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dmdmtrtr
「ひんやりな音と虫の雨。」
空気の濁りが8対2の、
いつもより澄んだ雨の匂い。
季節の変わり目、ひんやりな匂い。
不健康な目に突き刺さる、
朝の太陽でさえもひんやり。
肌触りのいい光。
気にせず絶えた蝉時雨も
気付いた途端頭で鳴かせる。
無いとわかると少し寂しいような。
あの煩わしさこそが恋しいような。
「失くした瞬間その大切さに気付くんだよ」
こんな100回は聞いてる言葉。
身に染みてわかってるつもりが
当てはまるものの寛大さを忘れていた。
あの死ぬほど嫌いな蝉ですら想うんだ。
でも失くした後は新しい音が。
秋の始まり。初秋の時期、
梅雨ほどじゃないけど少しだけ、
2週間程雨が続いて虫の鳴り止む時間がある。
驟雨。
特別な雨の名です。
きっとこれから先、ドアを開けて出かける時に
少し冷えた空気を吸って、ひんやりとした雨の
匂いを感じて、何となく天気予報を確認する。
そんな朝が2週間くらい続く。
でも雨が降っているこの間、
虫の鳴き声は聞こえなくなる。
雨に消された秋の風物詩。
りんりんと鳴くあの虫の声が
驟雨の間は恋しくなる。
消えた音に気付いた人だけが想える特別な
優しい感情。
この素敵な季節の変わり目に
貴方は風邪をひきませんように。