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3-1.紅茶らしさとは?

何に関してもそうですが「相手の背景」を知ることは 関係性を築いたり良い一面を見つけるきっかけになるように思います。紅茶も同じかな、と。

こんな特性がある、こんな環境で作られた。紅茶の「背景」を想像できると 淹れる、 飲むという体験が少し深くなる思うのです。

本日は「紅茶らしさとは?」ということを探りながら、一杯の紅茶の「背景」をお伝えしてまいります。少しでも伝わるといいな~。

1.そもそも、お茶って?

お茶の木だよ~

すべてのお茶は「チャノキ」から作られています。この「チャノキ」はツバキ科の植物で、学名を「カメリア・シネンシス」と言います。そういえば日本でよく目にするツバキと趣が似ていますよね。ツバキと同じように一年中 緑色の葉が繁り、ツバキに似た白い花を咲かせます。

このカメリアシネンシスにはいくつか種類があります。
・高温多湿の土地で良く育つタイプ
・冷涼な土地で良く育つタイプ
大きく分けるとこの二種類ですが、その他の 交配種や改良種も合わせると相当な数です。それぞれの生育環境に合わせて植えられます。

ところで、冒頭の「すべてのお茶」という言葉、皆さんはどのようなお茶をイメージされますか?日本人になじみのある緑茶を始め、紅茶、烏龍茶、ハト麦茶、ルイボスティー、ハブ茶…。店頭やネットスーパーには本当に様々なお茶が並んでいます。

ちょっと紛らわしいのは、習慣的に「茶」「ティー」と呼んでいる飲料であっても 厳密には「お茶」に該当しないものがあるということ。
その基準となるのは、カメリア・シネンシスから作られているかどうか、です。この基準に当てはめると、上記の例で「お茶」に該当するのは
「緑茶・烏龍茶・紅茶」の3種ということになります(←お茶三兄弟)。

2.「紅茶らしさ」とは?

2-1.製造工程で生まれる「紅茶らしさ」

「緑茶」「烏龍茶」「紅茶」がお茶の仲間ということはわかりましたが、それにしても個性がずいぶん違います。まず見た目が違いますし、淹れた時の味も香りも違います。

この違いを生み出すのが製造工程。製造工程を変えることで異なるお茶になります。ポイントは「酸化発酵(以下、「発酵」)」です。
・発酵をさせるのか、させないのか。
・させるとすればどの程度までなのか。
この技術的な選択が鍵となります。

発酵をさせることで一体お茶はどのように変化するのでしょう?
摘んだばかりの生葉は緑色ですが、発酵が始まると次第に茶色味を帯びてきます。また、茶液も発酵が進むにつれ色が赤味を帯びて濃くなり、香気も渋みも増します。このように、発酵させることでお茶の味・香気・色に「強さ」が生まれてくるのです。

先ほどの3種のお茶で見てみると、発酵をさせない緑茶は「強さ」というよりフレッシュな面影を残しているのに対して、発酵をしっかり進めた紅茶は力強いボディやコク感じさせます。烏龍茶はこの中間にあたり、香気の良さを特徴としたものが多いです。

この「背景」がわかると、「あ~、それぞれのお茶に合わせた淹れ方が必要なんだな」ということが何となく伝わるかな、と思います。

2-2.産地の違いが作る「らしさ」

さて、製茶上の「紅茶らしさ」の他に、もうひとつ忘れてはならないのが風土性によるもの。紅茶には世界30か国超の産地がありそれぞれ特徴が異なります(顕著な特徴を持たないものも沢山ありますが)。

一例を挙げると
・インドのダージリン地方で作られる紅茶の「ダージリンらしさ」
・スリランカのウヴァ地方で作られる紅茶の「ウヴァらしさ」
それぞれのキャラクターがあり、適した収穫時期のお茶には自然の産物とは思えないような素晴らしい香気を有するものもあります。

これは、茶樹が植えられた土地の環境(標高、日照時間、土壌など)が影響を与えるためでワインのテロワールに近いものだと思います。

また、産地と言う点ではもう一つ。自然環境ではありませんが、人による管理も風土性を生み出す要素であることを忘れてはなりません。原料となる生葉は、茶園の栽培・肥培管理で質が変わりますし、製茶工程での様々な見極め・調整は人によるものです。

このように、自然環境、そして栽培から製茶までに関わる人の労力すべてが、それぞれの産地の紅茶「らしさ」を醸成するのです。

3.「らしさ」を捉えるには?

さて、分類上と産地の特性、二つの視点から「紅茶らしさ」を考えてみましたが、もうひとつ肝心なことがあります!

それは、
・それぞれの紅茶のもつ「らしさ」をお湯に引き出すこと(紅茶を淹れる)
・味覚や嗅覚でキャッチすること(紅茶を飲む)

紅茶はお湯と出会って初めて紅茶になり、それを人が体に取り入れることで初めて「どういうものか」を捉えることができます。つまり、淹れ手・飲み手が関わることで紅茶は嗜好品として成り立つのだと思います。

一杯の紅茶は世界と繋がっています。どうか、ご自宅で紅茶を淹れて、飲んで、茶園から繋がるバトンを日常でも楽しんでいただきたいと思います。

ご訪問、そして最後までお読みいただきありがとうございました!
次回は紅茶を淹れる道具についてお話しする予定です!

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