第110回 時平が家にやって来た の巻
ある人が地方赴任することになり、餞別会が道真邸で開かれました。このときに時平が道真邸を訪れています。
この頃のふたりは対立関係どころか、蜜月関係。どう見ても時平のほうが道真を慕っていたようです。
一方の道真は弱冠21歳の時平に対し、まるで天皇のように接しています(マンガとはえらい違い~)。
ふたりの蜜月崩壊のタイミングは…実はよくわかりません。
道真追放事件の近く…ふたりで国のトップ・左右の大臣に並んだ頃も、まだ仲は良かったっぽいのです。
その頃、時平が重要な文書の代作を、道真に依頼しているのです。
その文書は父・基経に関するもので、誰に依頼してもよいというものではありませんでした。
右大臣という最高峰クラスの人間に文書の代作を依頼するのはかなり異例。よほど時平が道真を信頼していて、二人の関係がツーカーだったことを証明しているようです。
そもそも「時平が道真を陥れた」のは歴史上の事実とされていますが、調べてみても積極的に時平自身が道真追放を主導した気配も事実も見えてきません。
ただ、承認したことは間違いないと思われるので、状況からやむにやまれずの「黙認」だったのでは?と仮説を立てて事実関係を調べています(ここに時平が絶対に逆らえない、ある人物の影が見え隠れします)。
道真追放には、実は複雑な事情が絡んでおり、単純に「道真VS時平」の対立構造ではありません。
しかし話は単純にしないと広く一般には理解できない、そんな事情があったようです。(本当の複雑な事情を、いつかわかりやすくマンガで描いてみたい~)