PokerStars Zoomは別格なのか

   旬な話題には乗るしかない

画像1

ということで、今回の記事は現在Twitterで盛り上がってる
スターズZoom勝ち組は他のフィールドのずっと上のステークスでも勝てるのか」
についてです。

   最初に断っておきますが、私はPokerStarsをプレイはおろか登録もしたことがありません。なので自らの経験やデータから比較するという内容ではありませんので、予めご了承ください。

   さて本題に入ります。この論争の引き金となったのは恐らくこのツイートでしょう。

画像2

   要約すると「スターズよりKKポーカーの方がヌルくて稼げる」というだけのツイートなのですが、これだけ騒がれた理由は多分ここです。

画像3

   彼女にスターズ勢をバカにする気持ちは毛頭なかったと思いますし、単にKKポーカーは稼げるよ!私はこれだけ勝ってるよ!という紹介と自慢が半々のツイートだったのでしょう。

   徐々に拡散されたツイートとこの話題について色んなポーカーガチ勢の方々があれこれ言ってます。

画像6

画像4

画像5

画像7

画像8

 

画像15


画像10

画像14

画像15

   同ステークスならスターズの方が強いというのは共通見解のようですね。論点はどうやら「スターズZoom勝ち組が他のフィールドのハイステークスでも勝てるのか」のようです。

   ここでスターズ勢とライブ・KKポーカー勢、両方の立場に立ってみましょう。


   スターズの25NLzを今も打っていて必死に上のステークスを目指している人の視点です。
   突然現れたKKポーカーで爆勝ちしてるピチピチギャルに「50NLzをクラッシュして100NLzもそこそこ」なんて言われたら面白くないですよね。
   「お前本当にクラッシュしたの?」「ハンド数は?ウィンレートは?」って思いますよね。

   でも逆の立場から見たらどうでしょう。スターズのマイクロしか打ってない人が「私はこのレートで十分なウィンレートが出てるからライブの2-5やKKポーカーの200NLも余裕で勝ち越せる」って言ってたらムカつきませんか?

   そもそもスターズで勝てれば、それよりずっと上のステークスのライブキャッシュでも勝てると言われているのはなぜでしょうか。それは恐らくこのインタビューが原因です。

   2014年に掲載された日本ポーカー界の重鎮・木原直哉プロのインタビューです。

   このインタビューにはこう書いてあります。  

画像12

   私は最初にこのインタビューを見たとき、この人は確実に嘘をついていると思いました。そして今もこの発言は嘘だと思っています。
   30BB/100handって尋常じゃないですよ。仮に同じ面子でずっとやるとしたらその人以外全員負けてるレベルです。そんなテーブルが5000NLのライブキャッシュで常設されているとは思えないですし、果たして100NLzで「勝ち越せる程度」のプレイヤーが5000NLライブで圧勝できるものなのでしょうか。


   少しだけ自分の話をすると、私は昨年の夏まで1年ほどシンガポールのRWSでポーカー専業の真似事のようなことをやっていました。

   打っていたステークスは10/20SGD。1SGD≒80円なので、1600NLです。
   トータル稼働時間は1010時間、成績は+60440SGD。ウィンレートは3BB/1h。1時間30ハンドで計算すると10BB/100handとなりました。

   一見立派な成績に見えますが、稼働600時間、ハンド数で18000ハンド時点でトータルの最大損失地点である-33000SGDまで負けていました。
   分散の話は別の記事で書く予定ですが、ライブキャッシュはオンライン(特にズーム)と比較して圧倒的に時間単位のハンド数が少ないです。それ故に真のウィンレートに成績が収束することは未来永劫無いと言ってもいいレベルです。私自身、この成績が真のウィンレートより上振れているのか、それともついてなかったのか見当もつきません。
   これがオンラインの話をそのままライブに当てはめることができない1つの理由ですが、木原プロははっきりと「長期的に見て」と書かれているので、長期的=バンクロールが潤沢にあってジジイになって死ぬまで、と定義してこの話はここまでにします。

