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減価する貨幣 ~お金 の 起源 Ⅲ~
50年前に制定された管理通貨制度が現代の経済を牽引している。人々は疑う事なく日々お金を使い生活しているが、ドイツの経済学者シルビオ·ゲゼルは著書『自然的経済秩序』(1914年)の中で、貨幣の在り方について異を唱えている。
ゲゼルは、万物の価値が時間と共に下がるのに通貨だけはそれが無い為に、金利が正当化され、資産家が金利で生活できてしまうと批判し、これを打開するために“スタンプ貨幣”という仕組みを提案した。例えば$100紙幣を所有したら、1ヶ月経過する毎に50円の印紙を紙幣に貼る、というような制約を作る。その結果、長く持つほど印紙代が掛かるので、通貨の過剰な貯蓄を防いだり、流通を促進させたり、貸出金利を下げたりできるというのだ。ゲゼルが提唱したこの制度は、紙幣の所有時間と共に価値が下がってしまう事から「減価する貨幣」と呼ばれており、1932年にはオーストリアのヴェルグル市で実践されている。
一方で、児童文学作家のミヒャエル·エンデの代表作『モモ』は、ゲゼルの思想から着想を得ていると言われている。話の中で時間貯蓄銀行という人々の時間を搾取して蓄える銀行が登場するが、お金を預けて利子を得る事が可能な貨幣制度へのアンチテーゼなのかもしれない。
お金は手段であるべきなのに、目的になってしまう事が自分でも多々ある。世の中の貨幣制度はそれを助長するかのようでもある。
こんな事を考えるようになったのも、新しいお金のシステム、仮想通貨の話を聞いてからである。【続く】