第119回 昇進祝い の巻
■道真昇進の道を作った先駆者たち
太政大臣・左大臣・右大臣・大納言・中納言・参議といった、貴族の中でもトップ中のトップ十数人を「公卿(くぎょう)」と呼びます。
現在で例えるなら内閣(総理大臣と各大臣)に近いかな。
道真はこのとき、公卿最下位の「参議」へ昇進し、上級貴族の仲間入りを果たしました。
道真の家系はもともと中級役人。しかし曽祖父・古人(ふるひと)のとき初めて「貴族」の身分に足をかけます。
次の祖父・清公(きよきみ)は、晩年でしたが参議に昇進し、ついに菅原家は「公卿」の位をゲットします。
そして父・是善は公卿・参議として10年ほど定着しました。
道真の前にはすでに3代に渡る先駆者があり、家柄・実力を兼ね備えた道真の参議昇進は、想定内ではありました。
■時平との蜜月関係
道真の昇進祝いに、時平は高価な唐の玉帯(宝石付きベルト)をプレゼントしています。
一方の時平は中納言に昇進。この頃はまだ時平の官位は道真と比べものにならなかったため、時平が道真をライバル視する気配は微塵もありませんでした。
道真が大喜びで時平に贈ったお礼の詩も残っています。
宇多天皇への道真の詩もあります。参議昇進の喜びを詠んだものですが、これがまた、オッシャレ~!
宇多帝が「今年は梅が少ない」という詩を詠んだのに引っかけて、 「昇進という栄華(=梅)が私のところに集まってしまったために梅が少なくなってしまったのです」 というウィットに富んだ返しです。
宇多天皇のニコニコ顔が目に浮かぶようです。