   次に私が木原プロの理論を否定する最大の理由は「ハイステークスライブキャッシュのレベルが高い」ということです。
   シンガポールのミニマムステークスは1600NLで基本的にこれしか立ちませんが、9人テーブルの内5,6人はポーカーで生計を立てているプロです。面子が緩くなる週末でも1テーブル平均でプロが4人を下回ることは無いと思います。客観的に振り返ってみて、私はテーブルで3〜4番目くらいの実力だったと思います。
   たまにその上の4000NLが立つことがあります。SAMSUNGの創業者一族が来る情報が入った日なんかは毎回立ちます。
   この4000NLではシンガポールのポーカールームでトップの中のトップである8人が1人の社長を囲みます。私も日本に帰る前に一度だけ記念に参戦しましたが、謙遜でもなんでもなく私の実力は紛れも無い8番目でした。
   ミニマムステークスは少し安くなりますが、マカオの専業も同じようなことを言っていたので環境はそう大きく違わないと思います。

   確かに私はスターズのズームを打ったことはありません。ですが、同じテキサスホールデムというゲームでフィールドによってそこまで力の差があるものなのでしょうか?
   当たり前の話ですが、シンガポールの4000NLで30BB/100hand出てるレギュラーは1人もいません。これは断言できます。

   ここまで話しても尚、「100NLzで勝ち越し程度の人」を連れてきて5000NLで圧勝できると言う人にはもう言うことはありませんので、どうぞブラウザのお気に入りからhttps://www.pokerstars.com
にお戻り下さい。


   だいぶ話が逸れてしまいましたが、ここからさらに話を逸らします。

   10年近く前でしょうか、Twitterで麻雀をテーマに同じような論争で盛り上がっていた時期がありました。
   その論争とは、「天鳳の高段者とフリーの鉄強はどっちが強いか」というものでした。天鳳とは言わずと知れた人気No. 1オンライン麻雀サイト(当然ノーレート)で、当時から10年近く経った今でも圧倒的人気とシェアを誇っています。
   当時の私は完全なリアル麻雀派で、オンラインの麻雀なんてノーレートでめちゃくちゃやってるだけの積み木遊びだろ、くらいにしか思ってませんでした。
   短い間ですが日本プロ麻雀協会という団体で麻雀プロもやっていましたし、麻雀に自信がありました。

画像13

画像14

   今をときめくこの辺の人達が入って来る前の話です。

   そもそもですが、私は自分のことをポーカープレイヤーである以前に麻雀打ちだと思っています。麻雀の実力が10段階で8とするならポーカーは2くらいでしょうか。
   天鳳をぶっ壊す!とノリノリで参戦しましたが、東風戦をトータル7000戦打って安定段位7.3段となんとも微妙な成績で終わりました。
   結論から言うと、フリー麻雀の平均より天鳳の鳳凰卓(高段者しか入れないテーブル)は強かったと思います。
   自分の知らない世界を知るには、実際にその世界に入ってみるしかないんです。そこはあなたの思ったとおりの取るに足らないフィールドかもしれないし、想像を凌駕する世界かもしれません。

   ポーカーしかやらない人からすると、ノーレートのフィールドの方がオンレートより強いなんて信じられないと思います。スターズのプレイマネーテーブルにジャングルマンやアイザック・ハクストンがいる訳がありませんから…。


   色々と長くなってしまいましたが、スターズをプレイしたことがない以上、今回のテーマである


スターズZoom勝ち組は他のフィールドのずっと上のステークスでも勝てるのか」

についてはっきりした結論を出すことはできません。それは裏を返すと、

   よく知らない or やってもないフィールドのことをあれこれ言うな

これに尽きます。

   「お前ズームやってないやんけ」という声が聞こえてくる気がしますが、それはお門違いです。
   テーマを見てください。25NLz勝ち組がライブキャッシュやPPPoker,KKPoker,PokerBros等のアプリでハイステークスが楽勝ならやればいいのでは?と言っているのであって、我々が25NLzをやるとか勝てるとかいう話は無意味です。スターズズーム勢の実力について何か言うつもりもありません。

   ポーカーはお金を増やすゲームです。もちろん数学的なアプローチで楽しんでいる人、ノーレートで遊んでいる人もいると思いますが、原点はここです。

   スターズの25NLzで素晴らしい成績を出して満足するのも結構でしょう。ですが彼らがそれよりも弱いと思われる500NLライブキャッシュでなんとか勝って生活できている人より優れているなんてことはないんです。別のフィールドの数段上のステークスでもし本当に同じウィンレートを出せるのなら、なぜ彼らはそこから動こうとしないのでしょうか。

   バンクロールが十分でない、海外生活が不安、英語ができない、KKポーカーは違法(KKが違法ならスターズも違法です)。様々な理由でスターズから出ようとしない人がいると思います。

   『実力的にはどこに行っても勝てるんだけど…』

   もしかしてそんなことを思っていませんか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?