マイク

僕らは生きている【#いまから推しのアーティスト語らせて】

初めに

 生きるってなんだろう。
 なんて事を、21歳の僕はポンコツな頭で時々考えます。
 辛い事、苦しい事、やるせない事、たまにご褒美と言わんばかりに訪れる嬉しい事、楽しい事、
 いろんな事がめまぐるしく回ってくる人生って、いったいなんなんだろう。
 肌寒く誰しも切なさを覚える季節だからでしょうか、昔からこの時期は道を歩きながら物思いにふけることが多いです。…共感してくださる方も多いのではないでしょうか?
 …すみません、序文でペラペラとお話しすぎました。ぼちぼち本文に入っていきます。

僕の推しのアーティスト

 不可思議/wonderboy
というラッパーの事を、皆さんはご存知でしょうか。
 ラッパーと聞くとサングラスをかけた恰幅の良いニイちゃんが「yo!」と言っているイメージを思い浮かべる方も多いかと思いますが、彼は全く違います。彼が歌うのはポエトリーラップ。ビートに乗せてアーティストの倫理観や人生観をふんだんに盛り込んだ自作の詩を読むという、独特な雰囲気を醸し出しているジャンルの音楽です。怖い感じは全く無いので、ヒップホップがちょっと苦手という方にもおススメです。
 不可思議/wonderboyは、このジャンルでは日本で代表的な存在と言えるような方なのです。

おススメ楽曲

『生きる』
 詩人・谷川俊太郎さんの詩『生きる』に不可思議/wonderboyが編集・加筆をしてラップで歌っている一曲。原作の谷川さんも公認している。
 丁寧に、繊細に、生きるということの普遍的なうつくしさを温かく描いた楽曲で、人生に行き詰った日の夜に聞くとボロ泣きする。
「生きているということ
生きているということ
いつかは死ぬと分かっていながら
永遠なんてないと分かっていながら
それでも人は 愛するということ」
(公式PV:https://youtu.be/X9t0wZS-8zk)

『Pellicule』
 不可思議/wonderboyの代表曲。親友との他愛のない会話・漠然と胸に広がる将来への不安を、どこか切なさを感じるピアノのメロディーに乗せて表した楽曲。
「そうやって俺たちは いつまでも待ってた
来はしないとわかっていながら いつまでも待ってた
俺たちの知る限り時間ってやつは止まったり戻ったりはしない ただ前に進むだけだ
だから今日は戻らない日々を思い出して笑おう
今日だけ、今日だけは思い出して笑おう
こういうのってあんまり カッコよくはないけど
初めから俺たちはカッコよくなんてないしな」
(公式PV:https://youtu.be/ueq2QFIIpu0)

不可思議/wonderboyと生と死

 とにかくその詩とメッセージが素晴らしい不可思議/wonderboy。上で紹介した他にもステキな曲を数多く世に出している彼ですが、もう新曲が作られる事はありません。
 なぜなら彼は、2011年に、24歳という若さで交通事故によって亡くなってしまっているのです。
 今のように広く知られるようになったのは彼が亡くなった後。生前は、路上ライブを行っても数人が立ち止まるくらいだったようです(この様子はYouTubeでの映像で見る事ができます)。
「いつか絶対に売れるんで。いつか絶対に売れるんで、その時に不可思議/wonderboyの事自慢してください。」
 これは、ある日の路上ライブ後に不可思議/wonderboyが言った言葉。『いつか』が訪れる前にこの世を去ってしまった彼のTwitterは、「カフェオレ飲みてー!」という無邪気なつぶやきを最後に更新されていません。それを見るたびになんともやりきれない、切ない気持ちになります。
 人はいつ死ぬか分からない。昨日が在って、今日を過ごせて、明日が来るという事は奇跡の連続である。
 そんなメッセージを、不可思議/wonderboyはその生き様の全部で体現しているのです。彼が紡いだ『生』と『死』は、今も多くの人たちの胸に響き、新たなファンを増やしています。

生きているということ

 今を生きている僕たちは、時折、命が有限である事を忘れてしまいます。僕自身、目の前の課題を達成する事に必死になるあまり、よく大切なものを見落としてしまいがちになります。伝える事に怠慢になったり、人生はしんどい物だと絶望を感じてしまったり、誰かの温かさに気付かなかったりします。
 でも…それはきっと、ものすごくもったいない事なんだと思います。

 人のぬくもりがより感じられるこの時期、不可思議/wonderboyの楽曲を聞いて、一息ついてみませんか。毎日を一生懸命に取り組んでいる、頑張り屋さんのあなたへ。

 最後まで読んでいただきありがとうございました!

#いまから推しのアーティスト語らせて

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