アガスティア の 葉
“アガスティアの葉”という自分の未来が書いてある、不思議な椰子の葉の話を大学の先輩がしてくれた。
それは占いの一種で、先輩の友達の女性は、スリランカのコロンボという町で老婆に占ってもらったらしい。
老婆は「Yse」「No」の質問を繰り返して、大量の葉の束の中からその女性の葉を探し始めた。質問は、最初は“兄弟がいるか?”とかありきたりのものだが、だんだん“あなたの両親の名前は○○ですか?”、といったコアなものになっていくらしい。質問の度に、葉の束をアレでもないコレでもないと選別し、女性の運命が小さな文字でビッシリ書いてある一枚を探し出したというのだ。
しかし、怪しいと思ったその女性は老婆に質問した。「世界中には何十億の人がいるのに、ここにはその数の葉が無いじゃないか。何故これが私の葉だと言えるのか」と。
そのとき老婆は、「椰子の葉は、ここに来る者の分しか無い」と答えたという。
この話を聞いた時、正直鳥肌が立った。世界は広いなーと思った。そしてそれまで占いなどは良いところだけ信じる程度のものだったが、何年後かにスリランカに行くことに。多分、占いが好きな訳ではなく、不思議なものに魅力を感じたのだと思う。【続く】