「WEBBIM(ウェブビム)」エンジニアに開発秘話をインタビュー
こんにちは。AMDlabの加賀美です。今回は皆様お待ちかね?自社サービス「DDDDbox(フォーディーボックス)」の新機能「WEBBIM(ウェブビム)」の先行リリース記念、開発者インタビューです。
WEBBIMは、ブラウザで動作する建築設計者向けの作図ツールです。先行リリース版は、建築のボリューム検討に必要な日影計算機能と簡易的な作図機能を備えています。
インタビューは、開発に込めた熱量に比例して、読み応えたっぷりの内容になっていますので、是非最後までお楽しみください!
この記事に興味を持たれたBIMエンジニアやwebエンジニアの皆様、私たちと一緒に働いてみませんか?AMDlabでは新しい仲間を募集しています。カジュアルなご質問も大歓迎ですので、お気軽にお声かけください!
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【自己紹介】
❶河野さん、鈴木さん、まずは簡単な自己紹介をお願いします!
河野:在学中は建築構造系の研究室に所属し、アトリエ系構造設計事務所で設計補助のアルバイトを経験しました。卒業後、一貫構造計算ソフトウェアベンダーでサポートデスクと開発の兼業を経て、BIMエンジニアとしてAMDlabに入社しました。扱っている技術の軸は3つあって、1つ目はBIMソフトウェアをカスタマイズするためのWindows系の技術です。2つ目は、BIM・CADで3Dを扱うための数学です。WEBBIMでは、Rustを用いたアルゴリズムの実装を担当しています。3つ目は、アルバイトと前職で培った建築構造計算関連の技術です。その他、建築系のオープンフォーマットであるIFC、DXF、ST-Bridge、PLATEAU等の活用も業務としては多いです。
鈴木:システム開発会社でエンジニアとして様々なプロジェクトで開発を経験後、建設業の維持管理を担う事業会社で建設DXの自社プロダクト開発を経て、今年2024年にAMDlabにソフトウェアエンジニアとして入社しました。技術的には特に領域を定めず、その時必要とされた技術を幅広く習得してきており、Windowsアプリ, Webアプリ, モバイルまで幅広く経験してきています。AMDlab入社後は、開発メンバーの一員として開発タスクに追われる日々でしたが、 最近では開発側の技術的な選定や、管理面を含む開発方針の決定を行うリーダーとしての役割を担っています。
【WEBBIMって何?】
❷河野さん、WEBBIMと従来のBIMの違いを教えてください。
河野:その名のとおり、Webで動くところが一番のブレイクスルーポイントだと思います。BIMを扱えるソフトウェアは、基本的にデスクトップで操作、クラウドでデータを共有し、各担当者が更新していくフローが主流です。WEBBIMはモデリングを含めたBIMの操作までもがWebブラウザ上で完結するわけですが、数十、数百、数千人の関係者が携わる建築プロジェクトにおいてはこのメリットは想像以上に大きくなると考えています。
※BIM(Building Information Modeling)とは、建築設計を効率化するためのツールで、建物の形状情報や属性情報を三次元で一元管理するシステムのことです。
❸建築設計の現場で、WEBBIMが特に効果を発揮する具体的なシチュエーションやケーススタディを教えてください。
河野:私はBIMを用いた設計業務に造詣が深いわけでは無いのですが、BIM関連の開発業務としては、設計データの蓄積・共有に課題を感じているというご相談をいただく事が多くあります。例えば、設計用のテンプレートが個人任せになっていて保存されているか分からなかったり、存在に気付かずモデリングし直してしまったり等…その辺りの、これまでルールで管理するしか無かった課題を、ツールで解決することができると思います。
加えて、今後はBIM確認申請の加速化が予想されます。同じくDDDDboxのエコシステムである建物カルテ(確認申請書のアウトプットが可能)と連携することで、申請業務や申請者・確認者間のスムーズなやり取りを支援できると考えています。
WEBBIMについてもっと詳しく知りたい方は、是非YouTubeやプレスリリースをご確認くださいね。
【開発秘話】
❹それでは開発についてお伺いします。WEBBIMの開発で、一番興奮した瞬間はいつでしょうか?
