しめればそれでいい、ゲームなんだから。気軽にやりましょう。
遊びたいけど読んじゃった
とはいえ、「お話が知りたくてシナリオ読んじゃったけど、これはプレイヤーをしてみたかったな……」とか、「〇〇さんと遊んだら楽しそうだけど、ディーラーはハードルが高いな……」という人も多いのではないでしょうか。
シナリオやリプレイを読んでしまうと、「シナリオ上、次に何が起きるか」は把握できてしまいますが、じゃあプレイヤーとして楽しめないかというと、そんなことないと私は思います。シナリオを読むのと、ゲームをプレイするのとは、ぜんぜん違う体験だと思うからです。
「読んじゃったけど遊びたい、でもディーラーするのは無理」という人はまず、代わりにやってくれそうなディーラーを見つけましょう。そしてシナリオを読んだことをきちんと伝えて、「プレイヤーがしたいです」と相談すればいいと思います。
ディーラーによっては、シナリオを先に読んでしまったプレイヤーとは遊べない、と判断する人もいると思います(なので、必ず相談はしましょう)。しかし私は、このシナリオに限って言うならば、他のプレイヤーに次の展開を話さない、程度の配慮で、十二分に楽しく遊べると思います。
シナリオのストーリーやイベントは決まっていますが、その中でプレイヤーが何を感じ、考え、どう行動するかは、回ごとに全然異なります。他のプレイヤーとの化学反応もありますし、もちろんダイス目にも展開は左右されます。もしシナリオを読んでしまっても、いえ、読んで「面白い」と思ったなら余計に、ぜひともプレイヤーにチャレンジしてみてください。
そこには、あなただけの物語体験があるはずです。
あとは遊ぶだけ!
人も、場所も、日時も決まった、ダイスやツールも用意できた。ディーラーはシナリオを読み、プレイヤーはキャラクターを作った。
あとは遊ぶだけです。現代日本、エモクロアという「感情に働きかけてくる怪異」が存在する世界で、おがきちかの描く物語をあなたがたがどう生きるか。友達と一緒に、気軽に、めいっぱい楽しみましょう!
いろいろ書いたけど、まあ楽しければそれでいいと思います。ルールやデータは多少間違っててもいいので、創作仲間、マンガ読み仲間で酒でも飲みながら、推しを語ったり愚痴を言ったり悲鳴を上げたりするゲーム、それが進捗パラドキシアだよ。……と思っています。
終わった後で感想を言い合うのも楽しいよ。TRPG興味なくても、みんなおがきちかか好きだろ。驚かされたシーンについて、好きな仕掛けについて、楽しかったり怖かったりしたエピソードやイベントについて、存分に語ろう。それだけでも楽しいよ。
今後の展開
新作の用意がある……………
つまり、いまエモクロアを遊べるようになっておけば、今後おがき先生の新作シナリオが出るたびに、漫画以外のおがきちかワールドに浸れるようになるということだ!!!!
シナリオは先生が書けば出るが、ルールを覚えたり、一緒に遊ぶ仲間をつかまえたり、といったことは、すぐにはできません。シナリオに友達はついてこない。人間の用意が一番大変なんだ。
みんな、今のうちに進捗パラドキシアをあそぼう! ディーラーのご依頼、おまちしております!
そして時々、おさらいをかねて他のシナリオを遊んだり、他のシステムを遊んだりしましょう。楽しく待っていれば、おがき先生が新作を出してくれる……はず!
それでは、よいTRPGライフを。
おわり!
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