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なんとなく受けた子宮頚がん検診
一年前、チラッと見た会社の社内メールの中に「健康診断 子宮がん検診」とあった。
最近は若い女性にも多いと耳にしていた。
なんとなくで開いたメール。まあ行けたら行くか、の感覚で応募してみた。
今まで過ごしてきた人生の中で、行けたら行く、の8割は行っていない。応募して届いた検診のハガキもとりあえず目を通して引き出しにしまった。
それから半年、一度も検診のことを思い出さず過ごした。学生の頃、参考書を買って満足したように応募して満足していた。
でも今回ばかりは、本棚に並べられた開かれることのない参考書とは違い、応募して届いたハガキがふと私の目に入った。
手に取り期限が今月中だったことを知る。
「ギリギリセーフ」
これに何かの縁を感じ、検診を受けなければいけないと背中を押された。本当によく分からない。行けたら行く、が行かなきゃに変わっていた。
それから数日後病院に行った。
何もないことを証明するための検診、の感覚で。
また一ヶ月後、結果が届いた。
もちろんすぐには開かなかった。大丈夫と分かっていたし、気にもしていなかった。
二、三日経ってふと開けた。捨てるために開けた、というのが正解だと思う。
でも思っていた結果は違った。
要精密検査
平然を装いながら、色んなことが頭をよぎった。
たぶんこの一瞬で、精密検査を受ける日のこと、子供がいない未来、病気と闘う自分、全てを想像した。想像もしなかったことがこの一瞬で、用意されていた映像かのように流れる自分自身の超現実的感覚にも驚いた。
それから近くに精密検査を受けた。
結果は電話で、とのことで病院に電話をかけた。
今後のこともあるので電話じゃ言えないとだけ言われた。言ってないようでそれってもう答えじゃん、だった。
別に死ぬわけじゃない。
だから辛いわけじゃない。
でもずっと健康だった自分が、まさかだった。
そのまさかに少しやられた。
これから当たり前に来るであろうと思っていた未来の形が少し変わった気がした。
どうでも良くもなった。
本当はどうでも良くなんかないのに。
気づけてよかった、でいいのに。
それだけ考えればいいのに自分が少し面倒だった。
なんとなく、に救われたりもする。
なんとなく受けた検診。結果はどうであれ受けてよかった。