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【一口馬主】いろいろな種牡馬(リオンディーズ、Frankel、Tapit)について考える
シリーズ最終回です。
・リオンディーズ〜NDを持たない馬を狙おう
種牡馬リオンディーズは父方に3本、母方に2本のNorthern Dancer血脈をもつので、極力NDの入らない繁殖牝馬と組み合わせたい。
※IcecapadeはNorthern Dancerと同じNearcticとNative Dancerの組み合わせですが、このケースではNDにカウントしません。
天皇賞(春)のテーオーロイヤル→NDなし
交流重賞3勝のサンライズホーク→NDなし
東風Sのディオ→ND1本
ラピスラズリSのオタルエバー→ND2本(母内クロスなし)
ダービー卿CTのインダストリア→ND2本(5×5)
福島牝馬Sのアナザーリリック→ND1本
関越Sのストーリア→ND2本(7×6)
兵庫CSのリプレーザ→NDなし
京都2歳Sのジャスティンロック→1本
リステッド・オープン以上のレースを勝った馬のみを抽出してみましたが、ほとんどの馬が母の血統表にNorthern Dancerのクロスを持っておりませんし、2本持ちの馬のND濃度も非常に低い数値におさまっています。Northern Dancerの血脈が現代競馬に与えた影響を考えると、母にNDを1本も持たない馬がワンツーを占めるこの結果にはちょっと恐ろしいものを感じてしまいます。ちなみに、かつて俺が出資していたリオンディーズ産駒ウインターズテイルもND0本の当たりパターンだったのですが、悲しいことにこれだけまったく走らず…😭
・Frankel〜成功パターンは実質ひとつしかない
オークス馬ソウルスターリングは配合の呼吸や配合の妙で生み出された馬なので(全きょうだい以外では再現できない)、Frankel産駒の成功パターンというのは実質ひとつしかありません。それは「オールアメリカン血統の牝馬と組み合わせる」こと。安田記念のモズアスコットはヘネシー×Miswaki×Nijinsky。朝日杯FSのグレナディアガーズはHarlington×Silver Deputy×Bold Ruckusで母内ミスプロクロスが3本。ファンタジーSのミスエルテはPulpit×ヘネシー×Saratoga Six。重賞を勝った3頭はいずれもオールアメリカン血統です。
チャンピオンS連覇のCracksman(凱旋門賞馬Ace Impactの父でもある)、英2000ギニーのChaldean、英オークスのSoul Sisterなどの名馬を輩出したデインヒル〜Danzigのクロスは日本でも効果的…かと思いきや、わが国で走ったDanzigクロス持ちのFrankel産駒は壊滅的だったりします。デインドリームの仔ソリッドドリームとオンラインドリーム、シルクで募集されたフランクエフェクトとイルーシヴハピネス、デビュー前にたいへんな評判をあつめていた1億円ホース・ファヴォーラなどなど…。
・Tapit〜異系傍系の繁殖牝馬と好相性
「Tapitは主流の血統が非常に強いので、母系からマイナーな血を持ってきてアウトクロスのかたちを取ると成功しやすい」なんてなことを大昔に書いた覚えがあるのですが、俺が競馬を見ていない間に出てきたTapit産駒の血統表を見てもその傾向はまったく変わっていませんでした。
まずは21世紀最強馬Flightlineから。
直仔にUncle Moがいるもののどちらかというと主流血統のカウンターの役目を果たすことが多いCaro系Indian Charlieが母父に入り、母母父はマイナーなRoberto系のDynaformer。しかしマイナー一辺倒でいくのではなく、Tapitに唯一足りないメジャー血統のStorm Catを母系の奥から取り入れているのがこの馬の配合の面白いところでもあります。
エクリプス賞最優秀2歳牡馬と3歳牡馬Essential Qualityはいきなり例外で(笑)、Tapitの血統を母方のほうでそっくりそのままコピーしたようなぶっ飛んだ配合になっています。スピンスターSのValianceも同じパターン。母父のエンパイアメーカーと母母父のSeattle SlewでもってTapitの主流血統を増幅しています。
スターレットSのChasing Yesterdayは米三冠馬American Pharoahの半弟で、どマイナーなStorm Cat系のYankee GentlemanとどマイナーなRaise a Native系のEclipticalの組み合わせ。ベルモントSのTapwritはド級の異系血統Successful Appealを母父にもち、母母父は本邦でも供用されたホークスター。アラバマSのDream Dancingは母がRaise a Nativeの傍系MonarchosとBold Ruler傍系Maudlinの組み合わせ。
ビホルダーマイルSなどG1レース3勝のUnique Bellaはちょい特殊です。母父がUnbridled's Songと主流の血統ではあるのですが、代わりに母母のQueenie Belleがすさまじく、この馬は父が異系Bertrandoで母はなんとFleet Nasrullah2×3(!)。血統表のこの部分を1/4異系に使った非常にユニークな配合です。
日本でも種牡馬として供用されたクリエイターIIはDamascus系のPrivately HeldとPrincequillo系SummingとSicambre系King of Macedonの組み合わせ。これまでに見てきたなかではもっともマイナーな血統かもしれません。
ベルモントSなどG1レース4勝のTonalistは母父がRibot系Pleasant Colonyで、母母父はNorthern Dancerの傍系Topsider。ちなみにこの馬の3代母Toll BoothはA.P. Indyの祖母Lassie Dearの全姉でもあります(全きょうだいクロス5×3)。
ケンタッキーオークス馬Untapableはアメリカではいまいち流行らなかったKris S.直仔Prizedを母父にもち、母母父はクロフネの血統表以外ではお目にかかることがないFairway系のClassic Go Go。この馬の3代母Carols ChristmasはBCダートマイルを勝ったTapizarの3代母でもあります(こちらもTapit産駒)。
あまりにもG1馬が多くてキリがないので割愛しますが、BCジュヴェナイルのHansenも、G1レース2勝のタピッツフライ(グランアレグリアのお母さん)も、エクリプス賞最優秀2歳牝馬(G1は5勝)のスターダムバウンドもすべてこのパターンです。
そうそう、フェブラリーSを勝った日本のテスタマッタも忘れちゃあいけません。こちらは母父が超激レアなHimyar系のConcernで、母母父はNorthern Dancerの傍系Northern Jove、3代母父のDr. FagerもHimyar系、4代母父YantornoはSon-in-Law系です。
最後にサンデーで募集されたTapit産駒ミッドナイトビズーの23の血統表を見てみましょう。
個人的には「買い」だと思います。