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ムーンチャイルド 再び


「占星術のこと、、、知りたくなったんだね」
アレックスは嬉しそうに言った

「どうして知りたくなったの」
わたしは言葉に詰まった

「アンバー、考えないで
素直に、ただ思った通りのことをそのまま言葉にしてみて」

アレックスがわたしのすることを、しようとすることを感じとって言った

「あの、、、、わからない、、
興味なんてなかったのに、なぜかだんだん気になるようになってきた

でも、ひとつ言えることがあって
アレックスを訪れてきた人たちが帰るときにはガラッと雰囲気を変えてる
きっと占星術には、、、カード占いもそうだけど、、
わたしにはわからない何かパワーがあるんじゃないかってそう思ったの
もしそうなら、それを知りたい
それで変われるなら、、、わたしも試してみたい
っていうかそこに飛び込んでみたい」


「アンバーは占星術を出来るようになりたい? 誰かにしてあげたい?」

「わからない」

「アンバー自身が変わるために知りたいんだね
占星術は自分のことをよく知るのに すごくいいものだよ
じゃあ出来るようになるか、なりたいかは置いといて
これからは少しずつ占星術のことを織り交ぜて過ごすことにしよう」

「うん」

「占星術にホロスコープは欠かせない
自分自身が変わるために占星術を使うなら自分のホロスコープを知らなくちゃいけない
ホロスコープを出すには出生情報が必要だから、
誕生日と時間、生まれた場所を調べてわかったら僕に教えて
そしたらホロスコープを出してアンバーに渡すよ」

「実は、、アレックス、、、誕生日は明日なの、時間は調べないとわからないけど」

「そうだったんだ、おめでとうアンバー
明日が誕生日、っていうことはアンバーもムーンチャイルドだね」


ムーンチャイルド!!
ここもムーンチャイルド
昨日砂浜で浮かんだ言葉の中にもムーンチャイルドって出てきた


「アレックス、、、ムーンチャイルドって、、何?」


「月や自然との関わりが強く深い人たちだよ

月は人間にたくさんの影響を及ぼしている
精神的な探求を好んだり 自然の中に身を置いたり
特に夜 外に出ることを好んで月を見たり

人や環境のエネルギーに敏感で
合わないと息苦しくなって殻に閉じこもったり
自然から切り離されると自分じゃいられなくなる感覚にもなる
頭で考えるよりも、もっと肉体的・精神的でいる方が心地よくて
感情と感覚に真っ直ぐなんだ
そして占星術的に大切な部分が蟹座と関わることが多い」


驚いた
すごく驚いた


ムーンストーン
ムーンチャイルド
そしてわたしは蟹座

点と点が繋がっていく

今までの人生を振り返ってみても思い当たる節がたくさんある

あれも、これも、
そういうことっだったんだ、、って

でも昨日頭に浮かんだあの言葉はどうして?
わたしに向けられて送られたメッセージのようだった
わたしがムーンチャイルドだって知ってて誰かが言ったみたいだった


「アレックスもムーンチャイルド?」

「僕もだよ 蟹座じゃないけどね」

「この場所の名前もそういうことに関係した名前なの?」

「面白いことに僕の家族のほとんどがムーンチャイルドなんだ
そのことに気づいたのも ムーンチャイルドの色が一番よく出てるのも祖母」


アレックスといる安心感と
ここにいるときに感じる自然な温かさは
ムーンチャイルド繋がりだったんだ


月の子
ムーンチャイルド
こころに従いなさい
恐れててもいいから
あなたにはあなたを守ってくれる存在がいる


とメッセージは言った

わたしは、、月の子
涙が溢れてきた

社会とか会社とか
人工的なかたまりに順応できずにいたわたし
それにダメ出しする自分

溢れる思いを抑え込んでは
不完全に爆発させて
「わたし」というものをどんどん殺していった

最後には、そうすることしか出来ない自分のことを嫌悪し恥じ
人間味を失っていくような感覚を辿っていった

アンバー
あなたはちゃんと生きられない人間
出来損ないの人間
人類の歴史の中のバグで生まれてきてしまったの

そう言われてるように感じ 思い続けて
それを自分自身で認めてしまった

でも今
そうじゃないと言ってくれる存在が現れるようになった

わたしは知らなかっただけなんだ
間違って学んでしまっただけなんだ

わたしが勝手に決めつけた世界のイメージの中で
檻を作って自分で自分を閉じ込めてしまった

その檻から解放してくれたものが
また一つ増えた


ありがとう
ありがとう

伝えきれないこのありがとうを
誰にどうやって伝えたらいいの


ありがとう
ありがとう

わたしは変われる

この奇跡のような出会いの連続
どうしたらいいの
涙も拭かずにまっすぐアレックスを見た


「ただ、受け取ればいいんだよ」
アレックスはそう言った

そっか、わたしはもうすでに学んでいたんだ

アレックス、、
ありがとう、、

言葉にはならなかったけど
アレックスはちゃんとわかっていた


「僕もありがとう アンバー」




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