20歳で妊娠した話②
中絶方法は、薬だった。
今までは手術しかなかったみたいだけど、手術の日程が全く合わないからと医師に勧められたのと、手術は怖いと思ったから。
中絶薬は、ミフェプリストンとミソプロストールの2種類を順番に飲むものだ。
ミフェプリストンは妊娠の進行を止める役割がある。ミフェプリストンを飲んだ36時間後にミソプロストールを飲む。これは、子宮を収縮させて、内容物を出す役割がある。
ミフェプリストンを飲んだあと、つわりなのか副作用なのか分からないけど、吐き気がさらに酷くなった。それまでは吐くことはなかったけど、飲んだあとは吐くようになった。
ミソプロストールは生理のように子宮を収縮させることから、腹痛があると医師から言われていた。痛みの程度は、生理痛と同じくらいかそれより少し痛いくらい、と聞いた。痛みはそのくらいと聞いて、私は安心した。
でも、私が感じた痛みは生理痛よりもずっとずっとずっとずっとずっと痛いものだった。
ミソプロストールを飲んだあと、胎児が完全に出たことがわかるまで病院の病室に待機させられるのだが、薬を飲んですぐその部屋に入った。
最初は痛みは全然なかったが、早めに薬を飲んだ方がいいと言われてロキソニンを飲んだ。かなり出血するとのことでおむつみたいなナプキンをつけた。多い夜用の倍くらいの大きさ。
段々、下腹部が鋭く痛んできた。ずーんと重い感じというよりは、チクチクするようなピリピリするような痛みだった。この時点で生理痛とは違ったけど、そこまで気にすることじゃなかったので気にしなかった。段々痛みが強くなってきて、衝撃が加わったりすると結構痛くなった。歩くと痛みが増すので横になった。そこからは早くて、感じたことのない痛みが襲ってきた。
歩けない、とかのレベルを超えた。
とにかくとにかく痛くてしょうがなかった。記憶の中で本当にいちばん痛い。汗をダラダラかいて呼吸も浅くなって目も開けられなかった。呼吸するだけで痛かった。しなくても痛いんだけど全然。結構本気で死ぬかと思った。痛いはずっと痛いんだけど少し波があった。
「ア゛ア゛ア゛ア゛痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い死ぬ死ぬ死ぬ!!!」ってくらいと
「あー痛い痛い痛い痛い」
って感じ。本気で呼吸忘れちゃうくらい痛い。リアル生理痛の十倍は痛かった。
その波の感覚は少しずつなくなっていって、どのくらい経ったか分からない頃、股の間をあたたかいものが流れた。
一瞬股が広がって、何か出た感じがした。
その瞬間、痛みが消えた。名残りで少しチクチクとはするものの重い生理痛って感じ。早速看護師さんを呼んだ。胎児が出るかもしれないからトイレも流さないで、ナプキンも替える時は看護師さんを呼んで、と呼ばれていた。胎児を流したり、ナプキンごと捨ててしまわないようにとのこと。
ナプキンを確認してもらうと、
「赤ちゃんいないねえ」と言われてしまった。
「痛みが治まったなら、もうすぐだよ。歩き回ってると出ることもあるからふらふら歩いてみるといいかも」と言われたから、ふらふら部屋の中を歩き回ってみた。
そうすると、またさっき感じたみたいに股が何かを通った。
この話は続きます。長い文を読んでくれてありがとうございます。