河野:自分の書いたコードを、経験豊富なエンジニアさんにレビューしてもらった瞬間でしょうか(笑)。これまで担当していた案件は一人プロジェクトが多く、コードレビューの経験がほとんど無かったんですよね。自分はWeb技術に明るくないのでシンプルにロジックをコーディングしただけなのですが、Webで扱うためにはこうしたほうが良いよとか、チーム開発だからこうしたほうが良いよとか、レビューして貰うのが新鮮で楽しかったです。あと、リリース前のテストですべてOK貰えたときはだいぶ嬉しかったです。
鈴木:河野さん作のWasmモジュールを使用して、画面上でボリューム検討の日影線の3D表示を確認できたときですね。Web技術に詳しいエンジニアチームと、建築ドメイン・技術に詳しい建築チームがお互いの強みを活かして機能開発を行えたことが感慨深いと感じました。
また、技術的にも将来的な展望からTypescriptとRustのWasmモジュールを連携して座標計算をするというチャレンジをしており、これから本格的にBIM機能を開発していく中で大きな自信となりました。
❺では逆に、開発で特に挑戦的だった部分や困難を乗り越えたエピソードを教えてください。
河野:Rustを使ったコーディングに取り組んだのが初めてだったので、最初の右も左も分からない状態が一番の困難だった気がします。Slackのヘルプミーチャンネルで他社員に質問したり、土日に子どもと遊びながら解説動画を流し見したりして、いつの間にか言語仕様自体はそれなりに習得できました。その後は、アルゴリズムを自前実装した後に秀逸なライブラリを教えてもらって数日無に帰したりしましたが、これはWEBBIMに限らないですね。
鈴木:WEBBIMは、今まで取り組んできたDDDDboxのプラットフォーム側と違い、BIMアプリケーションの特性を考えて、それを将来的にどう実装していくか、そして段階的にはどうしていくかなどをすごく考える必要がありました。開発内部の話にはなるのですが、途中でコード管理をモノレポに移行したり、開発のワークフローをスクラムライクに変更したり、将来的に必要である技術調査を並行で行ったり、大きいリファクタリングを進めたり、いくつかの施策も行っています。また、これらの大きな変化を総合的に考えながら、将来的な構想を見据えて開発を進めて、今回の先行リリースに向けて取り組むこと自体が挑戦的だったと思っています。
❻WEBBIMのどの機能が一番好きですか?理由と合わせてお答えください。
河野:BIMモデルを活用したシミュレーションです。(今後実装予定)今回のリリースにある日影計算みたく、色んなシミュレーションをWEBBIMに実装していきたいです。また、既存のプロフェッショナルなソフトウェアとのコラボレーション・連携も、個人的には非常に楽しみにしています。
鈴木:まだ仕様検討中・開発中となっているのですが、複数人で同時編集できる機能ですね。今回の先行リリース版でも部分的に体験いただけます。
BIMデータは非常に多くの項目でなるので、1人で全てのデータを管理して入力していくのは現実的ではありません。そこでWEBBIMの提供予定の機能で、複数人が共同作業としてBIMデータを同時編集することができれば、BIMデータの編集効率は非常に高くなると思われます。
Figmaのような同時編集機能をユーザーさんに提供することはエンジニアとしても非常にやりがいがあります。
【WEBBIMのその先】
❼今後WEBBIMをどのように進化させたいですか?河野さんご自身の意見をお聞かせください。
河野:まずは、日本の建築設計者が抱えている課題を一つでも解決できるプロダクトにしていきます。その上で、BIMを活用されている方はもちろんのこと、まだ設計業務にBIMを導入されていない方にも使っていただけるプロダクトを目指しています。BIM確認申請が加速化する中、BIM導入には様々な高いハードルがあり、設計者の負担ばかりが大きくなるケースがあるとの声をいただくことがありました。DDDDboxエコシステムは、設計者が負担なくBIMのメリットを享受できるプロダクトにしていきたいです。
❽最後に読んでくださった皆様へ、今後の意気込みとメッセージをお願いします!
河野:先述のとおりですが、WEBBIMはまだまだ芽生えたばかりです。弊社では一緒に成長していける建築系システムエンジニアを募集しています。プログラミングに少しでも興味があり、建築設計の煩雑な作業を自動化したい!と考えたことのある方には、ぜひAMDlabへのジョインを検討していただきたいです。
鈴木:今回の先行リリースのWEBBIMでは非常に限定的な機能のみ提供しておりますが、将来的にはDDDDboxでBIMを含めた建築設計のワークフロー全体をサポートする予定で日々開発を行なっています。継続的にアップデートを行なっていきますので、ぜひDDDDboxならびにWEBBIMをご利用頂き、改善のフィードバックをいただければ幸いです。
読んでくださった皆様、そして河野さん、鈴木さん、有難うございました!今回は「DDDDbox」の新機能「WEBBIM」の開発者インタビューをお届けしました。開発者たちの想いと挑戦が詰まった「WEBBIM」は、建築設計業務の効率化を実現する革新的なツールだと感じております。
今後も皆様のご期待に応えるべく、継続的に機能追加や改善を行ってまいります。ぜひ、実際に「WEBBIM」をご利用いただき、その利便性を体感してください。そして、ご利用いただいた感想やご意見をお寄せいただけると幸いです。皆様のフィードバックをもとに、さらに使いやすく魅力的なツールに成長させていきます。
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